売却について、【高額査定&高額チャレンジ価格提案】や【物件情報の囲い込み問題】【買取りへの誘導問題】についてちょこちょこ書いています。
これらを不動産営業目線で書くと、こういうのって仕事としてラクなんですよ
ワザと高い査定価格を出す・相場を超えた高い売出し価格を提案して売主様の興味をひく
とりあえず高い価格を提案して売却を依頼されれば成功。あとは価格を下げていけばいいし。本音ではその担当はその価格で売れるとは思っていないですよ。どうやって価格下げていこう位の頭になっています
他社には物件を紹介させないようにして自社だけで売ろうとする
他社には案内させないand広告させない、または他社からの申込は売主様には出さない。成約価格が下がろうが、時間かかろうが、自社だけで売ろうとする。またそうやって売れない状況を作りだして、最終的に買取りでも売主様はOKと言われればラッキー。
ラクだから、営業マンそして会社の実力はどんどん落ちていきます。営業レベルがかなり下がるのは間違いない。
責任ある査定を提案する事がなくなるし、実際に売却を依頼されたら価格を下げる事ばかりに集中します。
販売にしてもやっぱり一般のお客様に買ってもらうのが一番大変なんですよね、不動産は。買取りだと買うのは同じ不動産会社。基本的に「買いたい」って切望しているし、いわゆるプロなので買った後になにかあっても買い取った不動産会社の責任。仲介する担当は基本的に提案する事もなく、責任を負う事もなくで・・・提案力が落ちていきます。
結構似た状況をハウスメーカー時代に経験していまして、【モデルハウスを売ります】キャンペーンです。
どこかの展示場で使用したモデルハウスを安く売ります的な販売。昔はモデルハウスだけではなく、単純に「坪単価2●万円で売ります。関西圏で2組!」みたいなキャンペーンもやっていました。
このキャンペーンをするとものすごくお客さんが来ます。当時で1回のキャンペーンで関西圏で何千組という申込み。そして1次選考という名目で、土地調査・間取りの提出までしていくんです。1次選考に通ったお客さんは基本全邸提案する事が必須。営業マンはかなり忙しい・・・(汗)
年に1回のキャンペーンだったんだけど、会社の売上(契約)が落ちてきたら、何回もキャンペーンを実施するようになったんです。年に2回・3回と。
まずここで営業スキルとして問題が発生します。お客さんはいっぱい来るし、アポイントは簡単に取れるしで、初回接客のレベルが落ちていきます。努力や工夫しなくなるから。
そして抽選の日を迎えて、まぁ1組とか2組しか当選しないので1次選考を通過した1,000組・2,000組のほとんどの人は外れる訳です。ここで皆さんお気付きだと思いますが、外れたお客さんがメインターゲット。
土地調査して、自分の要望に近い間取りを実際に見ると、そのうちの数十組は普通に検討されるんですね。その人をフォローして「モデルハウスキャンペーン特別値引きがありますよ」っつって、最後は値引きも付けてクロージングする販売手法になります。
さらにここで問題点がもう1つ。キャンペーン値引きに頼った営業しかできなくなるんです。お客様の要望をヒアリングして、打合せを重ねて、人間関係も作ってというプロセスを大幅に飛び越えて、値引きに頼った営業になってしまう。
キャンペーンをやると契約数は伸びるんだけど、社員は疲労するし、なによりも一番大事な提案力が劇的に低下するので、今後はやめておこうという方針になっていった記憶があります
長くなってきましたが、やっぱりラクな方に流れると実力は落ちていきます。
一般のお客様に売る事が不動産仲介は基本なんですね。他社にも情報をフルOPENにして売主様にとって一番良い条件で売るのも基本。自社が一番良い条件の買主様を探せばいい。
そして率直に書くと、リフォーム済み物件や新築建売・建築条件付き土地を売のが一番簡単。説明が少ないですから。
中古物件(古い状態の家)なら、リフォーム提案や建物説明を織り交ぜながら買主様に納得・満足してもらうのが仕事。
土地なら、新築を建てる時の問題点や解決策をご提案する。どんな建物が建てられるのか?お客様の要望に合う建物が建てられる土地なのか?こういった事を繰り返して、営業力が上がっていくと思うんです。
でも・・・当社とすれば、ありえない高額価格提案や物件情報の囲い込み・買取り誘導を見るとイラっとしますが、長い目で考えれば「そうやっていって実力落ちてください」ってなるので、それまでの我慢ですけどね(汗)