信託娘合格 | 土地家屋調査士受験!カネコのちょっと役立つハナシ

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12月8日,「金子先生。去年、土地家屋調査士の講座(水道橋・生講義)でお世話になりました、Nです。今年(平成21)の土地家屋調査士の試験で合格しましたので、ご報告します。・・・」とメールが届く。昨年の試験会場で話をした後,音信不通だった女子生徒からのもの。あとで話を聞くと,今年は生クラスではなく新宿校でビデオ講義を受けていたそうだ。何はともあれ朗報だ。


この女子生徒,私の中では信託娘と名付けている。本人が聞いたらどう感じるかはわからないが。信託の登記を中心にやっている司法書士,土地家屋調査士事務所に勤めているので,信託娘と名付けた。そのボスも土地家屋調査士に関しては私の講義を受けていただいたようだ。ありがたい。信託娘も,これでダブルライセンス。今後の活躍が期待される。


「合格しました。」と電話で真っ先に知らせてくれたKさんの合格祝いを12月11日の金曜日にやることになっていたので,一緒にお祝いをと誘った。そのKさんと信託娘の他に合格者が3人。HさんとWさんとUさんだ。HさんとWさんは答練を受講していただいた方。HさんはKさんが,Wさんは私が声をかけた。Uさんは信託娘が連れてきた。信託娘は「先生の講義を受講していた方です。」と当日まで名前を明かしてくれなかったが,会うと・・・「なんだ,Uさんじゃないですか。」である。Uさんも基本講座を熱心に受けてもらっていた方で,よく覚えているのは,いつもルイビトンのバックを持って教室に来てくれていたから。私が付けたあだ名はダンディU。信託娘同様,本人には内緒の私の中でのあだ名だ。今年で三度目。結果を出されたようだ。今年の合格者五人に囲まれて祝杯を挙げられるのは,講師としてこの上ない幸せだ。



信託娘にちなみ,今回は信託の論点を過去問で拾う。

関連過去問H17-6・5

信託の登記がされている土地について,受託者として登記されている者は,分筆の登記を申請することができない。→誤信託の登記がなされた土地については,所有権の登記名義人は受託者)

 信託は,自己の財産を他人に預けて運用してもらい,その利益を得るのが目的だが,契約や遺言により信託がなされると委任や代理などと異なり,信託の目的となる財産の所有権は信託先に移転することになる。たとえば,Aが所有する土地をBに信託した場合,土地の所有権はBに移転し,Bは,Aの指示をあおぐことなく自己の判断で土地を運用することができる。この場合のAを委託者,Bを受託者という。そして,信託財産が不動産の場合,受託者名義への所有権移転登記がなされる。ただし,当該不動産は信託財産であり,受託者自身が売買や相続などによって取得した不動産とは異なり,あくまでも信託の目的で所有権が移された不動産である旨が,所有権移転登記と同時に示される。これを信託の登記という。上記の事例の土地であれば,受託者Bへの所有権移転登記と信託の登記(信託目的でAからBに所有権が移転された土地であり,Bが個人的に所有する土地ではない旨を示す)がなされる。よって,信託の登記がなされた土地については,所有権の登記名義人は受託者ということになり,受託者として登記されている者が分筆の登記を申請する。



関連過去問H16-9・ア

甲地及び乙地について信託の登記がされている場合において,申請の受付の年月日及び受付番号ならびに登記原因及びその日付が同一であるときは,甲地に乙地を合筆する登記を申請することができる。→誤(合併制限緩和の条件を満たしていない)

 「先生,合筆の登記をお願いします。」と依頼者に言われても,信託の登記がなされていると残念ながら仕事にならない。原則として,信託の登記がある土地は合筆することができないのだ。ただし,あくまでも原則。例外的に仕事になる可能性はある。合筆するすべての土地に同一内容の信託の登記がされていれば,合筆が許される。同一内容の信託の登記とは,下記の不動産登記法第97条第1項各号に掲げる信託の登記の登記事項が同一のものをいう。

 ①委託者,受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

 ②受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは,その定め

 ③信託管理人があるときは,その氏名又は名称及び住所

 ④受益者代理人があるときは,その氏名又は名称及び住所

 ⑤信託法第185条第3項に規定する受益証券発行信託であるときは,その旨

 ⑥信託法第258条第1項に規定する受益者の定めのない信託であるときは,その旨

 ⑦公益信託ニ関スル法律第1条に規定する公益信託であるときは,その旨

 ⑧信託の目的

 ⑨信託財産の管理方法

 ⑩信託の終了の事由

 ⑪その他の信託の条項

 たぶん,信託娘はこれらの事項をスラスラと言えるのだろうけど,私には無理。私が土地家屋調査士受験生でも,これらの事項をこと細かく全部覚えようとは思わない。上記の過去問から「信託に関する一定の事項が同一でなければならないのだな」というレベルで押さえておけば十分だろう。ちなみにこれは建物の合併制限も共通。


 

 二時間飲み放題の合格を祝う会は,8時半開始予定だったが,店員が来るのが遅く,開始したのは8時40分。当然10時40分までどうどうといていいのだが,10時20分をまわった頃「そろそろお時間ですので。」だとよ。「お前,水かぶれ。」と言いたくなるが,今日は祝いの席だし,合格者の面々もそそくさと身支度を始めているので,大人しく店を出る。


 信託娘は夜も遅いのでと先に帰り,二次会は野郎ばかり。下ネタトークで盛り上がった。腹を抱えて笑った。この人こんなに面白い人だったの。人は見かけじゃないねえ。受講態度は極めてまじめだったWさんがこんな人だったとは・・・。楽しい合格祝いでした。