今観るとクリストファー・ノーランみがある韓国映画史に残る傑作!「ペパーミント・キャンディー」 | キネマ画報

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名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


「オアシス」のイ・チャンドン監督の1999年製作の長編第2作です。Amazonプライムで見つけたので観ました。

1999年春、仕事も家族も失い絶望の淵にいるキム・ヨンホは旧友たちとの同窓会のピクニックに場違いなスーツ姿で現れる。そこは20年前に初恋の女性スニムと訪れた場所だった。線路の上に立ったヨンホが向かってくる電車に向かって「昔に帰りたい」と叫ぶと彼の人生が巻き戻されていき…

1999年春 ピクニック、3日前 カメラ、1994年夏 人生は美しい、1987年春 告白、1984秋 祈り、1980年5月 面会、1979年秋 ピクニックといえタイトルで分けられたエピソードでキム・ヨンホの人生が遡って紹介されます。
どんどん遡る構成の映画と言えばクリストファー・ノーラン監督の「メメント」(2000)、ギャスパー・ノエの「アレックス」(2003)がありますが、この作品の方が先に公開されています。特に「メメント}はほぼ同時期の作品でびっくり。
また各エピソードの間に列車が走る車窓が逆回転していて、ノーラン監督の新作「テネット」の予告みたいです。
タイトルのぺパーミントキャンディーは初恋の女性との想い出の品です。
各エピソードのそれぞれに初恋の彼女ユン・スニムにまつわる場面があります。これがまた泣ける話になっていてドラマチック。
ソル・ギョングは今も第一線で活躍していますが、当時30代前半の彼が20年分の人生をしっかり演じ分けていて当時から演技派であったことがよくわかる作品です。汚れた中年の落ちぶれ社長が悪辣な刑事、軍隊時代、学生時代と遡り、彼が帰りたいと叫んだ理由を実感します。
初恋の恋人役のムン・ソリは同じイ・チャンドン監督、ソル・ギョング共演の「オアシス」でまるで別人みたいな演技をしていて、彼女もすごいです。
この韓国映画史に残る傑作をNHKが韓国と合作で製作しているのにびっくり。