近場の再発見シリーズ第3弾。
9/30の土曜日、奈良県北部は生駒郡にある町、斑鳩町に遊びに行ってきました。
斑鳩町は非常に歴史の古い町で、推古天皇や聖徳太子の時代からの歴史を有する場所です。
最寄り駅はJR関西本線の法隆寺駅。
町の北には松尾山があり、南には下流が大阪湾に至る大和川が流れています。
かつては町の南に大きな奈良湖と呼ばれる湖があったとされ、その湖畔と北の山の間に人間が定住してできた町のようです。
聖徳太子の時代に法隆寺を中心とした仏教寺院が建立され、斑鳩宮として栄えた町であり、現在は多数の文化財を有する観光地となっています。
街の西側を南北に流れる竜田川はきれいな紅葉で有名な場所です。
斑鳩町と言えばやはりお寺。
今回は主要な4つのお寺巡りをメインに、町内をうろうろしてみることにします。
JRおおさか東線に乗って南へ向かい、10分ほどで久宝寺駅に到着、久宝寺駅でJR関西本線に乗り換え、大和路快速で15分ほどでJR法隆寺駅に到着しました。
自宅(東大阪市と大阪市の境目付近)から1時間もかからず、斑鳩町ってこんなに近かったのかという感触です。
以下行動の記録や写真など。
また少し長めの記事ですが、ご興味のある方はお付き合いください。
※以下登場する「 」内の歌詞はすべて奈良出身のバンド:ジッタリン・ジンの楽曲「コスモス」からの抜粋です。
(1)法隆寺
斑鳩と言えばやはり法隆寺です。
607年に創建され、一部建築物は現存しており、世界最古の木造建築として有名なお寺で、世界遺産にも登録されています。
建築物の他にも仏像などの多数の文化財を有しています。
日本史の教科書に登場するような超有名文化財もたくさんあります。
JR法隆寺駅から北に向かい、10分~15分程度歩くと法隆寺の入口に到着。
お寺へ至る道はこんな感じ。
両脇に松の木が並ぶ回廊のような雰囲気の道になっています。
この道の両側には普通の舗装道路があり、お土産物屋さんなどは舗装道路の側にあるため、この道を歩いている人は少ないです。
入口(南大門)。
入ってしばらく歩くと有名な西院伽藍ですが、
中門は工事中でした。
一瞬伽藍全体が工事中で来る日を間違えたかと思いましたが、伽藍内部は工事はしておらず、左端から入場することができました。
法隆寺の石碑。
伽藍内部に入ると、まず超有名な五重塔が目に入ります。
「いつか見た五重塔、お月様のせいにして、横顔を見つめていた♪」
1400年に渡り現存しているのはすごいですね。
全体を北東側から。
五重塔の東側にある金堂。
こちらには仏像や壁画が収蔵されており、小窓からその様子を確認することができます。
日本史の教科書にも登場する有名な釈迦三尊像も確認することができました。
内壁には壁画が描かれていますが、これはレプリカで、本来の物は1949年に火災で焼失しています。
金堂には龍や獅子(虎?)の装飾が施されています。
なかなかかっこいい姿ですね。
龍の装飾は後の時代に追加されたものなのだとか。
北側にある大講堂。
伽藍周辺を取り囲む回廊も良い雰囲気です。
この回廊が気に入りました。
西院伽藍の北東部には大宝蔵院があり、多数の宝物が保管されていました。
有名な百済観音像や玉虫厨子などを鑑賞。
百済観音像はスラリとした体躯で、高さ2メートルの痩身の仏像です。
このスタイルは特徴的で、なかなか他では見られない体つきです。
制作は7世紀のようですが、古代の文献には登場しておらず、15世紀になって初めてその存在が文書に現れるのだとか。
このため、他のお寺から移されてきたのではという説もあるようです。
様々な展示物の中で個人的に気に入ったのは、中国は唐代の九面観音像です。
小ぶりな観音像で、細かい装飾が多数施されていました。
装飾の様子は日本の鎌倉期の観音像や天部像の雰囲気に近いようにも思います。
細かい装飾は日本の仏像のお家芸だと思っていましたが、唐代にもこのような仏像は作られていたのですね。
法隆寺敷地内の東側には夢殿がありました。
上から見ると八角形の形をしています。
こちらは739年の建物で、後年の奈良時代の建立なのだとか。
こちらも中に所蔵されている観音様などを、小窓から確認することができます。
夢殿を建立したとされる行信僧都の像が印象的です。
夢殿敷地内の舎利殿。
灯籠。
以上が法隆寺です。
敷地内の立ち入りは無料ですが、西院伽藍、大宝蔵院、夢殿は別料金で、入場には合計1500円かかりますので、注意が必要です。
(2)中宮寺
中宮寺は法隆寺の北東側にあるお寺です。
法隆寺と同様に聖徳太子の時代の創建ですが、元々は現在の所在地よりずっと東側に存在していたとのことで、現在の建物は後の時代に再建されたものです。
現在は法隆寺の敷地内の北東側に位置し、中宮寺の入口は法隆寺の敷地内から繋がっています。
入場料は600円ですが、法隆寺参拝者は割引で500円となっています。
良い雰囲気の庭園を抜けると、
すぐに中宮寺の本堂です。
現在の建物は1968年の再建。
本堂の中では、有名な菩薩半跏像を鑑賞することができます。
靴を脱いで畳の上に座ってのんびり鑑賞することができる形になっています。
右手の指を頬にあて、右足を左ひざの上に乗せる半迦趺坐のスタイル。
