
映画「もうひとりの息子」(2012)を観ました。
あらすじ
テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の家族。 ある日、18歳になった息子が兵役検査を受ける。 そして残酷にも、その結果が証明したのは、息子が実の子ではないという信じ難い事実。 18年前、湾岸戦争の混乱の中、出生時の病院で別の赤ん坊と取り違えられていたのだ。
ネット記事より
他の人の感想です。
湾岸戦争の混乱で生後まもなく取り違えられた2人の息子の話。
取り違えられた二つの家族はイスラエルとパレスチナ。
パレスチナ人として育ったヨシンとイスラエル人として育ったジョセフ、対立する民族同士の苦悩と葛藤を抱えながらも、本来の血筋と互いの文化を受け入れて前へ進もうとする強さが、中立な目で描かれ温かみを感じた。
良作です👍✨✨
ロレーヌ・レヴィ監督作。
出産時に赤ちゃんを取り違えられた二組の家族の行く末を見つめたドラマ。
18年前、湾岸戦争の混乱のさなかに赤ちゃんを取り違えられていた事実を知ったフランス系ユダヤ人家族とパレスチナ人家族の関わりを描いた人間ドラマの傑作で、是枝裕和監督の『そして父になる』(13)を連想させる―“取り違えが生む悲劇と再生”が、ユダヤ人家族の暮らすテルアビブとパレスチナ人家族の暮らすヨルダン川西岸地区を行き来しながら映し出されていきます。
取り違えによる家族それぞれの混乱と苦悩、葛藤の日々に、イスラエル・パレスチナ間の積年の対立を背景として据えた人間ドラマとなっていて、18年間愛情を注いで育ててきた息子が敵国の人間であることを知った双方の家族の心の揺れを丹念に描写しています。
取り違えられた二人の青年がそれまで心の拠り所としてきた民族・信仰を含めたアイデンティティーを根底から覆される事態に苦悩する様子を描きながら、同時に、今まで育ててきた息子ともう一人の実の息子の存在に葛藤する両親、自分達の土地を占領し続けるユダヤ人に敵意を剥き出しにする兄、事の重大さを理解できず単に“お兄ちゃんが増えた”とだけ考える幼い妹の姿など、取り違え被害に遭った当の本人のみならず、両者の家族それぞれが抱える複雑な心情にまでしっかり焦点をあてた作劇となっています。
テルアビブの綺麗な街並みや解放感のあるビーチとは対照的に、高い壁で分断されたパレスチナ自治区の住環境は狭苦しく息が詰まりますし、通行証なしではイスラエルとパレスチナ自治区を行き来できないという不便な現実が今なお続くイスラエル・パレスチナ間の対立の根深さを象徴しています。しかしながら、取り違えの事実発覚に端を発する両家族の交流の積み重ねが、民族・宗教の対立を越えた相互理解を育ませてゆく様子に一筋の希望を見出すことができる作品で、子どもを愛せる・愛せないの理由に民族や宗教等の外面的事実は通用しないことを静かに提示した、中東の民族対立を背景にしながらも葛藤や、苦悩普遍性のある家族ドラマの傑作であります。
蛇足)
イスラエルとパレスチナ自治区は壁で分断されていても電話は普通に通じるのが驚き。
子供が取り違えられていたなんて…。
国も宗教も違うのが、更に深刻でした。
真実を知った瞬間は、一緒に涙が出ました。
これは、頭が真っ白になる。
それでも、母親同士や子供同士の様に、気持ちを共有出来る気がするのが、不思議と心強かったです。
それぞれの感情がとても良く伝わりました。
本人達がとても大人だったな。
フィルマークスより
国も宗教も違う子供の取り違えが発覚する。
しかも子供が18歳になった時に。
家族や親はそして本人同士はこの葛藤や苦悩を越えられるのか?
宗教や自身の理念に固まっていたのは父親同士でした。
まず互いの母親は葛藤よりもわが子を受け入れ愛おしむ気持ちが先行します。
幼い妹同士はもう先入観にしばられることなく仲良くなるのが早いです。
人類がこの映画のふたりの息子のように宗教や理念の違いを越えて互いを家族として受け入れられるようになれるようにとの祈りが込められている。