1950年製作の美空ひばりデビュー2年目14本目の作品です。美空ひばりをいち早く見出し「のど自慢狂時代」でデビューさせた喜劇の神様・斎藤寅次郎が監督。「ブギウギ」で美空ひばりをモデルにしたキャラクターが登場しているので観ました。
引き上げ途中、母とはぐれた少女マリ子は、同じ引き上げ者の親切な青年に助けられて世話になるが、残された母の手帳にあった名前を頼りに母の初恋の人・安吉を尋ねる。お人好しの安吉は不憫に思いマリ子を引き取るが、安吉の妻に邪見にされ、マリ子はたらい回しされてしまい…
美空ひばりは当時13歳ですかもっと子どもに見えます。自分世代ではベテラン歌手としての彼女の姿しか知らないのでほんの子どもの彼女の姿が新鮮です。終戦から5年という時代らしく戦災孤児のようなヒロインが時代を象徴しています。代表作「東京キッド」で大ブレイクする直前の作品で当時絶大な人気を誇った漫才師のエンタツ・アチャコらが出演していてコメディ色が強いですが、強欲な大人が歌の才能を発揮したヒロインをただの金づるとして酷使するという酷い展開です。でも実際の美空ひばりも1年で14本も映画に出ているのでこのヒロイン以上に仕事に明け暮れる生活だったのではと思えます。
部分的に欠損しているのでお話的にはえっとなる場面もありますが、彼女の初期の天才少女歌手ぶりや演技はしっかりと確認出来ました。