北原優子の小説を「鉄道員」の降旗康男監督が岩下志麻と坂上忍主演で映画化した1985年の作品です。
家を捨て港町にやってきた19歳の深。彼を追って母涼子がやってくる。二人は東京の家で愛し合うようになり家を出たが、港町で母にも息子にも新しい出会いがあり…
松田優作の遊戯シリーズを作っていた東映セントラル作品で優作映画を数多く手掛けた田中陽造が脚本なのが意外でした。
当時40代前半の岩下志麻相手に近親相姦する息子役が子役上がりの坂上忍だったことは当時けっこうセンセーショナルな話題になっていた気がします。
今観ると坂上忍が働く漁船の娘が当時「夕焼けニャンニャン」に出ていた岡本かおりだったり、岩下志麻演じる母に惹かれる殺人疑惑のある薬局の男が今や東映グループの会長の岡田裕介だったり、「狂い咲きサンダーロード」の山田辰夫が魚屋の男だったり、地味な降旗監督作品には珍しいバラエティーに富んだキャストでびっくり。
岩下志麻演じる母が前半は息子を追い回すストーカーみたいで狂っているのが楽しいです。
「極道の妻」たち以前の岩下志麻が坂上忍の甘えたりするシーンになんか見てはいけないものを見た気持ちになります。
近親相姦シーンはいやらしさもない岩下志麻の顔メインで胸を隠すために坂上忍の顔をずっと抱えたりしているのが笑えます。
坂上忍演じる息子もどうしたいのかわからないキャラでラストが坂上忍が「おふくろー!」と叫ぶ顔のフリーズだったりして最後まで謎なキャラでした。
それでも思っていたのよりずっと楽しめて、これを今あえて配信するGYAO!のセンス最高です。