近江を歩く -三井寺- | れぽれろのブログ

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忘れたころにやってくる(?)西国三十三所探訪シリーズ。
25日の土曜日、滋賀県にある西国三十三所の第十四番札所、
三井寺(園城寺)に行ってきました。

前日の金曜日は、お友達と「焼肉屋さんと焼き鳥屋さんのハシゴ」という
ものすごく体に悪い、男子大学生しかやらないような(笑)胃腸に負担をかける
無茶をやったせいか、この日は朝から何やら胸いっぱいな感じです。
家でゴロゴロしようかなとも思いましたが、秋晴れの過ごしやすそうな一日に
なりそうでしたので、気持ちを切り替えて出かけることにします。
三井寺ではただいまご本尊の如意輪観音をはじめ、
いくつかの秘仏が公開されています。
なかなかない機会なので、行ってみることにしました。

三井寺の起源は7世紀に遡るそうですが、
本格的に歴史に登場するのは、天台宗は寺門派の開祖
智証大師円珍が9世紀に登場してからのこととなります。
独特の卵型のお顔が印象的な円珍さん。
その後、三井寺は何度か戦火に巻き込まれましたが
16世紀に再建され、そのときの建物が現在まで残っているのだそうです。

実は自分は三井寺の秘仏は2008年に一度見ています。
大阪市立美術館で円珍の帰朝1150年を記念した展覧会が開催され、
このときにご本尊の如意輪観音像や、黄不動、円珍さんの像などが
展示されておりました。
ということなので、これらの像に6年ぶりに再会することになります。

大阪方面から三井寺に行くにはいくつかのルートがありますが、
自分はJR大阪駅から新快速に乗り、湖西線の大津京駅で乗り換え、
京阪電車石山坂本線の皇子山駅から2駅で三井寺駅まで向かいました。

京阪三井寺から徒歩数分で三井寺に到着。

入口の仁王門はこんな感じ。

三井寺01


お寺の敷地内は比較的人は少なく、のんびり鑑賞することができました。

こちらは釈迦堂。

三井寺02


元々は園城寺の食堂で、現在は釈迦如来像がご本尊のお堂なのだそうです。

続いては金堂。

三井寺03


桃山時代に再建された後現在まで残っており、国宝であるとのこと。
正面は工事中でしたので、斜めから撮影。

金堂の中にお参りしてきました。
中には仏像などがたくさん展示されていましたが、
現在別の博物館に貸し出し中のものも多く、
仏像の代わりに写真が展示されているものもたくさんありました。

金堂近くの池には、鯉がたくさん。

三井寺04

三井寺05


池に近づくと、鯉は餌をくれると思うのか、口を開けてこちらに寄ってきます。
物欲しそうに集まる鯉たち。

三井寺06


しかし自分は餌を持っていません・・・残念でした。
鯉を見捨てて(笑)先を急ぐことにします。

一切経蔵

三井寺07


中には八角輪蔵(八角形の回転する書架)があり、
仏教のすべての経典が納められているとのことです。

ふと一切経蔵の入口付近を見ると、こんな表示が。

三井寺08


なんと、驚くべきことに、現代アートの作家さんの名前です。
自分は、金氏徹平さんの作品をサントリーミュージアムと国立国際美術館で2度、
森千裕さんの作品を国立国際美術館で1度鑑賞したことがあります。
知っている作家さんの名前が出てきたので、思わずびっくり。

とくに金氏さんの作品は印象的で、日本列島の海岸線を不規則に並び変えて
別のイラストも追加したドローイング作品や、玩具や人形や日用品などが
雪のような白い素材に埋もれ、
不思議な雪景色を再現した「白地図」という
作品など、記憶に残っています。

