神戸市 三宮・元町界隈 (生田神社・旧外国人居留地・南京町) | れぽれろのブログ

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10月3日の土曜日、神戸に行ってきました。
この日は元々は別の予定で神戸を訪れたのですが、時間ができたので、久しぶりに三宮・元町近辺をウロウロしてきました。
以下、撮影した写真と覚書などです。


神戸は古くから瀬戸内の海上交通の要所でした。とくに大阪との関係が重要で、大阪に向かう船が一時寄港する場所でもありました。
平安時代は大和田泊(おおわだのとまり)と呼ばれ、港町として重要であった場所。とくに平清盛の時代の福原遷都計画が有名で、今でも福原町という地名が残っています。
中世以降、港は兵庫津(ひょうごのつ)と名を変え、とくに室町時代は遣明船の出港場所として栄えましたが、応仁の乱以降は対外窓口としての港湾機能は堺に移っていきます。

近世に至り、大坂の陣や大和川の付け替えで衰退した堺に変わり、再び兵庫津が重要となります。とくに西回り航路の寄港地としてこの地は重要、各地の米や特産物が大阪に集まる中、港の狭い大阪は大きな船が着けられないので、一旦兵庫津に船をつけて小船に乗せ替え、大阪に向かうという機能が重要となります。
明治の開国の際に、元々大阪の川口にあった外国人居留地の機能が従来の兵庫津のやや東側の三宮・元町近辺に移され、以降神戸は港町であると同時に外国人の町として栄えるようになります。
大阪で紡績業が発達した関係から、とくに綿花の輸入と綿織物の輸出が増大、以降神戸は日本有数の貿易港として栄え、現在に至ります。

地形的には、北に六甲山、南に大阪湾があり、その間に挟まれた比較的南北に狭い土地が東西に広がるのが神戸の特徴(ただし西の方は少し特徴が異なる)。
北から南にかけて下り坂が続く街で、案内表示は「山側」「海側」と表示されている場合が多いです。山と海の位置関係が重要な街、このあたりは東西南北の軸が重要な京都や大阪とは、都市としての地理感覚がずいぶん異なります。


今回は三宮・元町界隈の、生田神社、旧外国人居留地、南京町を訪れてきました。まさに和・洋・中が折衷する街、少し歩くだけで都市の景観が変わり、面白かったです。


(1)生田神社

生田神社は三宮駅と元町駅の近辺からやや北側(山側)にある神社です。

入口はこんな感じ。

ベビーカステラとフルーツあめがお出迎え。


楼門。



拝殿。

お参りしてきました。


生田神社のルーツは神功皇后の外征の際にさかのぼるとのことで、これまたいつのことやら分からぬ怪しい起源です。806年に摂津44戸をもって神封とされたとありますので、少なくとも9世紀にはさかのぼることができる神社のようです。
当地の地名「神戸(こうべ)」は生田神社の神職「神戸(かんべ)」に由来するとも言われます。
源平の合戦の際には、この生田の森の近辺は有名な一の谷の戦いの戦地となりました。
社殿は空襲により焼失、現在の建物は戦後に復興されたもののようです。


以下、神社敷地内の建物など。

楠木の神木。

樹齢500年の大木、神戸空襲で焼け残ったとのことで、復興のシンボルになっています。


稲荷神社。

連続する鳥居とその横の斜めのコンクリートの壁(なぜ斜めなんだろう?)と、後ろのマンションの半円形のバルコニーが連続する形が面白い組み合わせ。
楽しい写真が撮れました。


蛭子神社。

近畿圏でお馴染みのえべっさんです。


弁天社。

お寺によくある弁天堂と同じく、池の上にありました。
インドの仏教経由の神様をも取り込むのが、日本の神仏習合のおおらかなところ。


敷地の奥は「生田の森」という史跡になっています。



かまぼこの碑。

かまぼこは当地の発祥で、神功皇后がこの地で初めてかまぼこを食べたのだそうです。(ほんまかいな。)


さざれ石。

神社恒例の、どこにでもあるさざれ石。


カメヤマローソクのベンチ。

ハートマークのピンクのベンチ。
生田神社は縁結びの効能もあるようですので、それと関係があるのかな?


いくたロード。

生田神社の参道は賑やかな商店街になっています。



(2)旧外国人居留地

三宮駅・元町駅の南側(海側)は明治期に外国人居留地であった場所です。
明治半ばに日本に返還されて以降多くの建築物が建てられ、現在でも当時の面影を残すレトロ建築がたくさん残っていました。

レトロ建築と言えば、半年ほど前に大阪北船場のレトロ建築群を取り上げる記事を書きましたが、神戸のレトロ建築はまた北船場とは趣が異なります。
神戸の旧外国人居留地は建物のスケールが大きいです。かなり大きなレトロ建築が残されていました。これは近代の港町神戸の都市スケールと、近世の商都船場の都市スケールの差に由来すると思われます。


神戸市立博物館。

当ブログでもお馴染みのスポットです。(たぶん写真が登場するのは初めて。)
竣工は1935年(昭和10年)。元々は横浜正金銀行や東京銀行の神戸支店として使用された建物でしたが、80年代に博物館として改装されました。


