紀州を歩く -粉河寺- | れぽれろのブログ

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西国三十三所探訪シリーズ。
6月10の水曜日、和歌山県は紀の川市にある粉河寺(こかわでら)に
遊びに行ってきました。

粉河寺は西国三十三所の第三番札所です。
自分は大阪府南部、関西国際空港のすぐ近くに住んでおり、自宅から直線距離で
最も近い西国三十三所のお寺というと、
この粉河寺になります。
西国三十三所は今までに13か所を訪れてきましたが、
近場は意外と後回しにしてしまっています。
たまには近くも回ってみようということで、梅雨の谷間の晴れの日に
粉河寺まで行った来たのでした。

自分の自宅から公共交通機関で粉河寺に行く場合、
JR関西空港線-JR阪和線-JR和歌山線と乗り継ぐ必要があり、
しかもJR和歌山線は日中でも1時間に2本という電車の少なさ。
なので直線距離が近いと言っても訪れるのは意外と面倒だったりします。
自分はどちらかというと電車でのんびり目的地に向かってウロウロ歩くのが
好きなのですが、この日は近場ということもあり、車で行くことにしました。
なのでこの「歩く」シリーズ、今回もタイトルに「歩く」を付けましたが、
車で行ってきたため、実は今回は歩いていません(笑)。

国道26号線から泉佐野打田線(府道62号線)に入り、
山道を走り、犬鳴山の犬鳴温泉を越え、
トンネルや恐ろしく急なヘアピンカーブを越えて紀の川市の市街地に至り、
粉河加太線(県道7号線)を東に向かうと、左側に粉河寺が見えてきました。
自宅からの所要時間約45分、たまには車でのドライブも良いですね。

ちなみにこの泉佐野打田線(府道62号線)ですが、
大阪府側の道路は異様に狭く、通行しにくいです。
ところが和歌山県に入ると途端に道幅が広くなり、走りやすくなります。
都道府県により道路に対する投資の差があるということなのか
事情はよく分かりませんが、このインフラの格差は何やら妙な感じです。
そういえば(今はどうか知りませんが)新潟県では田中角栄の選挙地盤になると
急に道路が立派になるという噂も聞いたことことがありますが、
似たようなことが日本の各地域ごとにあるのかもしれませんね。

山門に至るまでに左手に有料駐車場がありましたので、
ここに車を止めましたが、駐車料金はどこで払うのかな・・・。
と思っていると、駐車場奥の民家の前に箱が置いてあり、
ここに駐車料金を入れるというルールのようです。
田舎の無人野菜販売と同じような方式ですね。
小銭を箱に入れていざ粉河寺へ。


ということで、粉河寺の山門。

粉河寺01


粉河寺は西国第三番札所。
起源は8世紀に遡り、伝承によれば770年の創建なのだとか。
天台宗系のようですが、細かくは粉河観音宗という独自の宗派になるそうです。
中世末の戦国期の動乱で粉河寺は全焼、
現在の建物はすべて近世に再建されたもののよう。
粉河寺と言って自分がまず思い出すのは粉河寺縁起絵巻で、
この作品は京都国立博物館で見たことがあります。
逆に言うと、自分はこの絵巻のことくらいしか知りません(笑)。

粉河寺はとくに入場料や拝観料の類も必要なく、誰でも入ることができます。
平日だからなのか、人は非常に少なく、のんびりと鑑賞できました。
敷地もそれなりに広く、見どころもたくさんありますが、
パンフレットに類するものの準備もなく、京阪神方面にあるお寺に比べると、
観光に対する力はあまり入ってないように見えます。

この日は訪れて早速やたらとトイレに行きたくなり
(いつも通らない道を運転すると身体が緊張状態になり膀胱が収縮するのか、
自分はすぐにトイレに行きたくなります 笑)
まずはトイレ探しから。
お寺の敷地内の地図を見ると、本堂の奥にトイレがあるようです。
なので、この日はトイレを済ませてから、奥の本堂から順に
鑑賞することになりました。

こちらが本堂。

粉河寺02

この本堂は西国三十三所の中でも最大規模の大きさなのだとか。
ご本尊の千手観音像は絶対の秘仏らしく、
創建以来一度も公開されたことがないのだそうです。
大概のお寺は毎年何月何日だとか、何年に1回だとか、定期的に公開される
ことが多いですが、粉河寺だけは現在でも秘仏を貫き通しているようです。

