
映画「ドリームプラン」の公開が近づいています。
その宣伝が熱いです。
映画の熱気を伝えてくるようです。
正直、劇場で予告を見て気になっていた程度でした。
何日か前にこれを読んでからは観に行きたい気持ちに火がつきました。
でね、これテニスに全然興味ない人もめちゃくちゃ面白いっていうか、ちょっとどうかしてる内容の映画なんで。まず、どういう風にどうかしているのかっていうと、このお父さんのリチャードさんっていうのは貧しい黒人男性なんですけども。テレビを見ていて、あるプロテニスプレーヤーが4日間で賞金を4万ドル(約400万円)稼いだっていうのを見て、びっくりするんですね。普通の人の年収ぐらいを4日で稼いだというわけですよ。で、「これから子供を作ってその子たちをテニスプレイヤーにしよう!」って決めるんですよ。まだ子供はその段階ではいないの。
で、いきなりノートを出して。生まれた子がスーパーテニスプレイヤー、世界一のテニスプレイヤーになるまでの計画表を書くんですよ。このおっさんが。80ページぐらいの計画書を書くんです。でね、まず生まれた子たち、その姉妹のビーナスとセリーナに教えるんですけど……この人、テニスをやったことがないの。
町山智浩「ドリームプラン」を語るより
テニス未経験の父親がテレビでテニスプレイヤーが短期間で稼げる賞金の額に惹かれて子供をテニスプレイヤーに育てる話。
この時点で興味がわきました。
テニスにもウィル・スミスにもウィリアムズ姉妹にも全く興味がありませんでしたが。
このお父さんのエピソードが面白そうです。
貧しいところに暮らしてるんですけど、すごい金持ちの街とかに行ったりするんですよね。すると、豪邸が並んでいたりするですよ。そうすると「ああ、豪邸だね。この人たちはお金持ちだね」とは言わないんですよ、このお父さん。リチャードさんは。「これよりももっとデカい家をいくつも、お前たちは持つようになるからな!」って言うんですよ。
町山智浩「ドリームプラン」を語るより
でもお父さんなかなか強烈な方だったようです。
ただね、奥さんはちょっとぶち切れるんですよ。このリチャードに。奥さんの演技が素晴らしいですけど。アーンジャニュー・エリスっていう人がやっていまして。あまりにも自己中心的な父親なので、とうとう最後ぶち切れるところがあるんですけど。「あんたね、仕事してないんじゃないの!」って言うんですね。「あんた、その前にセメント会社をやってたけど、失敗したでしょう? クリーニングビジネスもやったけど、失敗したでしょう? 自分がうまくいかないから、娘で金を稼ごうとしてるだけでしょ?」って言うんですよ。この奥さん。で、さらに「『俺は家族を大事にする』とかとか言ってるけど、あんた、前の家族……前の奥さんとの間に5人の子供を作ったけれども、養育費も送らずにほったらかしにしてるでしょう?」って言うんですよ。
町山智浩「ドリームプラン」を語るより
で、今はどうなっているのかというと。
ものすごく欠陥だらけの男としてリチャードは描かれているんですけど、そのへんもすごくて。ウィル・スミスがこういう役をやるということは……この人っていつも自信たっぷりの役ばっかりだったんで。だから非常に珍しいですね。で、この映画は彼、リチャードさんが主人公なのにもかかわらず、リチャードさん自身はこの映画を見てないらしいんですよ。なんと。これ、制作をしたのはウイリアムズ姉妹なんですね。で、リチャードさんはこのウイリアムズ姉妹が成功した後、奥さんに離婚されてるんで、縁がなくなっていて。
彼の許可を得ないで作られた彼の伝記映画なんです。すごい変なことになってますよ、これ。本人は見てないというね。そういう悪いことも全部描いてるんで。
町山智浩「ドリームプラン」を語るより
なかなかとんでもないことになってます。
この映画は何を描きたかったかというと。
ただ、この映画のポイントはその「父親が頑張りました」っていうことではなくて、この娘2人が父親からどのように自立していくかという物語なんですよ。
町山智浩「ドリームプラン」を語るより
で。
変なお父さんではあるんですけども、ひとつ間違ってないのはとにかく「お前らはナンバーワンだ! うちの娘はナンバーワンだ! 誰にも負けないよ!」って言い続けたことなんですね。「絶対に勝つ!」と。それが彼女たちの中に自信を作って、それこそ父親からも自立していく自信を育てたってことは間違ってないですよ。
町山智浩「ドリームプラン」を語るより
子供のころに親から受けた教育や影響はその後の人生にずっと影響を与えるものです。
子供の中に自信を持つことを育てたことは大切なことだったんですね。
なつづきの感想・評価 2022/02/10 21:38
試写会で視聴。
ウィリアムズ姉妹を育てた父親リチャードにスポットを当てた物語。
リチャードの父親としての成長、親子の絆、黒人差別の根深さとそれによるリチャードのトラウマとコンプレックスなど、色んな要素が詰め込まれていて見応えがありました。
どんなに才能があっても、とにかく行動しなければ成功はない。逆にどんなに困難な夢でも動けば道が開ける可能性は一気に高まる。「何かを変えたいなら信じて動け」と訴えかけてくる映画でした。
Filmarksより
良いところは学び悪いところは反面教師として、いろいろと考えさせられそうな内容に益々興味がわきました。
2月23日公開です。
『ドリームプラン』は、2021年にアメリカ合衆国で公開の伝記映画。監督はレイナルド・マーカス・グリーン、主演はウィル・スミスが務める。本作は、テニス選手ビーナス・ウィリアムズとセリーナ・ウィリアムズの父でありコーチであるリチャード・ウィリアムズの生涯を描く。
予告編
テニスの女王ウィリアムズ姉妹の父親を映画化、ファミリーが出した条件は「毎日、すべて」
