花の美術 | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

今日はお花が登場する美術作品を並べてみます。
花が登場する作品はおそらくたくさんあることだと思いますが、
その中から個人的に印象深いものをいくつか並べてみようと思います。


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・青い花瓶の中の花束/ヤン・ブリューゲル

青い花瓶の中の花束

お花と言えばこの人。
「花のブリューゲル」ことヤン・ブリューゲル、
有名なピーテル・ブリューゲルの息子さんです。
この方はその通称のとおり花を描いた静物画をたくさん残されています。
この絵はウィーン美術史美術館に所蔵されている有名な作品で、
こんなにたくさんの花を花瓶に生けられるのかと
思わず疑ってしまうような、そんな花いっぱいの作品になっています。


・ヴィオレット・ハイマンの肖像/ルドン

ヴィオレット・ハイマンの肖像

19世紀末の象徴主義の画家オディロン・ルドンも
パステルで描かれた花の作品をたくさん残されています。
この作品は肖像画なのですが、人物よりもむしろ
それを取り巻くお花の方が目立つ作品になっています。
ルドンが描く花は不思議と幻想的な感じがします。
個人的に好きな作品です。


・アカリョムの前の草花/長谷川潔

アカリョムの前の草花

続いては20世紀日本の版画家、長谷川潔の作品から。
モノクロの静謐な画面に描かれた花。
水槽(アカリョム=アクアリウム)の前の花瓶を描いた作品ですが、
なんとなく魚が宙を泳いでいるような、幻想的な画面が心地よいですね。
お花の描写も素敵です。
以前も書きましたが、長谷川潔の作品は実物をみると黒が本当に綺麗です。
画像ではなかなか美しさが分かりにくいですので、
機会があればぜひ実物をご覧になって頂きたいです。


・薔薇/安井曾太郎

薔薇

20世紀前半の洋画家安井曾太郎は、日本で洋画を描くとはどういうことか
ということを追求し、独特の日本画風洋画といった作品を制作された方。
この作品も水墨画を思わせるような筆致で花や花瓶が描かれており、
それでいてカラフルな油彩画であるという、非常に面白い作品になっています。
安井曾太郎は薔薇のシリーズをいくつか残されていますが、
この作品がバランスも含め最も素敵だと感じます。


・杏花/満谷国四郎

杏花

表現主義的でインパクトのある花と言えばこちら。
これまた日本の洋画家である満谷国四郎の作品です。
うねうねとした枝に絡みつくような白い花。
手前の人の穴掘りの理由もよくわからず、どことなく妖しげな作品になっています。
満谷国四郎はこのような杏の木を描いたシリーズをいくつか残されています。
この作品は大阪市立近代美術館準備室に所蔵されている作品です。


・The Melancholic Tulip/ケルテス

続いては写真作品から。
ハンガリーの写真家、アンドレ・ケルテスの撮影したチューリップです。
コップに生けられた花をコップの底面と同じ位置まで歪曲させ
独特のフォルムを形作っています。
ケルテスは人体の歪んだ鏡像を撮影したディストーションの作品などが
有名ですが、このチューリップの作品も個人的にすごく好きだったりします。


・チューリップ/須田悦弘

チューリップ

チューリップと言えば個人的に思い出すのがこの人のこの彫刻作品。
須田悦弘さんは現代活躍されている作家さんで、
写実的な木彫の植物作品などを制作されている方です。
須田さんの作品は、美術館の会場の床などにひっそりと設置されていたりで、
うっかりすると見落としたりしがちですが、
ふと見つけたときの楽しさ、作品の愛らしさは、独特の面白さがあると思います。
このチューリップは大阪の国立国際美術館の地下2階、
エスカレーター付近の柱の上を見上げたところに、
ほぼいつも常設展示されています。


・沼の花、悲しげな人間の顔/ルドン

沼の花、悲しげな人間の顔

最後にルドンの植物をもうひとつ。
ルドンと言えば上記のようなカラフルなパステル画が有名ですが、
こちらの作品のような奇怪な版画の方を思い出される方も多いと思います。
これは版画集「ゴヤ頌」のシリーズの中の1枚。
花は花でも、こんな花はやはり困ります(笑)。


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ということで、花の作品をいくつか並べてみました。
今回は洋画が中止でしたが、日本画にも素敵な花の作品はありますので、
機会があればまた並べてみようかなと思います。