「ケーキの切れない非行少年たち」を読みました | 好きなことだけで生きられる

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「ケーキの切れない非行少年たち」宮口幸治 新潮社 を読みました。

要約

児童精神科医である筆者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。

少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。

人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。

著者について


みやぐち・こうじ


 立命館大学産業社会学部教授。

京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。

児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、二〇一六年より現職。

困っている子どもたちの支援を行う「コグトレ研究会」を主催。医学博士、臨床心理士。

WEB書籍紹介ページより





児童精神科医の著者は、医療少年院と呼ばれる矯正施設に勤務していた。その頃、非行少年たちの中に「反省以前の子ども」がかなりいることに気づいた。凶悪犯罪を起こした自分と向き合い、被害者のことを考えて内省しようにも、その力がないのだ。学力はもちろん認知力も弱く、「ケーキを等分に切る」ことすらできない非行少年が少なくないという。

そうした子どもたちは知的なハンディを抱えていることが多く、本来は支援の手が差し伸べられるべき存在だ。だが、障害の程度が「軽度」であるため、家族や教員など、周囲の大人に気づかれることがない。勉強についていけず、人間関係もうまく築けずに非行に走ってしまう。必要な支援にアクセスできないまま、最終的に少年院に行き着くことも多い。彼らは何も特別な存在ではない。

近年、ADHD(注意欠陥多動症)など発達障害に関する認知はだいぶ広まってきた。一方で知的障害に関しては、学校教育現場でも関心が注がれておらず、その詳しい定義すら知らない教員も多いのが現状だ。そこで、著者は自ら5年の歳月をかけて、支援の届きにくい子どもに向けたトレーニングを開発した。すでに一定の効果が得られているという。決して楽観できない現状をレポートした本書 ケーキの切れない非行少年たちだが、解決に向けた実践的なメソッドが示されている点に大きな希望が感じられる。すべての大人に知っていただきたい真実が詰まった一冊だ。

(小島和子)

WEB記事より



医療少年院に勤務する著者は、ケーキを等分に切れない非行少年が、反省以前の子どもたちであることに気づきます。

知的なハンディをかかえた彼らには、障害が軽度なためなかなか援助の手が差しのべられません。

勉強にもついていけず、人間関係も作ることが出来ない彼らは、最終的に少年院に行き着くことが多い。

著者は、そんな支援の届きづらい子どもに向けてトレーニングを開発し、すでに一定の効果が得られているといいます。

その立場にある人ではないとなかなか気づけない現象を通して、私たちに非行少年のなかには知的なハンディをかかえているために少年院にたどり着いてしまった子どもがいるという現実を教えてくれます。

反省以前の子どもたちに無理やり反省を強いることのなんとむなしいことでしょう。

必要なのは、学力を認知力を社会で一人立ちできるレベルにまて教育し支援してあげることであることに目を向けさせてくれます。

人口の数10%いるという境界知能の人々への理解が進み、彼らに適切な支援が施されることを祈ってやみません。