一切経蔵の中に、お二人の映像作品がディスプレイやプロジェクターで
展示されたいました。
お寺の参拝そっちのけで(笑)、現代美術の作品鑑賞。
金氏さんの水の流れを延々撮影し続ける作品や、雨や水道水の流れを
逆回しで表示させる作品など、延々みているだけで面白い。
日本列島は他国に比べて降水量は非常に多いですが
地形の性質上貯水されず、すぐに海に流れてしまうという事実を思い出します。

森さんのドローイングと写真を組み合わせた映像を
プロジェクターでお寺の壁面に表示させる作品。

三井寺09


レトロな雰囲気と不思議な身体性を感じさせる、面白い作品でした。

ちなみに(どうでもいいことですが)お二人とも自分と同い年だったりします。
不意打ち現代アートに時間を取られましたが、次へ進みます。

三重塔

三井寺10


唐院

三井寺11


こちらの奥の建物で秘仏の黄不動と円珍像がみられるとのことです。
この黄不動はすごく保存状態がいいですね。
円珍さんのお姿も拝んできました。

微妙寺

三井寺12


ご本尊は十一面観音、ということで中に入ってみましたが、
がまたしてもご本尊は不在・・・。
貸し出し中の模様です。ご本尊の写真だけが展示されていました。
お寺の名前のとおり、何とも微妙な展開です。

お寺の敷地内にはいくつかの仏像が設置されていました。

こちらは衆宝観音という観音様。

三井寺13


デザイン的には白衣観音に似ています。

何だかコミカルな像も設置されています。

三井寺14


三頭身で何だか漫画のキャラクタみたいです(笑)。
こういったデフォルメは昔から日本美術の得意とするところ。

お寺の敷地内の南端の石段を上ると、
いよいよ西国三十三所の第十四札所、観音堂とご対面です。

観音堂

三井寺15


中にはご本尊の如意輪観音像が設置されています。
如意輪観音様も拝んできました。

シンプルな如来像も良いですが、自分はどちらかというと
ゴテゴテした観音像が好きだったりします。
とくに観音像の中では如意輪観音のデザインが一番好きです。
片膝を立てて頬杖を付き、微妙な傾きとカーブを形作る観音様のお姿。
6本の手と指のそれぞれの形が魅力的。
大阪は観心寺の如意輪観音像が最も好きなのですが
(ちなみにこの観心寺は自分の実家から歩いて20分のところにあったりします)
この三井寺の観音像も良いですね。
手指の造形が綺麗、頭部のやや装飾過多の飾り物も良い感じです。
この如意輪観音は左右からカーテンで微妙に仕切られており、
全身がきっちり見えません。
もう少し全体を見せてほしかったです。

観音堂の中には、三井寺を撮影した現代の写真家さんの写真作品が
展示されていました。
お寺の方の解説では、サラッとアジェやアーバスやメイプルソープについて
触れられています。
先ほどの映像作品の展示といい、現代美術に理解のあるお寺なのかも・・・?

とうことで、楽しい時間を過ごすことができました。

観音堂からは琵琶湖が見えます。

三井寺16


せっかく滋賀県まで来たので、琵琶湖をウロウロすることにします。
東へ向かってトコトコと歩くと、琵琶湖畔に到着。

琵琶湖に浮かぶお船たち。

三井寺17


釣りやらジョギングやらハイキングやらで、それなりに人がいます。
家族連れや旅行客などで楽しそうです。

噴水が虹を形づくり、綺麗。

三井寺18


お船にかかる虹。

三井寺19


碇マークの鉄柵。

三井寺20


調子に乗って歩き続けていると、見知った建物が現れてきました。
このブログではお馴染みの(?)スポット、びわ湖ホールまで来てしまいました。

三井寺21


ここまで来るとJR大津駅はもうすぐ、
湖西線~京阪線経由で三井寺駅まで行かなくても、
JR大津駅から歩いた方が良かったかもしれませんね。

ということで、楽しい気分で大津駅から大阪へ戻りました。

西国三十三所、コンプリートまであと二十七所!


<過去記事>
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松尾寺 → 
長谷寺・興福寺南円堂 → 
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