読みきかせ【6年生】(2月) | 水脈のブログ

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読みきかせ記録(絵本等の紹介)と、自分の心に生じた想いや、刻まれた記憶を思いつくままに綴っています。
当ブログ開設当初から好きだった東方神起やジェジュン、ユンジェに関して。そして、2021年以降は、防弾少年団(バンタン:BTS)のことに、思いを馳せることも。



今週の「お話タイム」の担当クラスは、

卒業を控えた6年生でした。

(2月最終週に設定されていましたが、

記事を書くのにもたついていたら、

3月になっちゃいました💦)


今月の卒業式前に「お話タイム」自体は、

もう1回設けられているものの、

私がこの児童達を担当するのは、

最後の機会です。

というわけで、

「成長」と、

一期一会の大切さを意識しての

選書にしました。


『いつか あなたを わすれても』

桜木紫乃・文 オザワミカ・絵 

(集英社)


『ぼくとがっこう』

谷川俊太郎 文 はたこうしろう 絵

(アリス館)


『いつか あなたを わすれても』の

“忘れる”という

ちょっと不穏なキーワード🗝️は、

登場人物の一人に

「さとちゃん」

という認知症の女性が登場するから。

主人公の「わたし」の

「おばあちゃん」です。

これは

「わたし」と

「わたし」の「ママ」と

「おばあちゃん」のお話なのです。


「さとちゃん」は、ママの名前を忘れ、

「わたし」を「ママ」(自分の娘)

だと思っているようです。

さとちゃんは、

本当は男の子が欲しかったのに、

女の子である自分が生まれたから、

自分のことを忘れちゃったのかな

とつぶやく「ママ」に、

心配になった「わたし」は


わたしがおんなのこだったこと

どうおもう?

おとこのこのほうが よかったって

おもわなかった?

パパは わたしが生まれたとき

よろこんでくれたかな


と問いかけます。

その問いかけに対しての

「ママ」の答えは


あなたが生まれてくれただけで

よろこんでくれるひとを

すきになったの

だいじょうぶよ

あんしんして

おんなのひとに なりなさい


性別は関係ない

「あなた」という存在そのものが

尊く、大切なのだという力強い言葉。


おんなのこと おんなのひとは ちがうの?


という「わたし」の問いに対する

この「ママ」の答えも

印象に残る言葉だと思いました。


「おんなのこはね

だれかにまもってもらうひと

おんなのひとはね 

じぶんをまもれるひと

わかる?」


子どもたちは、

まだ10代になったばかりで、

夢や希望にあふれた未来を想像できても、

自身が老いること、ましてや

認知症のことなど、

(実際に認知症の家族がいる場合を除き、)

身近なこととして考えることはない

と思います。

でも、

女の子、

男の子に関わらず、

自分自身が何者であるか、

これからどのような人生を歩むのか

「子ども」から

「おとな」へと成長する過渡期にあることは

感じていることでしょう。

朝から、

元気が出るような楽しいお話 

とは言えなかったと思いますが、

一度は読んでほしいな

と思っていた絵本でしたので、

最後の機会に紹介しました。


『ぼくとがっこう』は、

谷川俊太郎さんの詩に

はたこうしろうさんが絵を描いた作品です。


表紙には、

ランドセルを背負った男の子と

学校が描かれ、

ラストは、

卒業証書を手にした男の子が

駆け出し行く場面で、


いつかがっこうとわかれるひがくる

ぼくはすこしずつおとなにちかづいていく


という文で締めくくられています。


「お話タイム」に赴いた

この教室の掲示板にも、

[卒業まで 

 あと ○日]

という表示が貼り出されており、

教室内も

ピリリと引き締まった空気を感じたクラス。

残りわずかとなった小学校生活を

一人一人、有意義に過ごしてほしい

と願っています。