「3度目の、正直」を観ました。 | 好きなことだけで生きられる

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●2つ目、出会い 気の合う仲間との出会いの場。

『三度目の、正直』公開記念イベントに参加しました。 




解説


黒沢清監督の「スパイの妻」、濱口竜介監督の「ハッピーアワー」で共同脚本を務めた野原位の劇場監督デビュー作。パートナーの連れ子がカナダに留学し、寂しさを抱えていた月島春は公園で記憶を失くした青年と出会う。過去に流産の経験がある春は、青年を神からの贈り物だと信じ、青年を自身で育てたいと願う。一方、音楽活動を続けている春の弟・毅は、精神の不安を抱えながら、毅の創作を献身的に支える妻・美香子とともに4歳の子どもを育てていた。それぞれが抱える秘めた思いが、神戸の街を舞台に交錯する。「ハッピーアワー」でも舞台となった神戸で撮影され、「ハッピーアワー」でロカルノ国際映画祭の最優秀女優賞を受賞した川村りらが春役を演じた。神戸出身のラッパー・小林勝行が俳優に初挑戦した。


映画.comより抜粋



簡単すぎる人生に、
生きる価値などない。

ソクラテス



映画「3度目の、正直」を観ました。


野原位監督の長編デビュー作です。

映画「ハッピーアワー」で共同脚本として参加された野原位監督が、


その時参加されたキャストやスタッフと

「ハッピーアワー」で描いた世界観のその先を見据えて


作り上げた作品です。


二度の離婚を経験しても子供を持つことができず、

偶然行き倒れた青年に出会い彼を我が子のように


接する女性と

彼女の弟の子供がいるが精神を病み通院する妻の話が並行して描かれます。


アスリートが記録更新のために切磋琢磨するように

芸術家なら今までに見たことのない作品を生み出すために命を削ります。


監督のこの映画を生み出すための苦労が報われた作品です。


濱口竜介監督を嫉妬させ

 


あるいは、


共感はできなくとも

肯定できると


映画を見た人に思わせることに

成功しています。


予測不可能のストーリー展開、

予定調和に納まらない登場人物たちを通して

唯一無二の魅力を描き出しています。


スルメのように

噛めば噛むほど

味が出る


観れば観るほど

発見がある


映画です。


映画「ハッピーアワー」が

そうであったように


同じように

撮っては脚本を直し

撮っては直し


の撮影方法は、

迷ったら大変な方を選べといわれている


あえて難しい方に舵を切りったかのようです。

その甲斐あってか、


あまり見かけない

それでいて興味深い


見たら忘れられない

作品へと反映された


硬度の強い

繰り返しに耐える作品が出来上がっています。


一度ではなく、

何度もその作品世界に触れたくなります。


不可解で理不尽でやっかいな人生に

監督初め役者スタッフが賢明に


向き合った成果を感じます。


野原位監督の名前が

確実に心に刻まれました。



後半、月島春の弟・毅に妻美香子が


車中で夫の毅に

思いをぶつけるシーンは、


カサヴェテスの「こわれゆく女」の

ジーナ・ローランズとピーター・フォークのやり取りを見ているかのようでした。


ゲアトルーズのような月島春こと川村りらさんの姿、

納得です。

 

 


ラストに映る記憶を失った青年の姿は


この矛盾に満ちて欲しいものが手に入らない世界との

向き合い方を教えてくれているようです。


まだまだ、

この作品に出会えた興奮が覚めそうにありません。



映画予告編