ということでお参りしてきました。
幸せになれますように・・・

本堂の左手には千手堂といわれる建物が。

粉河寺03

本堂の千手観音は秘仏ですが、こちらにも千手観音様がおられ、
こちらの観音は公開されたこともあるようです。

本堂前の右側には六角堂。

粉河寺04

例によって上から見ると六角形の形状になるようです(たぶん)。

その手前には丈六堂と呼ばれる建物。

粉河寺05

中には阿弥陀様がおられました。
なかなか大きな阿弥陀様です。


本堂手前の左側には庭園があります。

粉河寺07

桃山時代の庭園らしく、枯山水鑑賞式蓬莱庭園と呼ばれるのだとか。
珍しい形態の枯山水で国の名勝に指定されているのだそうです。

積み重ねられた石の数々と木の調和が良い感じ。

粉河寺08


本堂の右側には巨大なクスノキが。

粉河寺06

立派な木で見ごたえがありますね。
本当に8世紀の創建当時から存在するような巨木です。


本堂の奥には神社がありました。
お寺の奥に神社があるという、いつものパターンです。

粉河寺09

こちらの神社は粉河産土神社と言われるもの。
18世紀、江戸中期の建物らしいです。
神社の宮司さんのお話によると、日曜日には舞が舞われるのだとか。
お寺よりこちらの神社の方が観光に力が入っている・・・?

羊の絵があります。
これはなんだろう。

粉河寺10


狛犬と羊という不思議な組み合わせ。

粉河寺11


旅行シリーズ恒例の(?)猫ちゃん撮影タイム。

粉河寺12

繋がれているので、飼い猫のようです。

この神社ではクジャクが飼われていました。
そしてなんと、ちょうど自分が参拝したタイミングでクジャクが羽を開きました。

粉河寺13

網があるので写真ではかなり分かりにくいですが、羽を大きく開いています。
宮司さん曰く、羽を開くタイミングでなかなか写真に撮ろうと思っても
撮れないので、これはそれなりに珍しいのだとか。
ラッキーですね。
宮司さんによると、このクジャクが羽を開いた写真を携帯の待受画面にしておくと、
良いことがあるのだそうですが、本当かな・・・?

粉河産土神社のさらに右手にはその他の神社が固まっていました。
これもよくあるパターンですね。

護国神社。

粉河寺14


白山神社。

粉河寺15


猿田彦をお祭りしているもの。

粉河寺16



さらに東に向かうと、十禅律院という建物がありました。
紀州徳川家ゆかりのお寺なのだそうです。

こんな門があり、

粉河寺17


本堂はこんな感じ。

粉河寺18


十禅律院近くの池にはお花が咲いています。

粉河寺19


「すいれんの花」とのこと。

粉河寺20

自分は花の名前には詳しくないので、
このようにアホでも分かるように書いて頂けると助かります(笑)。

鳥がいました。

粉河寺21

何の鳥なんだろう・・・。
さすがに飛んでくる鳥に対してまでは説明書きもありません・・・笑。
何やらグワグワと鳴いています。
都市部でよく見かけるムクドリなどではなさそうです。

トンボがいました。

粉河寺22

水色のトンボです。
やはりこれは青いお空を飛んだからなのでしょうか。

自然がたくさんあって楽しいですね。


というこで、本堂から逆方向に辿り、こちらが中門となります。

粉河寺23


中門には四天王の立像が安置されていました。
これも網で囲われていました。
クジャクと同じ扱いです。

粉河寺24

粉河寺25

粉河寺26

粉河寺27

順に持国天、増長天、広目天、多聞天と思われます。
(合ってるかな?)

身代わり地蔵。

粉河寺28

罪人の身代わりになって罪を受けてくれる
イエス・キリストのようなお地蔵様です。

池には何やら石のオブジェが。

粉河寺29

もの派(戦後日本の前衛芸術の潮流)を思わせるような作品です。
意外ともの派は日本の伝統に沿っているのかもしれませんね。

こちらは屋外の阿弥陀如来坐像。

粉河寺30

高さ210cmの銅像です。
山とお寺とのセットは良いですね。

仏足石と言われるもの。

粉河寺31


お釈迦様の足跡が刻まれています。

粉河寺32

写真だとスケールが分かりにくいですが、
足のサイズは優に50cmくらいありそうです。
お釈迦様、何とも巨大な足ですね。
お釈迦様は涅槃図でも体が弟子たちに比べて異様に大きく描かれます。
偉大な人物は巨大であるという、往年の少年漫画の悪役にも見られるような
ヒエラルキーと身体スケールがリンクした表現は、
古来よりの手法なのかもしれません。


ということで、平日の昼間からお寺をウロウロするのも楽しいです。
参拝者も少なく、のんびり過ごすことができました。
和歌山県になりますので、近畿圏以外の方はなかなか訪問するのは
大変だと思いますが、機会があればぜひご訪問ください。


西国三十三所、残り19所。
とうとう残り20所を切りました。
次はどこへ行こうかな・・・。