
映画「ハーフオブイット:面白いのはこれから」
2020年アメリカ/アリス・ウー監督
を観ました。
あらすじ ( 引用 )
主人公のエリー・チューは中国からの移民で、いつも同級生から通りすがりに「チャグチャグ・チューチュー!」と声をかけられ、からかわれている。
彼女はとても明晰で、同級生のレポートを代筆してお金を稼いでいるのだが、ある男子(ポール)からラブレターの代筆を頼まれたことから、ポール、ポールが想いを寄せるアスターと不思議な関係で結ばれていく。
エリーは本当に透徹したまなざしの持ち主で、ポールもアスターも家族の期待に縛られていることを見抜いてる。
(ポールは家業を手伝う中でオリジナルレシピを開発したが、家族はそもそも末っ子の彼を一人前として認めておらず、またアスターも家族から地元の名士の息子と結婚し、良き妻、良き母となることを期待されている)
ふたりの人生は、エリーとの関わりで変わっていく。ポールはレシピを認める人と出会ったり(エリーが文章力を活かして、各所にポールを売り込む手紙を送ったから)、アスターも美術学校への進学を決めたりして行くんだけど、エリーもまた、家族に囚われていることをポールから指摘される。
父親のために、自分はこの町に止まってしっかりしなくちゃ。そう自分で決めてしまっていたエリーが、執着を手放して新たに歩き出す様には本当ね、爽やかな感動を覚える。
"私は映画を観ながら、自分の輪郭を確かめている|にしはらあやこ|note"
こちらの記事からの抜粋です。
なかなかに評判の良い映画で以前から気になっていました。
女性が女性を好きになる映画がなぜここまで支持されるのか考えてみました。
1、
恋愛でも成功でもなく成長にスポットを当てた物語になっている。
メインの登場人物は3人。
エリーとポールとアスター。
ポールのアスターへのラブレターの代筆を頼まれるエリー。
やがてポールはエリーに惹かれ、エリーはアスターへの想いが強くなります。
しかし物語はあくまで今まで越えられなかった殻を一つずつ破って3人が新たな可能性に挑戦する姿に焦点が当たります。
そこが見る人の心に響く最大の魅了です。
2、
文学作品などからの引用が多く作品に深みを与えている。
プラトンやサルトルの言葉を引用し、最後はエリー・チュウの言葉がぐっと心に刺さります。
愛は厄介でおぞましく利己的、それに大胆。
見る人の人生にも響いてくる言葉です。
時に愛の力が大胆な行動のパワーを与えてくれます。
監督の実体験を元にしたストーリーだからか妙な説得力があります。