商船三井ビル。

竣工は1922年(大正11年)。大阪商船の神戸支店として使用されていた建物。
海の近くにあり、古い趣きを残している味わい深い建物です。今回撮影した建築物の中では、個人的にお気に入り度は高いです。


海岸ビル。

三井物産神戸支店であった建物。
竣工は1918年(大正7年)ですが、震災により全壊。
現在は高層ビルとなり、この4階までの外壁に昔の建築の外壁が復元され使用されているとのこと。


神戸メリケンビル。

これまた1918年(大正7年)竣工とのことで、かなり古い建物です。
元々は日本郵船神戸支店であった建物。
こちらは上の海岸ビルとは異なり、奇しくも1994年に耐震補強工事が実施され1995年の震災を乗り越えたとのことです。
地震対策が功を奏し、運命が分かれた2つのビル。


神戸朝日ビル。

こちらも海岸ビルと似たパターンで、1934年(昭和9年)の神戸証券取引所の外観を復元し、高層ビルの外側に利用した例です。


旧居留地十五番館。

今回登場する建築の中で最も古い建物。
旧居留地地区で唯一現存している居留地時代の建物で、19世紀後半(明治中期)の建物なのだそうです。
元々はアメリカ合衆国領事館であった建物。バルコニーや窓の色合いと形が可愛らしく(これは修復されていると思われますが)、個人的にはお気に入り度の高い建物です。
建物のスケールは小さく(船場レトロ建築のスケールに近い)、この点も個人的お気に入りポイントです。


三菱UFJ信託銀行。

これは新しい建物と思われますが、街の印象に合わせて柱などは古典主義風の外観になっています。


大丸神戸店。

こちらも新しい建物と思われます。
周辺の雰囲気にマッチしたいい感じの建物ですね。


「ビルヂング」の表示。

「ヂ」がいい感じですね 笑。


旧居留地地区は、これぞ港町神戸という感じの空間で、お勧め度は高いです。


旧居留地地区近辺も現在は一部タワマン化が進んでいるようです。



旧外国人居留地の南側は、海です。

メリケンパーク。

メリケン波止場の近辺は、現在は公園になっています。
上に取り上げたメリケンビルもこのすぐ北側にあります。


メリケン波止場、メリケンパーク、メリケンビルと、メリケンシリーズが続きますが…、

メリケン地蔵尊。

このネーミングは、何かが違う気がします 笑。


メリケン波止場から見る神戸の海の様子。




(3)南京町

旧外国人居留地の西側には、南京町と言われる中華街が広がっています。
お店は中華料理屋さんが多いですが、一部雑貨店なども存在しています。
自分は久しぶりに訪問、記録をさかのぼると2013年に美術展の帰りに南京町で食事した旨のブログ記事がありましたので、7年ぶりということになります。


入口、長安門。



巨大な布袋さん(でいいのかな?)の像がお出迎え。



南京町の様子。

かなり混雑していました。
ここだけプレコロナ時代に戻ったような雰囲気(ただし自分も含め皆マスクを着用していました)。


北京、台湾、上海と、中華圏の都市名の表示が続きます。


 

お店のサインもいろいろ。

いかにも中華料理屋さんという感じの赤を基調にした表示もあれば、


 

黒ベースのシックなお店もあります。

このお店はかなり行列ができていました。


やはり漢字ベースの方が中華街という感じがします。


 

個人的にお気に入りの看板(変な看板です 笑)。

雑貨屋さんの看板です。
キッチュな龍と中華風の雲。右上のブタの表情のお気に入り度が高いです 笑。


ブルースリーの人形があるのはまだ理解できますが…


 

なぜスパイダーマンが出てくるのかは謎です 笑。



南京町の中央にある広場。

この近辺はイベントも開かれており、写真を撮る人も多く、最も混雑していました。


南京町の歴史は明治の開国直後に遡ると言われます。
外国人居留地に住んだのは欧米の外国人たちで、中華系の人たちはその西側に集住、これが現在の南京町のルーツになります。
昭和初期には戦間期の都市化に伴い南京町は大きく栄えましたが、空襲で街は焼失し、南京町は衰退。
現在の形で再び南京町が中華街として復興したのは80年代以降で(この背景には80年代当時の日本の中国ブームがあったと推測します)、街路や広場が整備され、再び現在のような有名観光スポットとなりました。


広場には石像がたくさん。

こちらは龍の石像。


鶏の石像。
後ろに見えるのは虎でしょうか。動物たちは十二支のシリーズなのかもしれません。


コテコテの中国(笑)と言った感じの少年少女の像。

この像がなぜか異様に人気で、皆さんここで記念撮影をされていました。
男の子のツートンカラーの帽子(てっぺんに丸い装飾が付いている)は80年代にあちこちで売られていた帽子で(なぜか我が家にもありました 笑)、懐かしいです。


モンドリアンカラーの巨大ガラガラ。



ということで、生田神社、旧外国人居留地、南京町の様子でした。
和・洋・中が入り乱れる空間、連続して回るとなかなか眩暈感のある街で面白かったです。
神戸はまだまだ面白いスポットがありますので、また訪れたいと思います。