こんばんは^^
躁うつ病(双極性障害)は、ヒポクラテスの時代(紀元前5世紀頃)から知られている病気です。
世界的には生涯有病率が3~4%というから、そう珍しくもないのです(発症率0.7%とする日本の調査は、信じられていない)
お客の中に混じっていても、不思議はないのです。
中年男性が、ボールペンとルーズリーフを手に手に取ると、そのまま店を出ていきましたです。
おい!万引きなら、盗んだ品を隠さんかい。
パートさんが追いかけて、男がクルマに乗り込もうとしたところで、引き止めましたです。
「お客様。清算がまだ済んでいないんですけど」
「めんどくさい」
はあ?何を言っとるんじゃ?
「お会計していただかないと、困ります」
「こんなもんの為に、何で待たされなきゃいけないんだ」
レジに並んで待つのが嫌だから、お金を払わずに店を出たと?
先客が一人いたそうですが、1分も待たないはずです。
「一度店に戻って、お会計してください」
「うるさい!こっちは、忙しいんだ!」
そのままクルマにの入り込んでしまったので、警察にナンバーを通報したというのですけれど。
無理に取り押さえたりはしないです。
ましてや、クルマにしがみついたりはしませんです。
身の安全が第一なのです。
夕方になって、息子さんという方が来られたです。
身元引受人として、警察に呼ばれたというです。
万引きした親の為に、仕事をおっぽり出し、頭を下げに行くなんて、たいへんですね。
息子さんによれば、父親は躁うつ病だというです。
躁状態になると、尊大になり、身勝手で自己中心的な行動をとるというです。
行列に割り込んで、口論の末、暴力事件になったり(どっちが先に手を出したかは、言わなかったけれど)
飲食店で、料理が出てくるのが遅い!と、他のお客の迷惑になる程、怒鳴り散らす。
店が謝罪したり、静かにするようお願いしても止まず。
退店にも応じないとして、警察に通報されたりと、問題を起こしていると云うのですね。
愚痴半分に話したように、思えない事もなかったですけれど。
買い物をしても、なぜ俺様がレジに並ばなければならんのだ。
と、思う一方、でも、品物は必要だ。
となって、会計せずに、そのまま店を出たことになるのか?
やっかいだなぁ。
さて、躁の症状は多様で、程度も様々です。
一つの症状だけでは躁とは判断せず、三つか四つ以上の組み合わせがあって、診断が下るからです。
ブランド物を買い漁ったり、ギャンブルにお金をつぎ込んだりする、浪費だけでは躁病とはならないのです。
ほかに、自分は偉いと思い込む(自尊心の肥大)とか、眠らずにはしゃぎまくる(睡眠欲求の減少)、おしゃべりが止まらなくなる(多弁)といった事があって、躁病とされるです。
躁うつ病の男がわりと近くに住んでいて、あちこちで色々とやらかした話は、噂として広まり、くれなゐも聞いていたです。
うちでも、ちょっとした騒ぎを起こされたことがあるですが、大した被害はなかったです。
(うちで起きた話は、姉の『コンビニ育ちの春』にあるです。
こちらからどうぞ👇)
うちの場合は、面白がった面もあるのですが、迷惑をかけられた人は、『病気だから仕方がない』では、済ませられない事が多いようです。
例えば、近所のお婆さんが亡くなったと聞いて、しめた!と思ったのか、駆け付けたというのです。
そして、お悔やみひとつ言うでもなく、香典が集まるだろうから、金を貸せと、迫ったと云うのです。
これはまあ、噂のタネになりますよね。
取り込み中だからと、追い返そうとするですが、帰らないです。
訳の分からない理屈を、ダラダラとしゃべり続けるのです。
しまいには怒りだして、遺族に暴言を吐いたというです。
通夜の手伝いに来ていたご近所の方が、間に入ろうとすると、
「うぜえ。じゃあ、お前が金を貸せよ」
なんでそうなる?
紳士的な態度と定評だった北杜夫は、躁になると奥さんに、
「喜美子のバカ!喜美子が先に寝やがるからオレ様は蚊に食われたじゃないか!」
理屈になっていないです。
眠らずに一晩中騒ぎ続ける躁病者に、付き合ってはいられないですし。
話を戻すと、遺族の方は、かなり立腹されたと思うです。
しかし、仏様の前で言い争う訳にもいかないのです。
暴力沙汰に発展しかねないですし。
家族を呼んで、なんとか引き取ってもらったそうです。
強引に、引きずり出してもらったとも、云えますけれど。
お婆さんが死んだと聞いて、即座にお金を借りに行こう。
香典が集まるんだから、金がないので貸せないとは、言わさないぞ。
なんて、常人にはない発想です。
たとえ、思いついても、行動には移さないです。
株の売買で負け続けた北杜夫は、付き合いのある出版社からの借金を、奥さんに止められ、
「喜美子は作家の妻として失格だ!家から出てってくれ!」
奥さんに言い放ちます。
躁病をタネに原稿を書いたのだから、正しいかもですが。
そして、今まで書いたことのない出版社から前借をし、株取引を続けようとします。
ここまでは、思いつきそうです。
株屋との電話を封じられた北杜夫は、家に宅配便が来ると、チャンスとばかりに、運転手から携帯電話を借りて、株取引を再開したと云うのです。
商売道具を取り上げられた運転手の迷惑は、いかばかりか。
誇大妄想を抱いて、神様になった人がいると聞いたのが最初で、、少しばかり、興味を抱いたです。
さらに、実物が店で騒ぎを起こしたことから、エピソードを集めてみる気になったです。
つづく
梅の花 くれなゐにほふ 夕暮れに 柳なびきて 春雨ぞふる