「明石に日本酒とウィスキーの両方を作っている酒蔵があって、見学と試飲が平日しかできなけど、行きませんか?」という、ラン友のやまもっさんのお誘いを受けて、平日13日に仕事を休んで出かけてきました。
メーカーの名前は江井ケ嶋酒造。電車で行くなら山陽電鉄西江井ヶ島駅から歩いていける場所なのですが、そこはランナーなので、ちょっと離れたところから走っていくプランをやまもっさんが考えてくれました。
集合場所はJR山陽本線朝霧駅。最初は女子も数名参加予定だったのが、いろいろ都合がつかないということで一人二人とキャンセルになり、結局おっさん6人だけのメンバーになってしまいました。
この日はJR京都線のトラブルの影響でダイヤが乱れていて、快速電車は大幅に遅れ満員の普通電車に乗るしかないという状況でした。
9:00過ぎになんとか6人揃ったので、近くのスーパー銭湯「龍の湯」に着替えなどの荷物を預けるために歩いて向かいます。
天気は快晴、でも西風が強くて行きは逆風の中を走ることになりました。
朝霧駅といえば、2001年に開催された明石花火大会で、大混雑した歩道橋で死亡事故が起きたところです。その歩道橋には慰霊碑があり今でも献花が絶えません。
海岸線の先には明石海峡大橋が見えて、その先には淡路島が迫っています。
龍の湯は建物が改装中でした。ランステとして利用できるので、ロッカーでランスタイルに着替えます。
やまもっさんのリードで、TVのランスマで紹介されていた中野ジェームズ修一さんオススメのウォームアップ代わりのストレッチをした後、ランニングをスタート。
まずは大倉海岸沿いを西へ向かいます。覚悟はしていたのですが、遮るものがない海岸線は強烈な西風が吹き荒れて、思った以上にスピードが出ません。
風速10m近い向かい風に体を持っていかれそうになりながら、おっさん6人がおしゃべりラン。
ふと砂浜に目をやると、子供たちがこの強風の中ビーチフラッグで遊んでいます。
その先の海岸近くでは、大昔のアカシゾウの発掘された跡があったり
教科書などでも紹介されている、明石原人の骨が発掘された場所もあります。
江井ケ島の海水浴場には、こんな岩場もあったり
ヤシの木が並ぶ砂浜が続いていたりして、夏場には大勢の人で賑わところなんでしょうね。
江井ケ島地区を一旦通り過ぎて、さらに西へ二見地区まで進みます。
というのも、酒蔵の試飲の前にちょっとお腹に入れておこうということで、明石まで来たら玉子焼きでしょうとなり、何軒かある玉子焼の有名店のうち、この日開いていた田村さんへ入りました。
(明石焼というのは一般的な名前で、地元では玉子焼というのが正式な名前です)
スタートしてからここまで約17km、向かい風で結構時間がかかりました。店に入る前に近くのコンビニでアルコール補給。
時刻は12時半過ぎ、開店まもない店の中は他のお客さんは居なくて、狭い店内はおっさん6人で満席です。
ふわトロの卵に包まれたタコが入った玉子焼きを出汁につけていただきます。愛想のいいおねえさんが要領よく焼いてくれる玉子焼きは、20個でもみんな軽くペロリと平らげることができました。
腹ごなしに今来た道を戻ります。今度は追い風になるので楽ですね。
途中で住吉神社があったので、ちょっと寄り道。
参拝して、ちゃんと御朱印もいただきました。
本殿の前で絵馬を眺めるおっさん達。
境内にはこんな雛飾りがまだ展示されていました。
神社から帰る道では、青空と青い海に鳥居と松がいい感じで写真に映えます。
13:00過ぎに江井ケ島酒館に到着。
やっと酒蔵見学と試飲ができると思っていたら、ここは明石の地ビールのブルワリーで江井ケ島酒造とは関係ないことがわかり、慌てて酒蔵のある場所へ500mほど戻る羽目に。
せっかくブルワリーに来たので、お得な地ビール3本セットをお土産に買ってしまいました。
13:30過ぎに、本当の江井ケ嶋酒造に到着。
