ドゥニ・ディドロの小説「運命論者ジャックとその主人」を原作にロベール・ブレッソンが脚色・監督し、ジャン・コクトーがセリフ監修を手がけた1944年製作の作品です。
上流階級のエレーヌは恋人ジャンの愛を確かめようと別れ話を切り出すが、ジャンは別れに同意。ジャンへの復讐心を募らせたエレーヌは、男を相手に稼いでいるダンサーのアニエスをジャンに差し向けるが…
想像のはるかに上を行く傑作でした。コクトー関係の作品はだいたい観たつもりでしたが、これは初見です。
マリア・カザレス演じるエレーヌがジャンにふられて復讐を近い、過去に秘密を抱えたアニエスに引き合わせ二人をくっつけようとするお話ですが、復讐したつもりが真実の愛を見つける展開が超絶。マリア・カザレスは「危険な関係」のジャンヌ・モローみたいな役でしたが、彼女の哀しさが立つ展開が見事。コクトーによるセリフがブレッソンのクールさにいい感じにドラマチックな空気を加え見事なアンサンブルでした。
これもまたリバイバルするたびに観たい傑作でした。