独身時代、あれは大学時代に付き合っていた男性と別れたばかりのころだった。
「もてない」。私にとって、もてるためにありとあらゆることをしてきた。変えられるものはすべて変えた。整形はさすがに勇気がなかったけれど。
まずは眼鏡をコンタクトに。服装も髪型も女性らしく。そして挙句の果てに、自分の名前まで変えてしまった。
画数がよくないので、変えたほうがいいとのこと。知人の紹介で、確か3万円くらい払っただろうか。どうみても読めないような漢字に変えた。
当時は「これで運が向いてくる」と本気で信じていた。だから、仕事の名刺も変えてしまった。
ところが、それが周りからのひんしゅくを買い、とんでもなく私は浮いてしまった。もちろん職場で後ろ指をさされる存在になった。
それでも、私は幸せになるために貪欲だった。でも、改名したから結婚できたのか、はっきり言ってわからない。戸籍は直せないから、通称で使っていた。夫もついでに改名してもらった。
だが、しばらくして最高最強の名前を付けてくれた先生は、なんと、画数の表を見て、適当に読みと画数をあてはめていたことを知った。そしてトータルで最高の画数になればOK。「これって数字遊びじゃん」。なんだかがっかりした。そんなことなら、自分だってできるとちょっと思ってしまった。
そして師匠に会ったとたん、「こんな名前だ~めだ。元に戻したほうがいい」。そういわれ、元に戻した。信じれば救われるというけれど、画数はどうやら関係ないらしい。