今学期から再開した小学校での「お話タイム」
隔週での開催で、私が担当するのは、
現在、ほぼ月1ペースです。
今月は、1年生のクラスでした。
そして、
2学期の「お話タイム」は今週で終了し、
次回は、年が明けてからになりますので、
ちょっと早いのですが、
(宗教面からのアプローチではない)
「クリスマス🎄」を意識して、
以下の2冊を選書しました。
『ふゆじたくのおみせ』ふくざわ ゆみこさく
(福音館書店)
『サンタのいちねん トナカイのいちねん』
作・絵 きしら まゆこ
(ひさかたチャイルド)
『ふゆじたくのおみせ』は、
「クマさん」と「ヤマネくん」の元に
冬支度のお店が開店した旨の
手紙が届いた場面から始まります。
二人(二匹?)は、
連れ立ってお店に行き、
それぞれお目当ての物を見つけました。
対価となるドングリを集めるため、
森の中を毎日探し回ります。
でも、ようやく、
欲しい物が買えるだけドングリを集めた二人が
お店に着いてみると、無情にも、
「うりきれ ありがとう」の看板が…。
この場面に、
「はっ!」と息をのむさま、
目も口も丸くして、
ぽかんとしてしまった児童、
そんな子どもたちの様子が伝わってきて、
絵本の世界に入り込んでくれてるなぁ
と感じ、うれしくなりました。
児童の反応と言えば、
最後の1個のドングリをめぐって、
互いに譲らず、
結局、
ジャンケンで勝った✌️
「ヤマネくん」のものになったのに、
あまりにも気落ちした
「クマさん」の後ろ姿に、
「ヤマネくん」は、
ドングリを譲ってしまいます。
ただ文章には、
そのことは書かれておらず、
「でも どうして すぎのきから
どんぐりが おちてきたんだろう」
という
「クマさん」のひとりごとがあるだけです。
絵をよく見ると、
「ヤマネくん」が杉の木に登って、
「クマさん」の頭に
ドングリを落としたことがわかります。
いわゆる、
「絵が語る」場面です。
ただ、
次ページの
それから しばらくして
ヤマネくんもやっと
さいごの どんぐりを みつけました
というくだりで、
「あれっ?」と
不思議そうに声をあげた児童がいました。
前ページの「ヤマネくん」の行為に気づかず、
ジャンケンで勝って、
「ヤマネくん」は、
もう目標数のドングリを集めたはずなのに…
と思ったままだった のかもしれません。
自分が絵本を読んでいたら、
自分のペースで絵も見ていることができますが、
読みきかせの場合、読み手の都合で、
ページを繰ります。
特に、低学年対象での読みきかせの時は、
絵もゆっくり見ることができるように、
注意が必要だと改めて感じました。
この『ふゆじたくのおみせ』には、
「クリスマス」を表現した場面はありません。
でも、
自分が欲しい物を買うのではなく、
大好きな友だちにプレゼントするために
一生懸命がんばる姿が、
誰かを想い、
愛を込め、
真心を尽くす
そんな
“クリスマスの精神”に
適っていると思っています。
「クマさん」と「ヤマネくん」だけじゃなく、
森の仲間たちも、
二人の努力が実るよう一肌脱いでくれて、
優しい気持ちがあふれているお話です。
ふくざわゆみこさんの
細部まで丁寧に描かれた、
落ち着いた色彩の絵も、
この優しく温かいお話の世界に
ぴったりで、個人的に好きな絵本です。
また
『ふゆじたくのおみせ』は、
「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」
シリーズの1冊です。
読み終えた後、
一緒に聴いてくださっていた担任の先生から、
「『もりいちばんのおともだち』は、
(注:シリーズ1冊目です)
持っているのですが、
このお話は知りませんでした。」
と声をかけていただきました。
今回は、時期的に
『ふゆじたくのおみせ』を選びましたが、
それぞれ季節が異なる他のお話も、
機会があれば、
ぜひまた読んでみたいです。
『サンタのいちねん トナカイのいちねん』は、
1冊の絵本ですが、
表表紙から読むとサンタが主人公、
裏表紙から読むとトナカイが主人公
として描かれていて、
真ん中で、二人が合流するという
ちょっとした仕掛け絵本になっています。
読み方に“決まり”はないと思いますので、
私は、今回、
「どちらから読みたい?」と
子どもたちに聞いて、
最初に声があがった
「トナカイのいちねん」から読み進めました。
やあトナカイくん
ことしも よろしくね!
まで進んだ後に、いったんおいて、
(ページの開き方が左右逆になったので、
座り直して、
絵本を支える手と、身体の向きも変え、)
「サンタのいちねん」を読み始め、
最後の見開きページ、
さあ いこう
みんなの まちへ!
そして、折り込みページを開いて、
メリー・クリスマス!
で読み終えました。
きしら まゆこさんの絵がとてもかわいく、
楽しいお話だと思います。
短い時間で読める
肩のこらないお話ですので、
クリスマス時期の2冊目に、
ピッタリではないでしょうか。