気まぐれな唇 | 好きなことだけで生きられる

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映画「気まぐれな唇」(2002)ホン・サンス監督


を観ました。


映画紹介


演劇界では多少名の知れた俳優ギョンス。しかし、出演した映画が失敗に終わり、次回作の話もご破算となってしまう。そんなある日、先輩のソンウから誘いの電話を受けたギョンスは、気晴らしの旅に出発。グラマーな美人ダンサー・ミョンスクと出会って意気投合し、そのまま一夜を共にする。
公開日: 2004年1月31日 (東京都)

ネットより抜粋

まだ見ていない作品だと思って鑑賞しました。

途中まで見て後半二人目の女性に出会うところから何だか見たことがあることを思い出しました。

この話は、さえない男がタイプが違う女性二人に出会う話です。

まだ初期の作品ですが、今の作品とそのスタイルは変わっていません。

好きな人はものすごく気に入る作品だし、どこが面白いのかわからないという作品でもあります。

それくらいだらだらとたんたんと日常を描くからです。

他の人の感想です。


甘味の感想・評価

4.0
1

初期のホン・サンスがアマプラに来てる〜!って事でいそいそと嬉しそうに観る私。

まぁ分かってたけど、若い頃からホン・サンスはずーーーっと変わらずホン・サンスなんだなと。今じゃお馴染みのあの独特なズーム演出とかはまだ無いんだけど、既に完成されてて唸ってしまった。おもろいわー。ほんっとクズおもろい。
内容も初期から一切ブレてなくて笑ってしまう。(マイナー映画撮ったりもしてる俳優が気晴らしに旅した先で出会った女性二人とそれぞれ喋って酒飲んでヤる話)

グイグイ来られると逆に冷めちゃう前半と、逃げられると火がついてストーキングまでしちゃう後半。
男のアホな所を凝縮したようなこの主人公、下衆にもかかわらず不思議となんか憎めないんよな〜。前半で褒められた回転攻め早速試してるのとか、あんなん笑うわ。おもろ過ぎ。

んで色々あってかーらーのー、全てを現実に引き戻すあの占いのくだりな。まじサイコーだったわ。人徳ないって火の玉ストレート過ぎわろた。

いやー、めっちゃ楽しかった。哲学っぽい匂いさせてる近年の作品も好きだけど、初期のは若さ故?のストレートさが生々しくて凄く良いわ。自由に恋する登場人物達がちょっと羨ましくなっちゃったぐらい。

やっぱホン・サンス好きやな私。と、改めて。ご馳走様でした。満足満足。


ayknの感想・評価

3.5
0

「人として生きるのは難しいが、怪物になってはダメだ」
全員ダサくて人間味しかない


Mshiの感想・評価

3.7
0

主人公の男がホンサンス作品のなかでも群を抜いてとにかくキモくて情けないんだけど、こういう人を好きになっちゃう女がいるのもなんとなくわかるw 初期ホンサンス作品はここまでリアリティだしちゃう?ってくらい恋愛の滑稽さを映し出してくれるのがスゴイよ、、、エンディングも笑った。激しい話では決してないけど、人間のろくでもないところを映し出してくれることで、そうでもしないとこの地獄で生きていけないよと思わせてくれるホンサンスありがとう!


まぬままおまの感想・評価

4.0
0

ホン・サンス監督作品。

男というか人間のどうしようもなさがどうしようもなく描かれている恋愛物語でとても好き。

初期作品に当たる本作は、ホン・サンス監督の代名詞である通称「バカズーム」は確認できない。しかしとりとめのない日常劇が固定カメラで長回しされており、そこで生まれる温度感は間違いなくホン・サンス監督の作品だと思わせる。

売れない俳優・ギョンスと先輩とダンサーの女、彼と教授とその妻。
男二人と女の彼らの物語は、途中で挿入される回転門の話と共振する。

昔々、唐の皇帝・太宗には平陽姫という娘がいた。その姫に恋する男。皇帝は男に怒り殺してしまう。死んだ彼は蛇として生まれ変わる。そして呪うがごとく姫に纏わりつく。苦しむ姫。するとある道士が朝鮮の清平寺に行けという。その通り姫は寺に行くが、ご飯をもらいに行くと言ったきり戻ってこない。蛇は気になり姫を捜しに行こうとする。しかし突如稲妻が走り、夕立が降ってくる。蛇はそれで怖くなって逃げだした。その時、蛇が通った門が回転門というのだ。

蛇とはまさにギョンスだ。ダンサーの女と人妻には皇帝のごとく守る先輩と教授がいるのに、彼女らに恋煩いをしつきまとう。しかし回転門の話のように後世に語り継がれるような劇的な出来事が起こるわけでもない。皇帝は倒されることなく、姫を我が物にすることもできず、蛇は、ギョンスは、雨が降る道を、恋敗れた行路を、引き返すことしかできない。

ギョンスは出演が取りやめになった映画の監督にある言葉を言われる。
「人として生きるのは難しい。でも怪物になってはダメだ。」

人として恋をするのは難しい。恋心は人を狂わせ蛇にしてしまう。蛇はダメだ。そこまでは分かる。

だけど、ホン・サンスは、そのダメさを叱責することもなければ、変わるようにも言ってない。ダメさをダメのまま物語にすること。ならばダメさを懐柔するのがいいのではないかと、気まぐれな唇が言ってみる。


フィルマークスより抜粋



ホン・サンスの作品は見るとなんか安心する。

不思議と駄目でもいいんだと肯定されている気がするから。