踊る人たち | れぽれろのブログ

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秋といえばお祭りの季節。
お祭りといえば、踊りが登場するものも多いです。
最近はよさこい祭りだとか何だとかで
我が家の近所でも踊り付きのお祭りが開催されたりしています。
よさこいは土佐のお祭りのはずですが、いつの間に全国化したのでしょうか・・・?

ということで、秋祭りつながり、
踊る人たちの姿を捉えた美術作品を並べてみます。


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・農民の踊り/ブリューゲル

農民の踊り

16世紀フランドルの画家ブリューゲルは、
農民の生活を描いた多くの作品を残しています。
これはその中の一枚。
これはお祭りの日なのか、画面右側には楽しげに踊る人たちが描かれています。
お酒を飲んだりして楽しそうな雰囲気。
左側にはキスを交わすお二人も。


・鰯の埋葬/ゴヤ

鰯の埋葬

続いては18世紀末~19世紀のスペインの画家ゴヤの作品から。
以前の記事にファリャの「三角帽子」のCDジャケットとして
登場したこともある作品です。
これまたお祭りを描いたと思われる作品で、
中央の巨大な「顔」の下、踊る人たちの姿が描かれています。
ブリューゲルの素朴な農民のお祭りに比べて、ゴヤの描くお祭りの様子は
群衆というものの狂気的な一面が感じられ、何やら怖い雰囲気もあります。


・舞台の2人の踊り子/ドガ

舞台の2人の踊り子

今度は村のお祭りではなく、職業としての踊り手を描いたものから。
19世紀後半の画家ドガは、様々なポーズの踊り子の姿を
たくさん描いた画家です。
数あるドガの踊り子作品の中、個人的にこの2人のポージングが好きです。
ドガ自身もこのポーズが気に入ったのか、
複数の作品にこのポーズが描かれています。
画面下側から左側にかけて大胆な空白があるのも、ドガならでは。


・アイリッシュ&アメリカンバーで踊るショコラ/ロートレック

踊るショコラ

こちらはバーで踊る黒人の姿。
世紀末の画家ロートレックの作品です。
ロートレックも踊る人たちが描かれた作品を比較的多く残されています。
これはその中で個人的に好きな作品で、シンプルにクレヨンで描かれています。
ドガがポージングや画面構成、トリミングといった要素に関心があるのに対し
ロートレックはどちらかというと風俗画的な要素が強いように思います。
これはこれで魅力的な作品。


・布晒舞図/英一蝶

布晒舞図

続いては日本画から。
江戸初期の絵師、英一蝶が描く踊りの図です。
個人的に「踊りの絵」といって真っ先に思い出す作品が、この布晒舞図。
布をひらひらさせながら舞いを舞う女の子の姿のバランスが良い感じ。
動的な感じがよく出ており、踊りの絵の中で一番好きかもしれません。


・序の舞/上村松園

序の舞

次も日本画、近代の日本画家上村松園の作品から。
こちらは一蝶の作品とは正反対。
静的で厳かな舞いの様子が作品化されています。
この作品、奈良の松伯美術館で見たことがありますが、
実物はかなり大きな作品で、描かれている女の子のサイズにびっくりします。


・「ニューヨーク」より/クライン

ニューヨーク

最後は写真作品から。
ウィリアム・クラインはアメリカの写真家で
50年代のニューヨークを撮影した、大胆で荒々しい作品が有名です。
これは路上で踊っている子どもの姿を撮影したもの。
ダンスの身振りよりシャッタースピードが遅く、ブレた写真になっていますが、
ブレやボケはこの時期のクラインの作品の特徴。
この作品も結果として子供たちの独特の姿が特徴的な
面白い写真になっています。


以上、踊る人たちが登場する美術作品を並べてみました。



◎おまけ

「鳥獣戯画」より、踊るかえるくんの図。

鳥獣戯画