紀伊半島ぐるり一周の旅① 田辺 | れぽれろのブログ

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4月29日の土曜日から5月2日の火曜日にかけて、ゴールデンウィークのお休みを利用して、紀伊半島をぐるりと一周してきました。
今年のゴールデンウィークはお休みが長く、自分の勤め先は9連休です。
せっかくなので少し長めに、3泊4日でのんびりと旅行することにしました。
今回の旅行の目的は、のんびりダラダラすること(笑)。
あまり目的地を決めずに、ゆったりと紀伊~伊勢方面をまわることにしました。

大阪から鉄道を利用して紀伊半島を一周する場合、天王寺からスタートして、JR阪和線~JRきのくに線の特急「くろしお」で新宮まで向かい、新宮からJR紀勢本線の特急「ワイドビュー南紀」で松阪まで乗車し、松阪からは近鉄特急を利用、近鉄山田線と近鉄大阪線を経由して難波まで戻ってくる、というコースになります。
だいたい8時間くらいかかるコースです。
今回の旅行はこの8時間を4分割し、1日2時間ずつ列車に乗り、計3ヶ所で宿泊することにしました。


ということで、4月29日の初日は田辺市を観光することにしました。
JR天王寺駅から特急「くろしお」に乗り、約2時間でJR紀伊田辺駅に到着。

紀伊田辺駅はこんな感じ。

ピンク色の屋根とカラフルなイラスト。
何やら可愛らしい外観の駅です。

田辺市は和歌山県内陸の山間部を含む広大な市ですが、今回は駅周辺から海側にかけて、のんびりと散策することにしました。


(1)弁慶

田辺市は武蔵坊弁慶の出身地なのだそうです。
平家物語や義経記に登場し、源義経に仕えたあの弁慶です。
田辺の街中には、至る所に弁慶が潜んでいます。

駅前には弁慶の巨大な像がどーんと屹立。


弁慶と名の付く商店街もあり。


弁慶の名を冠したお店もたくさんあります。


こちらは田辺市のゆるキャラ、たなべぇくん。

彼も弁慶由来のデザインになっています。

レンタサイクルのロゴにもなっています。
自転車の駐車位置に対して注意を促す弁慶くん。


交差点で交通安全を訴える弁慶くん。


懐中時計屋さんの弁慶くん。


ビールを注いでくれる弁慶くん。


住まいのリフォームを勧める弁慶くん。


街灯になった弁慶くん。

夜になると顔面が発光します(笑)。

とにかく街中に弁慶がたくさん潜んでおり、彼を探して歩くのもまた楽しいです。

ちなみにこの日の夜は和食屋さんで「弁慶定食」なる定食を頂きました。
お刺身と天ぷらとしらすご飯の定食。
とくにしらすご飯が美味しかった(紀州らしく梅干し入りでした)ですが、弁慶の名前と料理の内容はあまり関係なさそうです(笑)。


(2)闘鶏神社

紀伊田辺駅の南東には、闘鶏神社という一風変わった名前の神社がありました。


本堂。


敷地には二羽ニワトリがいる・・・。


そしてまたしても弁慶の像。

弁慶が源平の戦いを闘鶏で占ったことに由来するので、闘鶏神社なのだそうです。
珍しいネーミングの神社ですね。
源平の旗の色に合わせて、紅色のニワトリと白色のニワトリを闘わせたのだとか。

こちらは弁慶社という社。

弁慶が続きます。


(3)南方熊楠

田辺にゆかりのある人物として、弁慶と並んで(?)有名なのが南方熊楠です。
紀伊田辺駅の南西方面には、南方熊楠顕彰館という建物がありました。

外観(駐車場側から)。


入口。


南方熊楠は和歌山市の生まれですが、後年田辺市に住み着いたのだそうです。
若いときに渡英し、帰国後は田辺で植物や粘菌の研究を続けたのだとか。
顕彰館ではこれらの熊楠の生涯や業績がまとめられたパネルが展示され、関連する書籍などが保存されていました。

この日の特集展示は「南方熊楠と神秘主義」と題された展示で、ある種のオカルティズムとも関わるような、なかなかきわどい特集になっていました。
19世紀後半のヨーロッパでは、世俗化(脱宗教化)とダーウィニズム(進化論)の隆盛を背景に、死や霊魂のようなものを科学的に研究しようとする風潮が生まれ、交霊術のようなものも盛んに行われるようになりました。
南方熊楠は後年、幽体離脱のような体験を繰り返すうちに、このような神秘主義の考え方にも接近したのだとか。
本展示では熊楠の体験と神秘主義への接近を、19世紀ヨーロッパ以来の神秘主義的科学史・文化史の中に位置付けようとするもので、土宜法龍や井上円了らとの関わり、密教との関わりも含め、文書や書籍などが展示されていました。

展示会場には、ESPカード(透視用の5枚のカード)やウィジャ盤(日本で言うこっくりさん)が、心霊体験コーナーと称して設置されていました。
ウィジャ盤の前には「霊に取り憑かれるという人もいるので、気を確かに持って行ってください」旨のコメントが(笑)。
日本では95年のオウム事件以降、このような心霊関係の特集はたいへん難しくなりましたが、そんな時代の中、なかなかチャレンジングな展示になっていたように思います。

このテーマでコメントすると長くなりますが、2つだけ。
1つは、体験の存在は必ずしも現象の存在を意味しない、ということ。
霊を見ることと霊が存在することは、イコールではありません。
もう1つは、神秘体験は共同体的なものであるということ。
自分の母は51年生まれで、幼いころにこっくりさんで非常に怖い体験をしたのだそうですが、これは人間関係の中での妄想が共有可能な村落共同体(母は和歌山県の山奥の生まれ)という環境だからこそ体験できたのではないかと思います。
自分は78年の郊外生まれで、共同体感覚がほぼ崩壊したような環境で育ちましたが、このような世代以降、神秘体験は(オウム真理教のような疑似的共同体に関わらな限り)容易には引き起こりません。

併設の南方熊楠の住居。




庭には大きなミカンがなっていました。



(4)扇ヶ浜

夕方は海辺でのんびり過ごしました。
紀伊田辺駅から南へ向かうと、扇ヶ浜という海辺に出ます。
文字通り、扇の形をした海辺なのだとか。

海辺の風景。

対岸に見える陸地は、アドベンチャーワールドで有名な白浜です。

青い海。


砂浜。

1年半前まで自分は海のすぐそばに住んでいましたので、この海辺の雰囲気は何やら懐かしいです。

夕暮れが近づいてきます。


近くの公園に設置されていたシーソーの上に掲げられたキリンの生首。

関係ない写真ですが、何だか面白い遊具です(笑)。

綺麗な夕暮れ。

西に向かう海、夕日が沈む海はいいですね。
この地は和歌山朝日夕日百選の1つなのだとか。

ということで、楽しい1日でした。

海辺で冷たい風に長く当たっていると、体が冷えました。


次回は旅行2日目、有名な滝のあるところです。
(続きます。)