アルカイックスマイルをもつ黒色の姿は印象的ですね。
菩薩半跏像の左手前には天寿国繍帳と呼ばれる染織作品が置かれていますが、こちらはレプリカで、本物は奈良国立博物館に委託保管されているようです。
(3)松尾山方面へ
中宮寺をお参りした後、法輪寺と法起寺に向かうことにします。
この2つのお寺は少し離れた1kmほど離れた北の山の方にあります。
法隆寺敷地内の脇道を抜け、北側へ。
「法隆寺を通り過ぎて、細い路地が続いている、消えそうな恋の方へ♪」
こんな感じの細い道を車が突っ込んできますので(笑)、注意が必要です。
歌詞の通り、道幅狭し。
法隆寺を過ぎると上り坂になります。
のどかな雰囲気で心地よいです。
ため池。
水面に反射する日光が綺麗です。
お地蔵さん。
コスモスがたくさん咲いています。
お花のアップ。
「さよならはあなたから、コスモスを私から♪」
ミツバチがやってきました。
カメラを気にせず、黙々と花粉を集めています。
熱心な働き蜂です。
法隆寺から法輪寺・法起寺方面にかけて、コスモス畑がたくさんありました。
休耕田を利用してコスモスを育てているようです。
観光のページなどを見ていると、斑鳩町はコスモスでも有名みたいですね。
(4)法輪寺
コスモスに誘われて歩いていると法輪寺が見えてきました。
入口。
入場料は500円です。
ポケモンGO禁止の表示。
この表示は法隆寺の門前にもありました。
昨今の観光地では、ポケモンGOやドローンの対応が大変そうです。
法輪寺は622年の創建。
開基は一般に山背大兄王(有名な聖徳太子像の右側にいる小さい人物)と言われています。
法隆寺とほぼ同じ時代の創建ですが、中世に炎上。
三重塔は最近まで残っていたようですが、これも1944年に焼失。
現在の三重塔は1975年の再建とのことです。
こちらがその三重塔。
これまた良い雰囲気の塔です。
金堂。
こちらが講堂。
中には仏像が多数保管されていました。
飛鳥時代の古いものから、近世江戸時代の新しいものまでそろっており、時代ごとの違いなどを確認することができます。
(5)法起寺
法輪寺からさらに東へ500メートルほど歩くと、ようやく法起寺に辿り着きます。
「法起寺まで歩いても、心変わりはないでしょう♪」
やっと到着。
入場料は他のお寺より少し安く、300円でした。
法起寺622年の創建で、やはり山背大兄王が創建に関わっているようです。
法輪寺と同じく三重塔を有しており、こちらは706年完成のまま、現在まで残っています。
このため、法起寺は法隆寺と同じく世界遺産に登録されています。
こちらがその三重塔。
てっぺんにカラスがやってきました。
塔とカラス、なかなか絵になります。
講堂。
こちらは1694年に再建された建物です。
屋根の上にシャチホコがいるのが近世っぽい気がします。
聖天堂。
こちらは1863年、幕末の再建。
奥の収蔵庫にはご本尊の十一面観音像が安置されています。
扉ごしにお姿を確認。
池とに咲くお花。
(6)斑鳩の町
法隆寺から法起寺までウロウロしていると3時間ほど時間が経過しました。
「ゆらゆらゆれる秋の夢、茜に染まる斑鳩♪」
日が暮れて茜に染まる前に、斑鳩の町をもう少し歩いてみることにします。
法起寺から元来た道を南に降りて行き、再び法隆寺の敷地内を通り抜け、商店街の方へ。
商店街の看板。
猫ちゃんの姿をした聖徳太子(?)のゆるキャラが出迎えてくれます。
JR法隆寺駅から西方向には、条里制をよく残していると言われる場所があります。
付近を訪れてみると、見渡す限り一面の田んぼ。
古代の律令制の下での、班田収授に伴う区画整理の後が残っているのかな。
しかし、空中から見ないとよく分かりませんね。
さらに西へ向かうと竜田川が見えてきます。
「竜田川の紅葉なんて、色づくにはまだ早い♪」
このあたりは晩秋になると綺麗な紅葉が見られるようです。
橋にも紅葉の装飾が。
竜田川と言えば百人一首の在原業平の短歌。
ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 からくれないに 水くくるとは
で有名ですね。
前回訪れた芦屋市に続き、在原業平繋がりです。
紅葉の時期になると、川は落葉で真っ赤になるのかな。
(7)王寺駅前
合計4時間ほど斑鳩の町をうろうろし、くたくたになりましたので、帰ることにします。
斑鳩町の南西側にある王寺町の駅、JR王寺駅まで歩き、大阪に戻ります。
王寺駅前付近の道路に、妙な動物たちが並んでいましたので、写真を撮ってきました。
斑鳩とは関係ありませんが、ついでに。
突如現れるウサギとカエルの像。
これは何なのだろう?
地面にはブルドッグ。
こちらはフクロウとゾウ。
スケールは自由自在です(笑)。
岩の付近に小鳥がいたり、
溝に小魚が泳いでいたりします。
地を這うカメ。
岩の上にちょこんと存在するカタツムリ。
可愛らしいですね。
謎の巨大な虫。
ラッコ。
一瞬道端の溝で死んでいるように見えます(笑)。
こちらは何かのキャラクタでしょうか?
王寺駅前にはこんな感じの動物たちがたくさんいました。
注意してみると多くの動物が潜んでいるのが面白いです。
こういう街づくりもなかなか楽しいものですね。