岡山市 オリエント美術館・桃太郎・商店街・食など | れぽれろのブログ

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お盆休みの岡山旅行、前回は備中国一宮である吉備津神社を取り上げました。今回はその続き、岡山市にある市立オリエント美術館、及び商店街や食べ物の様子などをまとめておきます。


(1)岡山市立オリエント美術館

まずはオリエント美術館です。
岡山市立オリエント美術館はJR岡山駅の東側、岡電(岡山電気軌道、路面電車)に乗って3駅目の城下(しろした)駅で下車すると、すぐに建物が見えてきました。

建物はこんな感じ。


6年前に岡山に来たときは、後楽園と岡山県立美術館に立ち寄りました。市立オリエント美術館も後楽園や県立美術館のすぐ近くにありましたが、前回は訪れなかったので、今回訪れてきました。

オリエント美術館は、欧州文化圏と中国文化圏の間の地域を取り扱う美術館で、中東を中心に、西はエジプト等の北アフリカから東はインド亜大陸まで、幅広い美術品・民族資料を収集・展示する美術館とのことです。この地域の資料は大阪府吹田市の国立民族学博物館などでも見ることができますが、なかなかこの地域のみの展示を見る機会はありませんので、オリエント美術館は貴重な施設です。
この日は「ヒンドゥーの神々の物語」との特集展示で、インドのヒンドゥー教に関わる美術品や民族資料などがたくさん展示されていました。古くは紀元前の古代の土器から、新しいものでは21世紀現在の美術品まで、展示の範囲は幅広かったです。
展示は一部を除き概ね撮影可能でした。以下、展示の一部の写真を残しておきます。


こちらはお魚が描かれた古代の壷。

素朴なお魚が可愛らしいですね。


コブウシの土偶。

コブウシはインドで家畜化されている牛で、背中の前の方に大きなこぶがあるのが特徴。ヒンドゥーでは牛は神聖な生き物とされていますが、この神聖な牛=コブウシということのようです。展示の並べ方も可愛らしい 笑。


本展のメインはヒンドゥーの神々を描いた絵画や彫刻です。

こちらは戦いの女神ドゥルガーの彫像。

手がたくさんあるのが特徴。インドの神は手や顔がたくさんあるものが多いです。このあたりは日本の仏像、千手観音像や十一面観音像ともつながりがあるのかもしれません。
美術品としてはこのあたりの彫刻作品が一番良かったように思います。


ハヌマーンを描いた絵画。

ハヌマーンは古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」に登場する猿です。主人公ラーマを助け、敵と戦う様子が描かれています。


こちらは「ラーマーヤナ」のクライマックス。


ラーマが魔王ラーヴァナをやっつけるシーンです。ラーヴァナはたくさんの手と顔を持つ魔王で、王女シーターをさらった悪者として登場します。ラーマがやたら大きく描かれており、バランスがいびつなのもご愛敬 笑。


インドの神々はこの相関図が分かりやすかったです。

少し小さくて見にくいですが、ご興味のある方は拡大してご覧ください。
有名なのが真ん中にあるシヴァ神です。左上のブラフマーは仏教の梵天(ブラフマン)とも関係があるのかもしれません。
シヴァの下にいる象の姿をしたガネーシャも有名かもしれません。その左のムルガンとは兄弟とのことで、弟は人間の姿ですが兄はなぜか象の姿をしています。
右下が「ラーマーヤナ」の登場人物たちで、ラーマ、ハヌマーン、ラーヴァナ、シーターがいます。ラーマはヴィシュヌ神の化身であるとされています。
面白いのがヴィシュヌ神の化身の中にブッダがいることです。仏教の開祖と言えども、ヒンドゥーの立場からすると神々の1人でしかないようです。(このあたり、キリスト教の開祖イエスが、ユダヤ教で言えば数々の預言者の1人でしかない、という関係を思い出させます。)
その他、ラクシュミー、クリシュナ、カーリーなども、漫画やゲームなどで聞かれる名前です。


こちらはインドの神々をデザインしたマッチ箱。

こういうコンパクトなデザインは楽しいですね。


地獄絵も展示されていました。

罪を犯した人たちが責め苦に合っていますが、日本の地獄絵に比べるとやや罰が生ぬるい?気がします。日本の絵巻物などではもっと凄惨な場面が多く、炎の描かれ方も派手で、鬼の形相も恐ろしいですね。面白いのは愛欲の罪がたくさん描けれていることです。この絵にも不倫関係と思われる男女が2組も描かれています。


ということで、「ヒンドゥーの神々の物語」の一部の様子でした。時間がなくてちょっと駆け足の鑑賞でした。時間があればたっぷり鑑賞したい美術館ですね。



(2)桃太郎

岡山といえばきびだんご、きびだんごといえば桃太郎、ということで岡山市内には様々な形で桃太郎が存在していました。いたるところで桃太郎を見かけます。町中のキャラクタは桃太郎の寡占状態にあります。


岡山駅前には立派な桃太郎の像が。

勇ましい桃太郎像です。まさに敵陣に突入せんとする武士、といった雰囲気です。


JR吉備線は現在は桃太郎線と呼ばれています。

前回の吉備津神社へもこの桃太郎線に乗っていきました。ラインカラーはもちろん桃をイメージしたピンク色。桃太郎線は電化されておらず、2両編成のコンパクトな鉄道で、1時間に1~2本程度でしたが、人はたくさん乗車しており、閑散としているという印象はありませんでした。