酒蔵見学は14;00からの予約だったのですが、他にお客さんもいないということで、早めに見学会を始めてくれました。
(写真は係りの人が丁寧に名刺交換する場面)
江井ケ島酒造は江戸時代から続く西灘のメーカーです。会社組織になってから今年で130年の歴史があるとのこと。
構内には明治時代に建てられた木造の酒蔵が7つも残り、今も酒造りに使われているそうです。
最初に最も古い一番蔵へ。
木の梁や柱は鉄骨で補強はされているものの、建築当時のものだそうです。
3月ということで、酒造りはもうほとんど終わってるため作業工程を見ることはできず、四番蔵ではもろみを絞り機械も掃除に入っていました。
五番蔵の二階に上がると、酒の貯蔵樽が頭だけ覗いている風景を見ることができました。
構内にある資料館には
酒造りのための古い器具や
昔のラベルなどが展示されていました。
中でも珍しかったのが、昔プロ野球の巨人軍が明石で春季キャンプをした時に、休日にメンバーが酒蔵を見学しに来て残していった大きな色紙です。川上哲治、水原茂、別所毅彦、青田昇など、往年のジャイアンツファンにたまらない名前が並んでいます。(ウォーリー与那嶺は英語のサインでした)
酒蔵見学の後は、道を挟んで別棟のウィスキー醸造所に向かいます。
入り口の前には、古い蒸溜器のポットスチルが置かれていました。何でも先月新しいポットスチルと交換して、古いものを入り口にモニュメントとして展示するための作業中だそうです。
(余談ですが、この醸造所は先月MBSの「ちちんぷいぷい」とABCの「朝だ!生です旅サラダ」で立て続けに放送されて、「旅サラダ」の時は偶然放送を観ていました)
簡単な製造工程の説明のあと
屋外に展示されている初代のポットスチルを眺めながら、二階に上がると
そこには対照的に真新しいポットスチルが鎮座していました。
係りの人によると、最近の日本ウィスキーブームで量産に次ぐ量産だそうで、日本酒より利幅の大きいウィスキー作りが今や収益の大半を稼いでいるとのこと。元々は冬場の仕込みが終わった杜氏の仕事を生み出すために始めたウィスキー作りが、会社を支えることになろうとは思ってもみなかったそうです。
館内にはウィスキー作りに欠かせない木の樽が置かれていました。サントリーなどの大手メーカーは自前で樽を作りますが、この江井ケ島酒造では主にスペインのシェリー酒やアメリカのバーボン作りに使われた中古の樽を再利用するというやり方を取っているそうです。
そして、お待ちかねの試飲会場へ。日本酒と「あかし」ブランドのウィスキーが同時に試飲できるようにセットされています。
全て無料というわけではなく、高い酒はワンショットいくらという形で都度お金を払って試飲するシステムになっています。ちなみに写真の左シェリー樽で貯蔵された10年物のシングルモルトはワンショット(30mL)が¥900!(ボトルは何と¥15,000以上もする限定生産ものだそうです)。
とても試す気にはなれないので、その横のワンショット¥300の3年ものを試飲しました。日本酒の樽で貯蔵されたというシングルモルトは滑らかで飲みやすかったです。散々迷って思い切ってボトルを購入。家でチビチビやるつもりです。
アルコールが入った体ではもちろん走れないので、ここからは電車で戻ります。山陽電鉄の西江井ヶ島駅から電車に乗り、龍の湯の最寄駅大蔵谷駅へ。
龍の湯へ歩いて戻る途中で、カラーのマンホールを見つけたので、シューズサークル。東経135度の子午線の町をアピールしたデザインになっています。
温泉でほっこりした後は、館内で有志でプチ打ち上げ。平日大人の遠足が終わりました。
この日のコースはこんな感じ。海岸線をひたすら走ったことがわかります。
江井ケ島の酒蔵見学はなかなか面白かったので、早くも秋に訪れようという計画が持ち上がっています。平日だけというのがネックですが、ぜひまた訪れたいと思う場所でした。