卒業式の歌 | れぽれろのブログ

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先日インターネットニュースを見ていると、卒業式と「仰げば尊し」の関係についての記事を見かけました。

・「仰げば尊し」は歌わない “卒業ソング”今どきの人気番付
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190317-00000012-nkgendai-life

記事の趣旨は、最近の卒業式では「仰げば尊し」が歌われなくなった、というもの。

>最近は「仰げば尊し」を歌わない学校が増えているそうだ。
>中高生たちに話を聞くと、衝撃的な答えが返ってきた。
>「その曲自体を知らない」(中1)

>中高生や子どものいる親32人にアンケートをとってみると、こんな結果になった。
>やっぱり、「仰げば尊し」を挙げた人は、1人もいなかった。

自分にとって、この記事はかなりクエスチョンマークが付きます。
過去に童謡・唱歌の記事でも書いたように記憶していますが、自分は過去の卒業式において一度も「仰げば尊し」を歌った記憶はなく、上の記事の中1の方と同じく「その曲自体を知らない」という回答になります。(自分は1978年の早生まれ、幼・小・中・高・大の卒業式はそれぞれ84年、90年、93年、96年、00年、高校までは大阪府下郊外の学校、大学は大阪市内の学校、というサンプルです。)
なので、「仰げば尊し」を知らないことが「衝撃的な答え」だと言うこの記事の趣旨には、そんなに衝撃的なことなのかな?という感覚を覚えます。

渡辺裕さんの「歌う国民」(中公新書 2010年)によると、2005年時点での300校に対するアンケートでは、「仰げば尊し」を歌ったのは300校中58校、わずか19%にすぎません。
ちなみにこのアンケートで最も多かった答えは「旅立ちの日に」という曲で、これが161校で全体の53%、半数以上が「旅立ちの日に」を歌っているという結果です。
上のニュース記事においても、32人中18人が「旅立ちの日に」と答えており、比率もほぼ同じ。「旅立ちの日に」こそがここ十数年の定番曲だと言えそうです。(なお、自分は「旅立ちの日に」という曲も知りません。)

渡辺さんの書籍によると、「仰げば尊し」は1970年代後半から歌われなくなったとあります。
合わせて、「女王の教室」という2005年のテレビドラマの影響から、ゼロ年代半ばから「仰げば尊し」がまた増える傾向がみられるということも記載されています。
「仰げば尊し」を歌わないことが「衝撃的」だとする上のニュースの記者は、70年代以前に卒業した現在50代以上の方か、あるいはゼロ年代半ばの「仰げば尊し」復権の時期に歌う機会のあった20代の方なのかもしれません。
いずれにせよ、「仰げば尊し」は時代により浮き沈みのある歌であるということは確かなようです。


では、自分は卒業式でどんな歌を歌ってきたのか。
自分の経験した卒業式の歌について、いくつか楽曲を並べてコメントしてみたいと思います。
以下は、幼・小・中・高の卒業式の歌、上にも書いた通りそれぞれ84年、90年、93年、96年の大阪府南部の郊外の学校のサンプルです。


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・おもいでのアルバム

 

 

まず、幼稚園の卒園式で歌ったのは、おそらくこの歌だったはずです。
1960年代の楽曲のようですが、NHKの「みんなのうた」で放送されて有名になったという経緯があるようで、NHKのサイトで確認したところ初回放送は1981年、自分の卒園が1984年ですので、ちょうど時代の流れに合った選曲だったのだと思います。
この歌の良いところは、歌詞改変によるの汎用性の高さにあるように思います。
春・夏・秋・冬の出来事が歌われますが、ここを各校の学校行事に合わせて歌詞を変更して歌うことができる。
自分の幼稚園でも、確か歌詞を変えて歌っていたように記憶しています。


・別れの歌

 


続いては小学校の卒業式で歌った曲。
かなりマイナーな曲だからか、YouTubeでも音源が見つからず、この動画は初音ミクによる再現バージョンとなります。
この曲は小学校の卒業以来耳にしていませんでしたので、めちゃくちゃ懐かしいです。
自分は1990年の小学校卒業ですので今から29年前、YouTubeのコメントから推測すると、70年代から80年代ごろによく歌われていた曲のようです。
調べてみると1959年の楽曲で、作曲はなんと矢代秋雄です。
有名クラシック作曲家の作品だったことを知り、何やらびっくり。


・門出の歌

 


もう1曲、小学校の卒業式から。
この曲は自分が6年生のときには歌っていませんが、自分が小学校5年生のときに1つ上の6年生が歌っていた曲で、ええ曲やなと思いずっと記憶に残っていた曲です。(1989年には上の「別れの歌」と「門出の歌」の2曲が歌われていましたが、1990年には「別れの歌」のみになった、ということです。)
カラオケにも入っているようですので、上の「別れの歌」よりは有名なのかも。
この曲、YouTubeで調べてみると、不思議なことにメロディが2拍ずれたバージョンもあるようです。
上の動画は自分が昔聞いたリズムと同じ(アウフタクトで始まる)ですが、そうでない演奏もあるようです。どちらが原曲なんだろう?


・想い出がいっぱい

 

 

続いてはH2Oの「想い出がいっぱい」、テレビアニメ「みゆき」(原作 あだち充)の主題歌です。
自分の通っていた中学校では、卒業式で吹奏楽部によりこの曲が演奏されるという伝統(?)がありました。
自分は吹奏楽部でしたので、どちらかというと自分の卒業式(93年)の思い出というよりも、上の先輩の卒業式で演奏したという思い出の方が大きいです。
「みゆき」は80年代前半の作品、自分の中学時代は90~93年なので、なぜこの曲なのかは謎ですが(かつてあだち充ファンがいたのか?)、今聴いててもなかなか郷愁を誘うメロディです。
ちなみに自分は大学生のとき(90年代後半)に、友人に勧められて「みゆき」を読んでいるはずですが、内容は全く思い出せなくなっています。


・讃美歌405番 「神ともにいまして」

 

 

最後は高校の卒業式です。
自分はキリスト教系の学校に行っていましたので、卒業式の歌もやはり讃美歌。
サビの「また会う日まで」の部分のメロディが好きで、今でも鼻歌でたまに歌う曲です。
歌詞を見る限り旅立ちの歌のようですが、YouTubeのコメントを見ると、キリスト教の葬儀でも歌われる曲のようです。
死者を送る歌でもある、ということは「また会う日」というのは審判のあとの神の国で再開するという意味になり、キリスト教のコアな部分に触れる歌であるということが分かります。



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以上、5曲を並べてみました。
これ以外に「蛍の光」や「今日の日はさようなら」も歌った記憶があり、この2曲は比較的有名かも。
今聴くと「門出の歌」が最も懐かしくていい曲やなという感じがしますが、歌詞がかなり個別具体的なので(「お母さんと来た」「新しい服」「かけまわった」「やさしかった先生」)、汎用性が薄く、ポリコレ時代には敬遠されがちなのかもしれません。

大学の卒業式はなぜか全く記憶になく(大阪城ホールに行ったことまでは覚えています)、式のあとでお友達と出かけた記憶しかありません。
なので大学時代の記憶はやや不鮮明ですが、「仰げば尊し」という曲が全く記憶にないのは確かです。
本記事をお読みの皆様は卒業式でどのような歌を歌われたでしょうか?
他の方のご経験も気になるところです。