若き日のロバート・ダウニーJr.の狂気じみた助演がインパクトある「ナチュラル・ボーン・キラーズ」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。

「プラトーン」のオリバー・ストーン監督が、理由なき殺人を繰り返すカップルの逃避行を描き物議を醸したバイオレンスアクション。クエンティン・タランティーノが無名時代に執筆した脚本を原案に映画化した1994年製作のバイオレンス青春映画です。

若き日のロバート・ダウニー・Jr,の助演が光る作品なのでアカデミー賞記念に観直しました。

 

幼いころから父に性的虐待を受けてきたマロリーは、肉屋のミッキーと出会い恋に落ちる。ミッキーはマロリーの両親を殺害し、2人は車でルート666を旅しながら無差別殺人を繰り返す。52人もの命を奪った二人は全米の注目を集め、そんな2人を名声を欲する暴力刑事スキャグネッティと視聴率アップを狙うテレビキャスターのゲールが追いかけ回し…

 

「プラトーン」以降、わりとシリアスな作品で名を上げてきたオリバー・ストーンがまだ世に出る前のタランティーノの脚本を自由にアレンジして映画化した結果、タランティーノっぽさがみじんもないバイオレンス映画になってしまった感じです。

主演のウディ・ハレルソンとジュリエット・ルイスは当時の人気だったはずだし、ロバート・ダウニー・Jr.は演技派として名を上げていたはずだし、トミー・リー・ジョーンズは「沈黙の戦艦」以降脇役で頭角を現していたそんな時期の先品です。

オリバー・ストーンが珍しくいろんな手法を取り入れてポップにしようとかなり努力しているし、キャストの熱演もすごくみんなにパワーは溢れていますが全然かみ合っていない感じがする奇跡の失敗作という感じ。そんな中、ロバート・ダウニー・Jr.演じる酷いテレビマンの酷いラストは映画人のテレビマン嫌いを体現している気がしました。

トニー・スコットが同じく無名時代のタランティーノの脚本を「トゥルーロマンス」というタランティーノっぽさを最大限に上位変換した傑作を作り上げただけにこの作品を観たときのがっかり感は忘れられません。

タランティーノ映画の映像のカッコよさ、編集のクールさ、既存曲の絶妙な使い方がこの作品には欠けていました。

今、タランティーノなんて知らんしという若い人が観たらかなりぶっとんだ楽しい映画として観られるのかも知れないけど。