戦間期-パリの女性たち | れぽれろのブログ

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1910年代~20年代にかけて、世界の多くの画家たちはパリを目指しました。
いわゆるエコール・ド・パリの時代。
19世紀末より印象主義から表現主義に変化した絵画の潮流は、
20世紀初頭のフォービスムやキュビスムの探求を経て、
第1次世界大戦をはさんだ後、画家個人の様式に従って、
より自由な表現が花開く時代が訪れます。

パリ派の画家たちの特徴は、非常に個性が強く、
パッと見ただけでその作風から誰の作品かが分かるということです。
以下、エコール・ド・パリ作家さんの作品を並べてみますが、
せっかくなので「女性の人物画」というくくりで比較してみることにします。
それぞれの女の子の姿に、各作家さんの特徴が表れていて面白いと思います。


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・大きな帽子をかぶったジャンヌ/モディリアーニ

大きな帽子をかぶったジャンヌ

エコール・ド・パリといえばこの人、モディリアーニ。
イタリア出身の画家で、パリで活躍された方です。
面長の顔、細長い首、瞳のない目など、
モディリアーニならではの特徴が見られます。
個人的にこの作品は、鼻のラインと指のラインが形作る曲線が好きです。
鼻と指、S字を縦に伸ばしたような曲線が心地よいですね。
モディリアーニ10年代後半に多くの作品を残しましたが、
飲酒や薬物依存がたたり、若くして亡くなられています。


・モンパルナスのキキ/キスリング

モンパルナスのキキ

続いてはポーランド出身の画家キスリングの作品。
どことなく人形を思わせるような独特の容姿・姿態の人物を描く作家さん。
やや硬直的なポージングもキスリングの特徴です。
この絵でも両手の(やや不自然な)ポージングが印象的ですが、
この手の角度が画面構成を楽しいものにしています。
描かれているのはモンパルナスのキキ。
当時のパリの有名なモデルで、キスリングだけでなく
多くの画家・写真家の作品に登場しています。


・テーブルのリュシーの肖像/パスキン

テーブルのリュシーの肖像

パスキンはブルガリア出身の画家。
茶色系を主体とした独特の淡い色彩の女性画が多いです。
パスキンは裸体画が多いですが(ベッドにごろんと寝転んでる
女の子の絵が多い気がします)、そればかりではありません。
ふんわりとした画面に溶け込みそうな女の子の佇まいが
何とも言えず良い感じですね。
パスキンは後年自殺によりなくなっています。


・狂女/スーティン

狂女

この方はロシア出身の画家。
パリ派の画家たちの中でも最も強烈な作品を制作される方です。
うねうねした大胆な筆遣い、強烈な色彩、歪んだ画面。
動物の肉を執拗に描くのもこの人の特徴で、何とも強烈です。
そんなスーティンの数少ない女性ががこれ。
タイトルからして怖いですが、強烈で印象的な作品ですね。
スーティンは後々大きなパトロンが付いて
他のパリ派の画家とは違って裕福な生活をするようになったそうです。


・マドモワゼル・シャネルの肖像/ローランサン

マドモワゼル・シャネルの肖像

ローランサンはフランス出身の女性画家。
この方の作品もパッと見てローランサンだなと一目でわかる特徴を思っています。
人物の白い肌、淡い色彩、限られた色のパターン、
それでいてカラフルな画面構成。
この作品のモデルは、ココ・シャネル。
緑・ピンク・青の組み合わせが心地よいですね。


・タピスリーの裸婦/藤田嗣治

タピスリーの裸婦

最後は日本の画家、藤田嗣治(レオナール・フジタ)で締めたいと思います。
藤田の前期パリ時代の作品は独特の乳白色の身体が特徴的です。
この作品のように猫が登場する作品が多いのも、藤田の特徴ですね。
ちなみに自分は藤田嗣治の作品では、30年代に一旦帰国し
中南米旅行を経て以降の作品の方が好きだったりします。
(藤田嗣治についてはこちらの過去記事も参照ください。 →   )


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ということで、エコール・ド・パリの画家の描く女性たちを並べてみました。
皆様はどの作家さんの女性がお気に入りでしょうか?