アニメーションとクラシック音楽 | れぽれろのブログ

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久しぶりの音楽の記事。
過去に映画に使用されたクラシック音楽の記事を書いたことがありましたが、今回はクラシック音楽が使用されている古いアメリカのアニメを並べてみます。
有名な作品ですので、ご覧になった方もおられると思います。
ご存じない方でお暇な方は、ご覧になってみると、馬鹿馬鹿しくてケタケタ笑えて面白いかもしれません。

 

 

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・ミッキーの大演奏会(1935年)

 

 

まずはディズニーの作品から。
使用されている楽曲はロッシーニの歌劇「ウィリアム・テル」序曲。
ミッキーマウスが指揮する楽団が演奏しますが、前半ではアイスクリーム売りのドナルドダックに邪魔され、中盤では蜂に邪魔され、後半では嵐に巻き込まれ、演奏は困難を極めます。
そんな中、それでも演奏を貫徹するという楽しい作品です。
演奏されるウィリアム・テル序曲は、実際の楽曲とは異なり、後半の行進曲部分からスタートし、中盤の静寂の部分が続いて演奏され、前半の嵐の部分を経てコーダに至るという構成になっています。


この作品は何といっても、2分くらいからドナルドが横笛で「藁の中の七面鳥」を演奏し、オケがつられて同曲を演奏する部分、ここが笑えます(笑)。
イタリアオペラからアメリカ民謡に自動的に演奏が切り替わる。
オケも興に乗って足踏みしながらの演奏、何を真剣に演奏しとんねん(笑)、と笑いを誘います。
ドナルドが次々と横笛を取り出すのも楽しい。


ディズニーのキャラクタは時代によりデザインが異なりますが、この作品ではミッキーは黒目に白肌、ドナルドもくちばしが長く、旧タイプのデザインです。
トロンボーン奏者がグーフィーでしょうか。
なお「ウィリアム・テル」の前の曲目が、エロルドの歌劇「ザンパ」というのは何やらマニアックな気がしますが、30年代アメリカでは一般的な曲目だったのでしょうか?

 


・ミッキーのオーケストラ(1942年)

 

 

続いても戦前のディズニー作品。
登場する楽曲はスッペの「軽騎兵」序曲。
またしても指揮はミッキーマウス、今度はドナルドダックもパーカッション奏者として参加しています。
リハではうまく演奏できたメンバーですが、本番前にグーフィーの失敗により全楽器が破壊され、ボロボロになった楽器でそれでも本番の演奏を貫徹するという、これまた楽しい作品になっています。


この作品はやはり4分10秒ごろからのボロボロの音楽が楽しい。
とくに5分10秒ごろからの流れで出てくる、ドナルドダックが演奏する変な蛇腹型の楽器、この部分で自分は子供のころ、お腹がよじれるくらい爆笑した記憶があります。(アーヒ アーヒ アヒアヒアー♪と聴こえますが、これは何の楽器なんだろう 笑。)
5分50秒ごろから、グーフィーが演奏するバリトンサックス(?)からどういう仕組みか鳩時計のハトが飛び出すのも馬鹿馬鹿しくて笑えます。


このころのミッキーは肌色に白目のあるタイプで、より人間的になっています。
ドナルドはくちばしが短くなり、グーフィーもほぼ現在の形態に近くなっています。
調べてみると1942年3月の作品のようですので、もう太平洋戦争が始まっている時期の作品。
これ以降の戦前ディズニー短編アニメではミッキーは登場しなくなり、ドナルドが従軍して日本軍と戦うなどの作品が増えていきます。

 


・ピアノ・コンサート(1947年)

 

 

3作目は「トムとジェリー」の戦後作品から。
猫のトムがリストのハンガリー狂詩曲2番をピアノで演奏します。
しかしトムが演奏するピアノにはネズミのジェリーが住み着いており、寝ているところを起こされたジェリーはトムの演奏の邪魔をします。
ジェリーの邪魔に遭いながらもトムがなんとか演奏を続ける、という楽しい作品。


こちらは上のディズニーとは異なり、部分的にカットはあるものの、かなり原曲に忠実に演奏されています。
この作品の面白いところは、原曲のピアノの動きに合わせた形で、ジェリーのいたずらやトムの反逆が描写されるところです。
とくにグリッサンドやトリルの部分などで、ピアノの鍵盤やハンマーが楽曲に合わせて動き、トムやジェリーがそれに翻弄されるのが楽しい。
上のディズニーは原曲を知らなくても楽しめますが、本作はリストの原曲が好きだと、より一層楽しめる作品だと思います。


トムは4本指(アメリカのアニメキャラはだいたい指4本で描かれる)ですが、4本でリストを演奏するのは、非常に困難なことだと思います(笑)。
4分30秒ごろから約15秒間曲調が変わりますが、これは何の曲なんだろう?
4分55秒からも原曲にはないカデンツァが10秒ほど入りますが、これは割と曲調にマッチしています。
6分辺りから、曲を終えらえずに疲労するトムも笑えます。

 

 

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以上、3作品を並べてみました。
自分は子どものころはとくに古いディズニーの短編アニメが好きで何度も見ていましたが、大人になってからはアニメは全く見ていないので、最近の作品についてはよく分かりません。
調べてみると現代日本のアニメ作品でも、クラシック曲が効果的に使用されている作品もあるようですので、機会があればどのように使用されているのか、見てみたい気もします。

 

 

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・映画とクラシック音楽

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