自分と好みが合う人に対しては、誰もが悪くは思わないと思います。
好きな食べ物や
好きな場所
好きな映画に
好きな曲
好みが近い相手に対しては、自然とガードもゆるみます。
確か、その小説では、いい本とは読み終わった後に作者に電話したくなるような話だと書いてありました。
僕が本当にノックアウトされる本というのは、読み終わった時に、それを書いた作家が僕の大親友で!いつでも好きなときにちょっと電話をかけて話せるような感じだといいのにな、とおもわせてくれるような本なんだ。
「ライ麦畑でつかまえて」より抜粋
実際の作者は本を読んで自分に会いに来る読者を拒んでいたみたいです。
小説の登場人物なんだけど実際にいるんじゃないか、あるいはいて欲しいと読者に思わせたらもうその物語は読む人にとって特別なものになっていると思います。
ああ、もし手元に18万円あって、それを貸して欲しいと言われたら、他の誰にも貸さないけれど、この小説が一番好きな小説だという人には無条件で貸してあげてしまうと思うのです。
いままで生きてきて、一人だけ出会ったことがありました。
この小説が一番好きだと言う人に。
なんだか何もしていないのに彼のことが近しく感じられたのを思い出します。
それ以来、いままで一度も会う機会がないままです。
今、会ったら、今一番好きな小説が何かと聞いてみたいです。
それにしても、読後、30年近くが過ぎようというのに、いまだにこの小説のことを忘れることが出来ないなんて。
ライ麦畑に本当につかまれて、つかまえられたのは、私の方だったのかもしれません。