バッハ演奏を得意とする世界的ヴァイオリニスト、堀米(ほりごめ)ゆず子を中心として、バッハの「ブランデンブルク協奏曲」全6曲を通しで演奏するコンサートがあると知り、しかも料金はA席¥3,000という破格の値段で聴けるとあって、すぐにチケットを手に入れました。
堀米さんは、1980年に桐朋学園大学を卒業した年に、エリーザベト国際音楽コンクールで優勝した後、世界の名だたる指揮者やオケと共演しているヴァイオリニストです。ベルギーを拠点にしているため、日本で演奏を聴く機会は少ないのですが、今も世界の第一線で活躍していますね。
2月23日祝日金曜日。会場の兵庫県立芸術文化センターに向かいました。通常この手の室内楽曲は中規模以下のホールで演奏されますが、今回は世界の堀米ゆず子のソロが聴けるとあって、2,000席のキャパのある大ホールでの開催です。
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14:00定刻に開演。4階まである客席はほぼ満席で、マチネーですが祝日のせいか男性の姿が目立ちます。今回は2階席のほぼ中央で、見やすい席でした。
演奏は堀米ゆず子の他に、ヴァイオリンではN響のゲストコンマス白井圭、ヴィオラではいろいろなオケで首席奏者を務めた鈴木学、チェロではN響首席奏者の辻本玲、チェンバロの名手曽根麻矢子が加わり、バックに芸文センターオケのメンバーが加わります。
こんなメンバーの演奏が¥3,000で聴けるのは、とてもお得です。(¥8,000の間違いじゃないかと、度も見直しました。)
「ブランデンブルク協奏曲」というのは、当時神聖ローマ帝国の一地域を治めていたブランデンブルク伯爵に献呈されたことから名付けられたそうです。また、一度に作曲されたものではなく、複数年に跨って作られた楽曲をまとめたもののようです。
楽曲ごとに、楽器の編成や立ち位置が変わるので、ステージスタッフは譜面台や椅子の移動が大変だったと思います。
(チェロやコントラバス、チェンバロのいわゆる通奏低音パートは座りますが、他の管弦楽器は立って演奏します。)
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楽曲ごとに編成と感想を書いていきます。
第1番 ヘ長調
6曲の中では一番大きな編成で、28人という室内楽としてはあまりみたことのない編成です。この楽曲だけ4楽章で構成されていて(他はすべて3楽章)、演奏時間も20分くらいありました。
室内楽というより小規模のオーケストラという感じで、ソロパートを除いては各楽器の音がまとまって聞こえてきて、好みの問題ですがちょっと違和感がありました。
第2番 ヘ長調
20人ほどの編成ですが、リコーダーの代わりとなるフルートのソロが入るのが特徴。バロックらしい木管楽器の響きが味わえます。
15分の休憩を挟んで
第3番 ト長調
ソロパートがなく、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロが3人ずつに、コントラバスとチェンバロが通奏低音で支えるという小編成。
聞きやすいメロディが流れて来て心地良く、昼食後だったので思わず寝てしまいそうになりましたが、グッと我慢。
(隣に座った男性から楽器の音でない通奏低音(=いびき)が聞こえてきたのは、ちょっとイラっとしましたが 笑)
第4番 ト長調
ヴァイオリンと2本のフルート(当時はリコーダー)のソロパートがあるのが特徴で、20人ほどの編成でした。フルートはハモるわけではなく、ヴァイオリンとの二重協奏曲という楽曲。フルートの素朴な音色のバックに煌びやかな合奏が繰り広げられ、対比が面白かった。
2回目の15分の休憩を挟んで
第5番 ニ長調
6曲の中では一番演奏される機会の多い、耳馴染みのある楽曲。管楽器はフルートだけという13人の小編成で、これぞ室内楽という感じ。通常は通奏低音を演奏するチェンバロの長いソロパートがあるのが特徴で、チェンバロ協奏曲と言ってもいいくらい。ピアノとは構造がちがうチェンバロを、歯切れ良く軽やかに演奏する小気味良さが目立ちました。
第6番 変ロ長調
ヴイオラ・チェロ・コントラバス・チェンバロのみという珍しい編成の楽曲。なので、堀米さんの登場はありませんでした。落ち着いたといえば聞こえがいいですが、華やかさにはちょっと欠ける楽曲でした。
約2時間半の演奏が終わり、演奏者が全員ステージに現れてカーテンコール。4回もカーテンコールがあったのに、アンコール演奏がなかったのはちょっと意外でした。
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やっぱりバロック音楽は良いですね。昔は「朝のバロック」というFM放送を目覚ましがわりにしていたので、懐かしく思うと共に気持ちよく聴けました。
日本人がバロック音楽を演奏すると、楽譜通りに真面目に演奏するので面白みがないとよく言われます。この日の演奏は、表情も豊かでメリハリの効いた感じだったのは、やはり堀米さんの指導の賜物でしょうか。