公開初日に観て、きのう原作を読んでもう一度観に来ました。
今回が168分で前の公開版が126分だったので実に36分の追加シーンがあり、原作にあるエピソードをほぼ映像化しています。
ここまで原作に忠実な作品はなかなかないと思います。
原作者が自らアニメ化した宮崎駿の「風の谷のナウシカ」だって、大友克洋の「アキラ」だって、ここまで原作通りなことってないかも。
原作者のこうの史代さんの名前もエンドロールに劇中画として出て来ましたが、おそろくクラウドファンディングのエンドロールのところのリンさんの絵物語なんだと思いますが、原作者とアニメーション製作者のいい関係がそこからも伺えます。
主人公のすずさんのキャラクターからするとゆるい内容のように捉える人もいれかもしれませんがこの作品のディテールの情報量の多さは壮絶です。
この物語に世界観を作り上げるために当時の広島、呉のことを調べ抜いたからこそ生まれるリアリティーが凄いです。
セリフの端々に今では使われない文化があって、それがあまりに自然なやりとりの中で出てくるので気づかないレベルかも。
こうやって映画の中に描いてくれるとその当時の文化が映画とともに残るのが嬉しかったりします。
平成生まれの子どもの家庭には戦争を知る世代もいなかったりすることが多いから昭和生まれがおじいちゅんやおばあちゃんに聞いた戦時中の話が映画によって語り継がれます。
この作品はことさら戦争の悲惨さを強調することなく日常をしっかり描くことで戦争の意味を考えさせる内容になっています。
是非、もっと沢山の映画館でもっと多くの人の目にふれるようにしてもらいたいものです。