出会いはたしか小学生の時でした。
5年生だったでしょうか。
同じクラスになった友達に単行本を借りたのがきっかけでした。
夢中になるのに時間はかかりませんでした。
気がつくと自分で単行本を集めるようになっていました。
連載していたチャンピオンのブラック・ジャックのページだけ切り抜いて保存したりもしていました。
小学校の卒業文集に将来何になりたいかの欄にブラック・ジャックの手術中のイラストを添えて医者になりたいと書きました。
小学6年の時に、何人かの友達を誘ってブラック・ジャックが原作の初めての実写映画を観に行きました。
大林宣彦監督で、宍戸錠がブラック・ジャックを演じていました。
瞳の中の訪問者というタイトルの映画です。
映画のあと、ポスターを買ったり、映画館の前で記念写真を撮りました。
中学1年の時に、映画「火の鳥」を観に行って、その帰りに映画館の近くの多田屋書店でチャンピオンを立ち読みしたら、
なんとブラック・ジャックの最終回「人生という名のSL」が掲載されていました。
あまりのショックにしばらくは心に穴が開いた日々を過ごしました。
大切なものは失って初めて気がつくと言うようにまさにブラック・ジャックはいつしかなくてはならない存在として心の中で成長していたのかもしれません。
虫ブロの倒産で借金を抱えて、自身がどん底のような中で、数本の読み切り連載で終わる予定だった作品が、5年間の連載、足かけ10年もの間続く作品になるなどと誰も予測していなかったのかもしれません。
ある意味いままでやったことのなかった挑戦にかけた作者の意気込みは、242話のエピソードの一つひとつに込められていると思います。だからこそきっと読む者の心に響く作品になり得たのではないかと。
後に血を見るのが大の苦手だとわかり、外科医への道は断念はしました。
初めて読んでから40年以上たった今でもその生きざま対する憧れだけは消えそうにありません。
※「ブラック・ジャック」とは