新作公開までにシリーズ全作観られるかチャレンジ⑤「007は二度死ぬ」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


「チャーリーとチョコレート工場」の作者ロアルド・ダールが脚本を担当し、「アルフィー」のルイス・ギルバートが監督を担当した1967年公開のシリーズ第5作です。

米ソの宇宙ロケットが次々と行方不明になる。事件の背後にスペクターを見いだしたMI6はボンドを日本に派遣する。日本の情報局長タナカのサポートでボンドはスペクターの秘密基地に潜入するが…

いつものガンバレルのあと、いきなり宇宙で宇宙船が登場する展開でもはやSF映画です。
で次に香港でイチャイチャするボンドが襲われ死にます。
タイトルバックがナンシー・シナトラの歌声に和傘だったり、マグマだった島田な髪だったり、日本人からすれはかなり奇妙な映像になっています。
Mやマネー・ペニーが香港の潜水艦で登場するのがレアです。
ボンドが日本へ来て最初に国技館の本場所の支度部屋とか凄すぎ。升席で若林映子と相撲を観るくだりで最初の言葉が「アイラブユー」とか日本人は理解に苦しむ展開。
そして、トヨタ2000GTでドライブ。なんとソニーのテレビモニター付き。
ロケーションの場面はいいんですが、セットになるとおかしな日本観が炸裂します。
大里化学工業の社内の警備員が拳銃を携帯してたり、もはや日本ではありません。
大里の手下が「燃えよドラゴン」で力士役をしていた松崎真!「笑点」の座布団運びだった人。
タイガー演じる丹波哲郎の吹替が別人で違和感。
タイガーもまたボンドに「アイラブユー」なんで?
タイガーは地下にプライベートトレインを持っていてすげえ。車内が木造でびっくり。
ボンドが追う船の名前がNIN-PO!
タイガーの家に呼ばれていきなり、トルコ風呂接待!しかもヤコペッティの「世界残酷物語」スタイルの女性たちがマッサージ嬢たち。
ボンドは東京から神戸までトヨタ2000GTで旅して、探していたNIN-PO号を見つけます。
神戸でボンドはバカボンパパのコスプレした男に襲われます。
Qがオートジャイロのリトルネリーと共に来日するのもレア。
阿蘇をネリーで飛ぶボンド。空撮の火口がダイナミック。
複数のヘリとドッグファイトは珍しい見せ場です。
火山の火口に秘密基地があって宇宙船が帰還する場面とかなかなかの想像力。
セット内をモノレールが走るとか凄すぎ。
そして、初めてスペクターのボス、ブロフェルドが初顔出し。演じるのは「大脱走」のドナルド・プレザンス。スキンヘッドに大きな傷痕のある顔がインパクトあります。
今回もペルシャ猫は変わらないですが、ピラニアも飼っています。ピラニアの池に落とされるNo.11が悲惨。
そして、姫路城!なぜか姫路城バックで忍者が訓練。
ボンドは日本人になりきって海女と結婚。
ボンドの日本人への変装の変さ。
大里の手下が屋根裏から毒を垂らすくだりは乱歩の「屋根裏の散歩者」そのものです。
海女役が浜美枝。その前にフェイントで出てくる花嫁姿のおばはんが謎。
新婚初日のめしが生牡蠣のみ!漁村シーンは鹿児島の坊津で撮影されたそうです。
有人衛星を捕獲して帰還出来る大里化学の宇宙船がもはや現代の宇宙技術すら超えています。
「ピンクパンサー」シリーズのケイト-役のバート・クウォークも大里の手下役にいます。
終盤にはタイガー率いる大忍者軍団!その豪快な犬死にっぷり。
「未来世紀ブラジル」ロバート・デ・ニーロはこの忍者がモデルなのかも。
日本描写のトンチンカンさはさておき、火口の基地のセットは映画史に残る凄さだと思います。