「さがす」持つべきものは | 好きなことだけで生きられる

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佐藤二朗と片山慎三監督が描き出す、ハンマーカンマーな映画『さがす』 



映画『さがす』(PG12)

2022年1月21日(金)テアトル新宿ほか全国公開
監督・脚本:片山慎三
共同脚本:小寺和久、高田亮
音楽:髙位妃楊子
出演:佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也、森田望智、石井正太朗、松岡依都美、成嶋瞳子、品川徹
配給:アスミック・エース
(c)2022『さがす』製作委員会



映画「さがす」を観ました。


ストーリー


大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。
ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん!」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。
失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった――。


公式ホームページより



娘役がいい。


連続殺人犯にかかわったがゆえに

自らも罪を背負った父親に向き合う娘の姿が


いじらしい。

突然居なくなった父親を探し、


父親の名前を語り働く殺人犯と出会った娘は、

父親の事を尋ねるために


殺人犯を追う。

逃走する殺人犯を捕まえることはできなかった。


かわりに逃げる時に

脱がせたズボンを奪い取る。


ズボンの中に父の携帯と島へのフェリーのチケットを

見つけた。


自分のことが好きでつきまとう男友達と島に向かう。


そこで、ある家に横たわっている父親を見つける。



主な登場人物は、

3人。


父親と娘。


そして、

指名手配中の連続殺人犯。


最初、娘のパート。


次が連続殺人犯のパート。


最後に父親のパート。


最後まで見て

ようやく事のあらましが


わかる仕掛けになっています。


突然居なくなった父親を探して

島に行く娘。


ツイッターで自殺願望のある人を誘い出して、

殺人を繰り返す連続殺人犯。


障害者の妻の自殺願望を叶えるために

病院で出会った殺人犯に

妻の自殺補助を依頼する父。


その後、殺人犯のススメで報酬目的で

死を望む人を殺人犯に紹介する父。


ある時、連続殺人犯にかけられた300万円の賞金目当てに連続殺人犯を嵌める計画を実行する父。


島で待つ殺人犯のもとに自殺願望を持つ女性と

向かう父。


島ではまんまと殺人犯を殺し

殺人犯に刺された傷を自ら作り


自作自演により

罪をのがれます。


懸賞金の300万円を手にして

卓球場を再開します。


娘と延々卓球をする父。


ラリーが結構続きます。


その最中、

娘が父に言います。


母と自分のことを忘れないでと


そして、


父のやっていたことも

全てを知っていると。


父は動揺し

玉を落とします。


そして、父を捕まえるべく

パトカーのサイレンが近づいてきます。





2時間3分の上映時間を

片時も飽きさせずに


画面に集中させた監督の手腕と

出演者の演技は素晴らしかったです。


ただ、個人的には

ツッコミ所もいくつかありました。


駄目な父親を想う娘の気持ちが

テーマのひとつであったと思います。


ここにもう少し焦点を当てて

時間を割いて欲しかったです。


妻が障害者になり自殺願望があったのを

知りながらも


本当に妻の自殺補助を他人に依頼して

しまうところは


少し納得がいかなかったです。

愛していたらいくら妻が望んだとしても


殺すかと。

もう少し、妻と夫との幸せだった時間も


映して欲しかったです。

口では、妻のことは楽しかった思い出しかないと


いうが

いまいち夫であり父の妻への愛情が伝わってこない。


生前妻とまた卓球をやろうなと声をかけていたのだから


せめて、二人で卓球をやっているシーンのひとつでも

入れてくれたらと残念。


後はやっぱり


連続殺人犯の設定が必要だったのかなと

思います。


興味を引くために

飛びつきたくなる設定ではあるかとは思うのですが、


彼自身がなぜそのような性癖を持つようになったかの

経緯もあまり触れられておらず、


ただ、不気味で気持ち悪い設定だけが目立ち、

見ていて不快感だけが残りました。


なにより年々スクリーン越しとはいえ

刺激の強いシーンに耐えられなっているのか


願わくば、

あまり直接人を殺すシーンは


描かれない方が

安心して人にも薦め易いのですが。


描き方が上手なので

人が死ぬシーンも生々しい。


妻が死ぬ所も

死んだとおもっていた自殺願望のある女が


父親に迫ってきて

一瞬妻の顔とだぶり


首を絞めて思わず殺してしまうシーンとか。

殺そうとして、


次のカットで死んでいるでも

いいのでは。

印象に残ったのは。


父と娘が向き合って

父が唇をすぼめながら


何度も突き出して変顔をして

娘を笑わせようとするシーン。


勝負は、娘が吹き出してしまいます。


もう一度ラストに同じ場面が

あります。


今度は、娘が父に向かって

先程の変顔を真似ます。


今度負けたのは父でした。

このシーンが印象に残りました。


二人の中の良さを伝えてくれ

なおかつ、


一連の出来事を通して

最初は父にあった主導権が


娘に移ったことを象徴しているようにも

思いました。


ラストの卓球のシーンも


日本映画史上

稀に見る


名シーンです。


映画「さがす」を


ひとことでいうと


持つべきものは、

娘の愛


という

映画です。


障害者の妻の自殺願望をかなえる父。


連続殺人犯。


ともすれば、暗くなりがちなトーンを


純粋に父を想う娘の存在感が


どれだけ映画に救いをもたらしているか。


この娘の伊東蒼の光る演技だけを観ても

お釣りがきます。


万引きで捕まった父の元に

駆けつける時や


殺人犯を追いかける時、


父を探している最中、

島でサイレンが鳴る方に

駆け出す時、

娘役の伊東蒼の走る姿が
映画に躍動感を与えてくれています。



本日、1月22日㈯14:35の上映前に

佐藤二朗、伊東蒼、片山慎三監督の


舞台挨拶が


テアトル新宿にてありました。

行きたかったですが、


仕事で行けませんでした。

残念でしたが、


映画自体が持つパワーに

観た人が圧倒される作品であることがわかりました。


片山慎三監督のさらなる活躍に期待しています。


公式ページ 


予告編 


さがすの作品情報・感想・評価 


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