ブルックナーの4番 (大ブルックナー展 第3回) | れぽれろのブログ

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12月5日の土曜日、井上道義&大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏会を
鑑賞しに、西宮の兵庫県立芸術文化センターに行ってきました。
この日は「大ブルックナー展」と題された演奏会の第3回目で、
演奏される曲はブルックナーの交響曲第4番。
自分は井上道義さんの指揮は今年6月の「フィガロの結婚」以来6か月ぶり。
ブルックナーは今年の3月にヤノフスキ&ベルリン放送交響楽団の
交響曲8番を鑑賞して以来9か月ぶり、
大阪フィルの演奏は昨年4月にシュトラウスの「アルプス交響曲」を
鑑賞して以来1年と8か月ぶりとなります。

自分は11月最終週は仕事で東京、12月第1週も奈良やら和歌山やらを飛び回り、
5日の前日の夜はお友達と遅くまでお酒を飲んで帰宅したのは深夜。
なので、この日はかなりお疲れモードで鑑賞することになりました。


前半1曲目はフィンランドの作曲家アールトネンの交響曲第2番「HIROSHIMA」。
第二次大戦の広島の惨禍をテーマに1949年(戦後4年)に
作曲された曲とのことです。
自分はつい先月も「ヒロシマ1966」という映画を鑑賞したばかり、
戦後70年ということもあってか、広島関係の作品が続いています。

アールトネンの交響曲第2番は自分はこの日に初めて聴きました。
単一楽章の交響曲で、演奏時間は30分~40分、
20世紀中盤の前衛音楽風ではなく、20世紀初頭の雰囲気を感じさせる曲で、
フィンランドということもあってか、シベリウスなんかに近い感じもします。
原爆がテーマですので時折大音響が轟きますが、基本的には落ち着いた曲、
日本をテーマにしているからかどことなく和風っぽい旋律も聞こえたりもします。
静寂の後で木管楽器がフーガ風に連続して入ってきたりだとか、
リズムカルでメロディアスな部分もあり、
こういった部分は井上ミッチーも踊りながら指揮しています。

ですが、この曲で・・・自分は久しぶりに寝落ちしました(笑)。
ちょっとここ数日間疲れがたまっていましたので、ついウトウトしてしまいました。
ときどき轟音が鳴り響くので目が覚めますが、
後半はかなりの時間眠っておりました。
なので、全体をちゃんと把握できているかどうかは相当怪しい、
っていうかたぶんちゃんと聴けていません(笑)。
アールトネン様、申し訳ありません・・・!


ということで気を取り直して、後半はいよいよメインのブルックナーです。
前半で眠ったため後半はお目めパッチリ、比較的すっきりした頭で鑑賞しました。

この「大ブルックナー展」のシリーズでは既に交響曲8番と7番が演奏されており、
今回の第3回目は交響曲4番の演奏となります。
ブルックナーは各作品で細かな部分の違いはありますが、他の作曲家の
作品に比べると比較的楽曲間の差異が小さい作曲家だと思います。
なので、好きな人はどの作品も好きだと思いますが、
苦手な人はどれも苦手というようになりがち。
そんな中、7番とこの4番は割と聴きやすい曲なのではないかと思います。

ブルックナーはソナタ形式の楽曲の場合、
がっちりした第1主題→美しい第2主題→反動的に攻撃的な第3主題、
という構成をとる場合が多いように思います。
自分はだいたいにおいて第2主題が好きなのですが、
この日の演奏は第3主題のような、大音響でジャジャン!と
盛り上がる部分が印象的でよかったように思います。
井上ミッチー&大フィルはこのような全楽器が大音響で盛り上がる部分が
かっこよく響くような、集中した演奏になっていたように感じました。
1楽章の第3主題、展開部、
2楽章中間部分の長調で盛り上がっていく部分、
そして4楽章のラストの盛り上がりがとくに素敵でした。
3楽章のスケルツォも走らずどっしりと演奏、
ホルンも安定しており、統一感のある演奏でした。

おそらく佐渡裕さんの意見だったと思いますが、
一般に海外のオケは興が乗ってくると音楽が立体的に聴こえるようになり、
日本のオケの場合は興が乗ってくると統一感のある音になる傾向が
あるのだとか。(出典が曖昧なので間違っていたらすみません。)
自分の経験では、海外のオケは各パートの独立した動きが素敵だと
思うことが多く、そして弱音が綺麗に聴こえることが多いです。
経験的にマーラーやシュトラウスのような立体感と弱音が重要な楽曲は、
海外のオケの方が面白い演奏になります。
一方ブルックナーのようながっちりした統一感で重厚に音楽を響かせる
必要のある楽曲の場合は、日本のオケの方が似合っているのではないか。
そんなことを考えながら鑑賞しました。
そういえば過去に聴いたPACオケのブルックナー(9番)も素敵な演奏でした。

最後は井上ミッチーのお喋り。
阪神間にはフェスティバルホール、ザ・シンフォニーホール、
兵庫県立芸術文化センターと、3つの趣の異なる大ホールがあります。
現在大阪フィルの首席指揮者である井上道義さん曰く、
フェスティバルホールは2500人収納可能な巨大ホールのため
それなりの規模の曲が演奏でき、
ザ・シンフォニーホールは響きが素晴らしくフランスものなどが似合う、
そして芸文センターはベートーヴェンやブルックナーのような
「私の音楽を聴け!」というタイプの作曲家の作品が似合うのだとか。
この日のかっこいい演奏を聴く限り、芸文センターとブルックナーは
相性ピッタリなのかもしれませんね。


ということで、本年最後の演奏会を堪能しました。
(一部寝てしまいましたが。)

次回は来年です。
大阪フィルがマーラーの7番を演奏するのでこのチケットを買い、
そして恒例のいずみシンフォニエッタ大阪の定期演奏会のチケットを
買いましたが、なんとこの2つの演奏会が同じ日!
久しぶりにやらかしてしまいました・・・やはり疲れているのでしょうか(笑)。
ということで現在同じ日のチケットが2枚あるというマヌケなことになっています。
どちらかを誰かに譲るか売る必要があるのですが、
現在どちらに行こうか、まだ決めかねていたりするのです・・・笑。