ドイツの名匠ヴィム・ベンダースが、戦後ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーを追ったドキュメンタリー映画です。
ベンダース監督と同じ1945年にドイツに生まれたアンゼルム・キーファーは、ナチスや戦争、神話を題材に、絵画、彫刻、建築など多彩な表現で作品を創造。初期の創作活動では、ナチスの暗い歴史から目を背けようとする世論に反してナチス式の敬礼を揶揄する作品などタブーに挑み、美術界から反発を受けながらも注目を集める。71年からはフランスに拠点を移し、藁や生地を素材に歴史や哲学、詩、聖書の世界を創作し、作品を通して戦後ドイツと「死」に向き合い、傷ついたものへの鎮魂を捧げ続け…
アンゼルム自身が出演し、その作品世界を映像化して、彼の芸術活動をインタビューや当時の映像や再現ドラマを交えて構成したヴィム・ヴェンダース監督ならではのアートドキュメンタリーになっていました。
撮影も音楽もよくて、彼の観たアンゼルム作品を具現化したような映画でした。