「お久しぶりです。今度、お会いしたいのですが」。ずっと連絡をしていなかった知人から久しぶりにメールが届き、今日、お会いした。
彼はもう70歳近いのに、変わらないなあと思った。ふとしたことから、彼の人生について聞いた。彼は外資系の企業に就職したものの、ベンチャー起業に投資。工場を建てたものの、失敗。20億円もの負債を抱え込んだ。その後、自らの資金をありったけ安全な洗剤などを扱う企業につぎ込み、続々と新商品を開発。だが、今度はその会社の社長の裏切りにあい、解雇されてしまった。当時、60歳。
彼は借金を背負ったことで、妻や子供にも愛想をつかされ、離婚。一人で借金と向き合い続けなくてはならなかった。60歳を過ぎても仕事をしなくてはならない。ハローワークに通い、今度は福島の山の除染作業に4年間打ち込んだという。福島の山里から、コンビニまで7キロ。この道のりを歩いて買い物に行ったという。いったい、どんな思いで彼は長い長い道を歩いたのだろう。「修行に近かった」と言っていた。どこまで波乱なんだろうと、切なくなった。
その後、除染作業を終え、東京に戻ってきた。その彼は今、外資系の企業時代の同僚に誘され、再びベンチャー系の企業の部長になった。
生涯、現役。彼は「もう、たいていのことは驚かなくなりました」と静かに笑った。そりゃ、そうだろう。こんなに波乱万丈な人生があるんだ。
それでも、結果として「泰然自若」という生き方につながっているのかなあと思った。