父を看取って、一人暮らしの母に春?が訪れた。今日、鍼灸師の男性からコンサートに誘われたらしい。実家の近くまで行ったので、駅で待ち合わせをしたら、厚化粧でるんるんの母がいた。えらい、気を張ってきたもんだ。いつもは寝ぐせが残ったままなのに、髪の毛もきちんと整えていた。いやあ、いつになっても女だなあ。なんて思いながら、コンサートに誘ってくれた鍼灸師の男性に「母をよろしくお願いします」とあいさつした。そして「あの~煮るなり焼くなりどうぞご自由になさってください。目をつぶったらわかりませんから」と冗談で笑って言ったら、母はちょっと困ったように赤面して笑って、「やあだあ~」って男性をぺしぺしたたいていた(男性はなんにも言っていないのに)。なんだかまるで女学生みたいだ。かわいいなあと思った。
母はたぶん、恋愛できなかったんだろうな。20代でお見合いで父と結婚し、義父、義母、義理の妹2人に囲まれて新婚生活を送らなくてはならなかった。生活習慣も違うし、当時は本当に大変だったんだろうなあ。だから母はおなかの中にいた姉を流産し、兄も生まれてから幽門閉塞で数か月で亡くした。どれだけ涙を流したんだろう。それでやっと私が生まれ、弟ができた。
そんなことを考えながら、女学生のようにうきうきしている77歳の母を見て、なんだかこっちがほっこりした。今までいろいろ重圧があって子供にもきつ く当たっていたけれど、母の幸せそうな姿を見て、ちょっとうれしくなった。