「乳と卵」 | 晴走雨読な日々〜Days of Run & Books〜

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晴れた日は山に登り街を走り、 雨の日は好きな音楽を聞きながら本を読む
そんな暮らしがいい!

これは好き嫌いが分かれる作家ですね。

 

ふと思い立って、川上未映子の芥川賞(2007年下半期)受賞作「乳と卵」(ちちとらん)を読んでみました。

 

 

あらすじ

娘の緑子を連れて大阪から東京の妹のところに上京してきたシングルマザーでホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取り憑かれている。思春期真っ只中の緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。夏の3日間に起きた出来事を通して、三人三様の女性の生き方を描く。

 

この作家独特のクセのある文章。ともすると数ページにわたって段落がなく、しかも句点「。」すら少なく(=一つの文章が長い)、読点「、」すら、一つの文章の中に数えるほど。それで読みづらいかというとそうではなく、リズム感もあって大阪弁の独り言みたいな文章が、私は嫌いではありません。

 

ただ、この作品で取り上げている内容が内容だけに、表現されている女性の感覚とか物に対する考え方は、おっさんにはちょっと付いていけませんでした。

 

「乳」についてーカッコ良い乳首とは?貧弱な胸はいやだなぁ、とか。

「卵」についてはー授精卵の話から、初潮、うっときそうな生理とか、汚したシーツの洗濯、とか。

おっさんがこんなことを書くと、ヘンな人と思われるので詳しくは書けません。

 

改めて芥川賞の選考委員の選評を読んでみると、なかなか面白い。

 

山田詠美村上龍は文句なしの◎。絶対この2人は好きな作品だと思う。

女性の小川洋子とか川上弘美は概ね高評価。

 

逆に石原慎太郎は全く評価せず●。ジイさんには絶対に伝わらない文体と内容だから仕方ないですね。

 

この作品を再構築した「夏物語」というのがあるそうですが、機会があればちょっと読んでみたいと思う読後感でした。