
すごくよかった。男性中心的な格差社会でそれぞれに生きる女の子たち。女は大学に行けない。家業を無給で手伝わされる。コネがないと就職できない。頑張っても大卒のようには昇進できない。
テヒはある種の理想的な人間像だったように思う。分け隔てなく接し、じっくり自分の頭で考え、正しいと思う行動をする。テヒとジヨンは幸せになってくれるだろうという希望を持てる。
対してより等身大なのはヘジュで、自らを苦しめているものが何かを認識し、自分を憔悴させるのではない道を見つけることができるのか、その後が気になる。
またピリュとオンジョは描かれている部分が少なく、大好きだけど悪い意味で理想の友人になっている気がする。二人が心安らかに暮らせているのか心配。
観るのは2回目。また観ると思う。全部好きだから。
かつて親友だった5人の高校生は、卒業後、それぞれの家庭環境や理想と現実の隔たりに悩み、以前のような関係では居られなくなっている。すれ違いや深い交わりを繰り返しながら人生に向き合っていく姿を見ていると、胸に迫るものがある。テーマは暗いが、ラストにかけて前向きな気持ちになれる。
モラトリアム状態のテヒのみが友人関係の拗れを修復しようとする余裕があるという描写は、未来の見えない仕事に就くことになったヘジュやヤングケアラーのジヨンの状況の辛さに強度を与えている。そもそもの関係が拗れた原因も仕事による悩みであるし、仕事って何だ、生きるって何だ、社会って何だ、と多くの何だが頭に浮かぶ。また、そうした仕事をしている人達の苦しさと同時に、とりあえずは無理に仕事をしなくても良い状況にいるテヒの苦しさも感じられるのが凄いと思う。
喫煙(ペ・ドゥナのヘビースモーカーっぷりが似合っている)や飲酒のシーンが多く、暗く重い現実社会で生きる辛さが感じられるし、まとわりつくタバコの煙は彼女達の悩みそのものにも見えてくる。
フィルマークスより抜粋
いろいろネットでこの映画についての記事を調べていたら、大場正明さんの書いた文章を見つけました。
なるほど映画に対しての鋭い分析と魅力が詰め込まれていました。
映画を観てからこの文章を読んでもいいし、文章を読んでから映画を観てもより映画の魅力を感じられると思います。