人体の造形 | れぽれろのブログ

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ヌードなど、人間の身体を撮影する写真家は多いです。
その大きな理由は、やはり人間の身体の造形的な面白さにあると思います。
有名写真家が撮影した、面白くてちょっと不思議な(?)身体の写真を
いくつか並べてみます。


・ヌード/エドワード・ウェストン

ヌード

エドワード・ウェストンは20世紀前半に撮影したアメリカの写真家です。
植物などの自然物を極端にクローズアップした写真などが有名だと思いますが、
人間の身体を撮影したシリーズもあり、このヌード写真はその中でも
最も有名な写真だと思います。
折り畳まれたような人体が三角形の構図を形作り、心地よい画面構成に
なっており、同時に人間の身体は面白いなということに改めて気づかされます。
ウェストンはこのような「もの自体」の面白さを再確認するような作品を
たくさん制作されています。


・アングルのヴァイオリン/マン・レイ

アングルのヴァイオリン

続いてはアメリカの有名な芸術家、マン・レイの写真作品から。
マン・レイはダダイズムやシュルレアリスム的な趣向の作品を
たくさん制作された方ですが、最も面白いのは写真作品だと思います。
ソラリゼーション(白黒を反転させる技法)の作品などが有名だと思いますが、
それ以外にも面白い作品はたくさん。
この「アングルのヴァイオリン」は、19世紀フランスの新古典主義の画家
アングルの女体を描いた絵画からインスピレーションを受けたと言われ、
アングルの絵画のような人体が楽器のようにみえるというイメージが
面白いですね。


・ディストーション/アンドレ・ケルテス

ディストーション

ハンガリー出身の写真家ケルテスも女体の作品をたくさん撮影されてますが、
ケルテスは湾曲した鏡に人体を映し出した状態で撮影するという、
ディストーションの手法で面白い作品をたくさん製作されています。
この写真はそのシリーズの1枚。
鏡に映った人体が柔らかな曲線となり、ふにゃふにゃした柔らかい物体に
見えてきます。
身体の見せ方の面白さを追求した作品です。


・おとこと女 作品24/細江英公

おとこと女

日本の写真家の作品からも1枚。
細江英公は昭和中期以降にに活躍した写真家で、
この「おとこと女」シリーズは1960年の作品です。
左側が女性の背中からお尻、右側が男性の腕。
ウェストンやケルテスとは異なり、こちらの人体のイメージは硬い感じがしますね。
ウェストンが人間の身体そのものの面白さを捉えようとしているように
見えるのに対し、細江英公は身体のある部分を切り出すことによる
視覚的なな面白さを追求しているように見えます。
細江英公の70年代の「抱擁」のシリーズも、身体を撮影したシリーズ作品で、
こちらも面白いです。


・Vincent/ロバート・メイプルソープ

Vincent

人体の写真と言えば、この人を忘れてはいけません。
80年代に活躍したアメリカの写真家メイプルソープは、肉体というものの美しさを
とことん追求したように見える作品をたくさん製作されています。
メイプルソープは他にももっと有名な写真がたくさんあると思いますが、
この男性の腕と足がハート形になった作品は、
個人的に好きで気に入っています。


・イタリア、1933年/アンリ・カルティエ=ブレッソン

最後は当ブログではお馴染み(?)の、フランスの写真家
カルティエ=ブレッソンの作品から。
カルティエ=ブレッソンは都市風景のスナップを中心としたストレートフォトの
写真家なので基本的にはヌードを扱った写真はほとんどないのですが、
これはその中での数少ない一枚です。
男性と女性が水の中で絡まっており、
男性は頭・肩・背しか見えず、女性は手・胸・足しか見えません。
男女でそれぞれ重複して見えている部分はないという、
何やら面白い作品になっています。
身体の全体が逆三角形を形作り、対象全体が画面やや右寄りで捉えられ
横軸が黄金比に近くなっているのもカルティエ=ブレッソンらしい気がします。


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というこことで、面白い身体の写真をいくつか並べてみました。
とくにきわどい作品はありませんが、ヌード作品なので、
画像を消されないことを祈りたいと思います(笑)。