マンホールのふたも桃太郎。

消火活動に励む桃太郎が描かれています。


水飲み場にも桃太郎がいます。

「ごっくん桃太郎」と書かれていますが、桃ジュースが出てくるわけではなく、出てくるのは普通の水だと思われます 笑。


献血ルームも桃太郎です。

キャラも描かれておらず、さすがにこれは取って付けた感がある?笑


こちらは前回もとりあげた吉備津神社のおみくじコーナーです。前回は1方向だけでしたが、今回は全方向の写真を貼っておきます。

 

 


計6場面が描かれています。子供みくじ、よろこびみくじ、いにしえみくじ、花みくじ、英語みくじと、計5種類のおみくじがあるのが印象的。どう違うのかな? 桃太郎のストーリーはオーソドックスな描かれ方です。

岡山=桃太郎というのは、前回も書いたように古代の吉備津彦命(きびつひこのみこと)の鬼退治が由来であるのだそうです。総社市にある古代の山城は鬼ノ城(きのじょう)とも言われ、これも鬼ヶ島と関わりがあるという説もあるようです。
近代日本においては日本の昔話といえばまず桃太郎ですが、これはおそらく戦前の対外拡張時代と関係があるように思います。昔話はいろいろありますが、敵地に攻め入って勝利し降伏させる物語というのは、帝国主義時代の近代日本との相性の良さを感じます。実際に戦前の初等教育の教科書には桃太郎が採用されていたと聞きます。その反動からか、戦後の教科書には桃太郎は採用されていません。(自分の記憶では教科書に載っている昔話は、笠地蔵だった記憶です。)



(3)表町商店街

続いては岡山市の一番の商店街(たぶん)、表町商店街とその周辺です。
表町商店街はオリエント美術館の南側にあるアーケード式商店街で、この道はちょうど近世の西国街道であった道です。京都や大阪からずっとつながっている道ということで、何やら感慨深いです。


商店街の様子。

洋風の装飾が目立つ綺麗な商店街という印象です。この時計台もオシャレ感がありますね。


電飾や屋根の装飾もステンドグラス風。

このあたりは大阪の商店街とはずいぶん印象が異なります。大阪の商店街は装飾は和風のものが多く、景観は派手めで、もっとガチャガチャした印象が強いです。その点岡山はもっとモダンな感じがします。


なぜか恐竜がたくさんいるのも表町商店街の特徴。

壁を突き破って顔を出す巨大なティラノサウルス。



卵から産まれた恐竜の子供もいます。

この他にも空中にはプテラノドンが飛翔していたりと、恐竜が目立ちました。


こちらは中国地方ローカルの百貨店、天満屋の入口にいたウサギ。

不思議の国のアリスのイメージですね。

夕食はこちらの天満屋でお弁当を調達して食べました。



(4)食事、おみやげなど

旅先の夕食はこちら。

岡山浜作の「桃太郎ポークと夏サラダの冷製おろししゃぶしゃぶ」です。またしても桃太郎ですが、さすがに桃太郎と豚肉は関係なさそうな…笑。浜作は岡山地場の老舗料理店で、本来は食べに行きたかったのですが、コロナの関係で今回は断念。代わりにお弁当を買ってきました。


この豚肉はかなり美味しかったです。身がやわらかくて食べやすく、ごまポン酢ともよく合います。それなりに値の張るお弁当でしたが、美味しく頂きました。


朝食は表町商店街のキムラヤで買ったパンを頂きました。


キムラヤも岡山地元では有名なパン屋さんなのだそうです。こういうローカルな有名店のものを買って食べるのもいいものですね。


おやつはきびだんご。

吉備国の名物はやはりきびだんごです。描かれているのはもちろん桃太郎。
こちらは廣榮堂という和菓子屋さんのきびだんごです。デザインは有名な絵本作家、五味太郎です。


個装のデザインも可愛げがあります。

それぞれ、桃太郎、鬼、猿です。


別の和菓子屋さんのはこんな感じ。

山方永寿堂という和菓子屋さんのものです。同じく桃太郎、鬼、猿ですが、こちらはもう少し和風のデザイン? 味はどちらもあまり変わりませんでした。


こちらは調布というお菓子。メーカーは同じく廣榮堂。

お土産用に買ったお菓子ですが、余ったのを食べてみると、これがかなり美味しいです。求肥と呼ばれる甘いお餅の周りを薄いカステラ生地でくるんだお菓子です。求肥とカステラ生地の組み合わせが独特の食感で、美味しく頂きました。
思うに和菓子というのは、味は似たり寄ったり(どのお菓子もあんこ、砂糖、水あめなどの味)なので、食感で差がついてくるのかもしれません。以前に広島で食べたにしき堂の生もみじも、食感が独特で美味しい和菓子でした。和菓子界は実は食感が重要説、を唱えたくなってきます。



最後はおまけ。

今回宿泊したホテルは、朝は各部屋に朝刊が配られていました。地元のローカル紙、山陽新聞の朝刊です。

一面トップが長島愛生園の記事でした。長島愛生園は有名なハンセン病の療養所で、8月なので戦争と療養所の記憶をまとめた記事になっていました。トップが地元の話題というのがローカル紙の良いところ。こういうのが意外と旅の思い出になったりするものですね。