近畿の名所 古写真と現在 | れぽれろのブログ

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近年、国立国会図書館のデジカルアーカイブが充実してきています。
アーカイブは書籍・雑誌などの資料や音源・映像など多岐にわたりますが、その中で古写真に特化したページが作られています。

・写真の中の明治・大正

http://www.ndl.go.jp/scenery_top/

今から100年以上前の日本の名所などの写真が公開されているページです。
日本全国でみると確認できる写真の数はまだまだ少ないですが、近畿圏の写真は他府県に比べて比較的充実しています。
写真は転載フリーのようですので、過去数年に自分が訪れた場所の写真と、古写真を比較してみても面白いかも。

ということで以下、自分が撮影した手持ちのお寺などの写真と、古写真を比較して並べてみます。
写真の場所はほぼ古写真と一致するものもあれば、近辺の様子の比較である場合もあります。
現在の観光名所、100年前はどのような姿だったのでしょうか?


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まずは京都府から。

・平等院鳳凰堂 (1897年 明治30年)


・平等院鳳凰堂 (2017年)


世界遺産になった宇治の平等院。
現在は色が塗り直され綺麗な姿で、周辺の環境も整備されていますが、100年以上前は草木が生い茂り、どことなく寂れたような感じがします。


・宇治川 (1897年 明治30年)


・宇治川 (2017年)


少し距離感が違う写真ですが、後ろの方に写っているのはおそらくどちらも宇治橋です。(現在の橋は1996年に改修されたもの。)


・泉涌寺 (1901年 明治34年)


・泉涌寺 (2018年)


泉涌寺の仏殿です。
周辺の雰囲気も含め、100年前もほぼ同じ姿ですね。

現在の方が少し樹木の密度が高いように見えます。


・清水寺 (1907年 明治40年)


・清水寺 (2015年)
京都_03

京都の超有名観光地、清水寺。
似た角度の写真がありませんでしたが、手持ちの写真から比較。
現在は舞台の上の観光客が多いですね。


・円山公園 (1903年 明治36年)


・円山公園 (2015年)
桜23

桜24

どちらも桜が咲いており、お花見の写真です。
100年前も出店などが並んでいたようです。
この写真で見る限り現在の方がずっと混雑しており、100年前はもっとのんびりした感じがします。


・六角堂 (1903年 明治36年)


・六角堂 (2015年)
京都_14

京都市の中心にある六角堂(頂法寺)。
現在の六角堂周辺には様々な像やモニュメントなどが設置されていますが、100年前はお寺周辺にあまり像などはなかったようです。
お堂の斜め前の柳(六角柳)は、100年前から存在していたことがわかります。


・天橋立 (1908年 明治41年)


・天橋立 (2013年)


京都府内をずっと北上、宮津市の天橋立です。

成相寺・傘松公園方面から撮影した写真の比較。
天橋立の松、心なしか現在の方が松の密度が高いように見えます。


続いては滋賀県。

・三井寺 (1899年 明治32年)


・三井寺 (2014年)
三井寺15

三井寺(園城寺)の観音堂の比較。


・琵琶湖・大津市街 (1899年 明治32年)


・琵琶湖・大津市街 (2014年)
三井寺16

三井寺から撮影した琵琶湖と大津市の様子。
下の方に同じ建物の屋根がみえます。
少し角度が異なりますが、同じ場所から撮影したものと思われます。
こうやって比較すると、市街の様子は変われど、お寺は変わらず存続していることが分かり、何やら感慨深いです。


奈良県に移ります。

・西大寺 (1901年 明治34年)


・西大寺 (2018年)


西大寺の本堂です。
現在は本堂のすぐ手前は東塔跡ということで立入禁止になっていますが、
100年前は少し今と雰囲気が違うようです。


・薬師寺東塔 (1900年 明治33年)


・薬師寺東塔 (2018年)


薬師寺の東塔は現在は改修中。
薬師寺には東塔と西塔の2つの塔がありますが、古来より現在に残るのは東塔のみです。
現在の西塔は戦後に建てられたものですので、1900年当時は西塔はありませんでした。

ついでに現在の西塔の写真。

・薬師寺西塔 (2018年)



・奈良公園 (1913年 大正2年)


・奈良公園 (2015年)
奈良02

奈良公園と言えば鹿。
昔から鹿がたくさんいたようです。
この古写真は春日大社の前の鳥居でしょうか。


兵庫県。

・中山寺 (1901年 明治34年)

 

・中山寺 (2017年)


安産祈願のお寺、中山寺。
現在は五重塔が再建されていますが、100年前にはありません。
2017年のお花見シーズン直前に訪れましたので、現在の写真には出店などが出ています。
現在はこの参道の両脇には厄除けなどの祈願所がやたらとたくさんありましたが、100年前はあまりそのような雰囲気はありません。普通のお堂だったのかな?


三重県。

・伊勢神宮 内宮 (1900年 明治33年)


・伊勢神宮 内宮 (2017年)


20年ごとに建て替えられる伊勢神宮。
何度も建て替えられているはずですが、同じ雰囲気を保っています。
現在は観光客が多いですが、100年前もこんなに多かったのでしょうか。


・伊勢神宮 外宮 (1900年 明治33年)

 



・伊勢神宮 外宮 (2017年)




同じく伊勢神宮の外宮。
右側から撮影した写真もありましたので、合わせて比較掲載。


・夫婦岩 (1900年 明治33年)


・夫婦岩 (2017年)


夫婦岩は100年前も今も同じはずですが、撮影角度と潮の高さが違うと、少し違った写真に見えてきます。


最後は和歌山県。

・紀三井寺 (1901年 明治34年)


・紀三井寺 (2015年)
紀三井寺08

現在はお寺の正面を覆い隠すくらいに桜の木で覆われていますが、100年前はそうでもなかったことが分かります。
ソメイヨシノは明治以降徐々に各地に広がり、とくに戦後に急速に日本全国に普及して植えられた品種ですので、紀三井寺の桜もその後植樹されたものなのだと思われます。


・那智の滝 (1901年 明治34年)


・那智の滝 (2017年)


最後は和歌山県南端にある那智の滝です。
現在も100年前と同じ姿を留めています。
今回の写真の中で、最も変化が少ない写真かもしれません。


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ということで、古写真と現在の比較でした。
今回は手持ちの写真との比較でしたが、古写真の場所を訪れてみて写真を撮ってみるというのも面白いかもしれませんね。
上記の国立国会図書館のページでは、東京都内と近畿圏内の写真は比較的充実していますので、ご興味のある方は知ってる場所の写真を探してみても面白いと思います。