読みきかせ【6年生】(11月) | 水脈のブログ

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読みきかせ記録(絵本等の紹介)と、自分の心に生じた想いや、刻まれた記憶を思いつくままに綴っています。
当ブログ開設当初から好きだった東方神起やジェジュン、ユンジェに関して。そして、2021年以降は、防弾少年団(バンタン:BTS)のことに、思いを馳せることも。

寒波が襲来した今週。

日〜月曜日の一晩で山は雪化粧。

今季、初冠雪です。

同日、平地は変わりやすい雨模様で☔️

冬の虹も見られました🌈


そんな今週の読みきかせ、

担当したのは6年生のクラスでした。

選書したのは以下の2冊です。


『ガラスの小びん 光村ライブラリー15』

(光村図書)


『サルビルサ』スズキコージ

(架空社)


光村ライブラリーは、

かつて国語教科書に掲載された

作品を集めたシリーズで、

小学校版は全18巻発行されています。

今回とりあげた第15巻は、

その中の高学年(全6巻)の中の1冊で、

5作品が収録されています。

教科書に採用される作品は、

出版社毎に異なりますし、

同一出版社でも、

数年ごとに見直されることがほとんどです。

(中には、

『ごんぎつね』(新美南吉)のように、

複数社が何十年にも渡って採用し、

現在も掲載され続けているものもありますが)

私が読んだ表題作

『ガラスの小びん』は、

平成4〜7年度版「国語六下」に

収録されていたとのこと。

作者は、作詞家として名高い

阿久 悠さん、

挿絵は、

宇野 亜喜良さんが描いておられます。


父親が大切にしていた

甲子園の土が入っていたガラスの小びん。

父にとって、

自信を呼び起こしてくれる光

であり、

ほこりを証明してくれる神様

であったと思われる「甲子園の土」

ただ、

息子である「わたし」にとっては、

強そうに見えるのも、

いばって感じられるのも、

すべてあれがあるからだ

と、父への反発の象徴となっていたようです。

そして、小学校6年生の時に、

怒りに任せ、

「わたし」はその土を捨ててしまいます。


父と息子。

自信とほこりがじゃまをするのか、

社会とあまりうまくいっていない

ようなところがあり、

子供のわたしが知るだけでも、

仕事を三回も変わっていた。

等と表現されているところから、

すでに息子は、

父を親としてだけではなく、

第三者として冷静に観察する目が

育ってきているようです。

一人の人間、

大人へと成長しつつある息子だからこそ、

父は「土」を捨てた行為自体を怒らず、

空になった小びんを

息子に託すのです。

そこには、

息子に対する信頼や期待も感じられます。

私はそのように受け止めていますが、

聴いていた子ども達は

どのように感じたのでしょうか?

すでに大人になり、

親となっている私の受け止め方とは

また異なる感覚があるのかもしれません。


『ガラスの小びん』は、

もっぱら聴覚に訴える趣向だったので、

視覚に訴える絵本

『サルビルサ』を取り上げました。

『サルビルサ』には、いちおう、

文章も書かれていますが、

日本語ではなく、

「スズキコージ語」とも言える

短い言葉(単語)が載っているだけですでも、

インパクトある絵を見れば、

登場人物が何と言っているのか

だいたい想像がつきます。


獲物の取り合いから起きた

2カ国間での戦いの話です。

登場人物の見た目や言葉は

異なるように描かれていますが、

やっている行為は全く同じです。

話し合うこともなく、

いきなり実力行使。

互いの意見、正当性を主張するだけで、

「譲歩」も「分かち合い」もありません。

そして、戦場に残されたのは、

おびただしい死体。その中には、

お互いのリーダーの倒れ伏す姿も。

両国の軍は、それぞれに敗走し、

そこに現れたのは……

いわゆる

「漁夫の利」のお話です。


今日も、世界には戦争をしている国、

地域があります。

敵対する双方どちらにも、

それぞれの言い分があるのでしょうが、

殺戮が繰り返され、

日々、犠牲者が増える一方です。

戦争でいったい

何を得るというのでしょうか?


現在、日本はまだ戦火の中にはありません。

これからも、

戦争が身近なもの、

日常的なこととなってほしくありませんが、

危うい世界情勢にあって、

日本も影響を受けないわけにはいかない

でしょう。


『サルビルサ』は、

戦争の愚かさを訴えた絵本

だと思っていますが、

陰惨さはなく、

ブラックユーモアのような結末とも相まって、

思わず苦笑😅してしまうような内容の絵本です。

でも、

子どもたちに何かを考える

きっかけになれば…とも思っています。