「ドリームプラン」を観ました。
差別され虐げられた立場にもめげずに、子供が産まれる前に書き上げたプランに則って、娘をプロのテニスプレーヤーに育てあげる話。
実は、実話です。
親父が凄い。
妻や周りの声はよりも自らのプランを優先する。
とにかく娘を信じてテニスの練習に明け暮れる。
ついていく娘たちも凄い。
実際にテニスが上手くなければ無料のコーチも付かなかっただろうし、
親父や娘たち、妻の支えも合って実現できた夢だったのだろう。
子供は、女の子ばかり5人、父親は昼間は娘たちのテニスのコーチをして夜は警備の仕事をする。
妻も仕事を掛け持ちして働いている。
試合に勝って浮かれている子供たちを街なかに置いていこうとしたり。
「シンデレラ」のビデオを、謙虚さの教訓がわかるまで何度も見せようとしたり。
長女がテニスコーチのスクールに入るも準備が整うまで試合をさせなかったり。
とにかく、子供のことを思うあまりの父親リチャードの発想が周りの人になかなか理解されなかったりします。
それも自身の黒人として虐げられた歴史や愛されなかった境遇を子供には味あわせたくなかった親心から出てきたものです。
3年の準備期間をへて、14才でプロデビューした長女の試合を見ないで観戦する父親。
チャンピオンとの試合では負けてしまいますが、スタジアムの外にはファンが出待ちしていました。
姉妹のプロとしての活躍は、最後に字幕で紹介されました。
夢の実現に向かう家族の話なので、テニスに関心がなくとも最後まで興味深く観られます。
映画を振り返ると夢をかなえるためのヒントがいくつか隠されていました。
まず、夢の実現までのプランを書き出す。
その実現のために行動する。
協力者が現れても指導権は譲らない。
「白雪姫」の謙虚さを忘れない。
夢の実現に向かうチームのメンバーを信頼する。
夢の実現のために参考にしたいです。
とにかく相手に活躍してほしかったら、怒るでも叱るでもなく、まず自信を持たせること。
絶えず父親は娘たちを最強のプレーヤーとして将来間違いなく大金を稼ぎまくる選手として普段からのかけ声をかけ続けていました。
その姿から学ぶことは少なくありません。
父と子においてはもちろんのこと。
政治家と国民においても、先輩後輩の関係から、経営者と従業員に至るまでどれだけ相手に自信をつけさせてあげているか。
自信に気づかせてあげればやがて一人でも不安になることはないでしょう。
何をするかより、どうあるかが大切なのです。
「DO」よりも「BE」。
父は娘たちにそれを教えたかったのでしょう。
終始出ずっぱりの父役や長女、次女役の熱演が、妻の演技を超えた存在感が映画に説得力を与えてくれています。
原題は、「リチャード王」。
さすがにそれではお客さんを呼べないと思ったのか、
邦題は「ドリームプラン」です。
でも、正確には、「リチャード王のドリームプラン」ではないかと思います。
だってそもそものプランを考えたのはリチャードだから。
いつの時代にも環境にめげずに夢を実現する話には希望を感じます。
しかも、家族がひとつになってそれを掴み取る話には涙を禁じ得ません。
でも、リチャードとは何者だったのでしょうか。
姉妹にとっては、父でありテニスプレイヤーとしての才能を伸ばしてくれた名コーチでした。
リチャードが父でなければその後の華々しい記録の数々もなかったかもしれません。
確かに、誰の人生でもリチャードとの出会いがあるのかもしれません。
この人との出会いがあったおかげで今の自分が在ると思える出会いが。
あなたにとってのリチャードは誰ですか?
この映画は、観た人にリチャードとの出会いを思い出させてくれる映画です。
そしてやがては自分が誰かのためのリチャードになるために背中をそっと押してくれる映画です。
そんな大切な映画だから、思い出すたびに勇気がもらえるのかもしれません。
ウイキペディアの映画紹介は、
こんな記事も見つけました。
「私たちの父は違った」なぜ未経験者がウィリアムズ姉妹を育てられたのか?…映画『ドリームプラン』が描く“テニス界の毒親問題”