こどもがひとり | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

最近の美術の記事、見苦しい(?)作品が多かったように思いますので、
今日は可愛らしいお子様の作品を並べてみます。
子どもがひとりだけ描かれている(写されている)という条件で選んでみました。


・薔薇色の衣装のマルガリータ王女/ベラスケス

薔薇色の衣装のマルガリータ王女

お子様の絵と言って自分がまず思い出すのが、
17世紀スペインの画家ベラスケスの肖像作品。
ハプスブルク家の王女マルガリータを描いたいくつかの作品は有名ですね。
この作品はウィーン美術史美術館に所蔵されている作品で
2009年に日本に来ていた作品です。
王女の可愛らしさもさることながら、衣装や絨毯や花瓶の質感が素敵です。
ベラスケスお得意の魔術的な描写、近づくと曖昧模糊とした形態ですが
離れてみるとしっかりとしたものの形に見える。
これが何とも言えず、魅力あふれる作品になっています。


・独楽を回す少年/シャルダン

独楽を回す少年

18世紀フランス、ロココ期の画家シャルダンの一枚。
シャルダンは当時のロココの風潮とは一線を画すような
静謐な静物画や風俗画をたくさん残された方です。
個人的にすごく好きな画家。
2012年に大規模な展覧会が開催されたので、ご記憶の方もおられるかと
思います。(自分もわざわざ東京まで見に行きました。)
子供を描いた作品が可愛らしいところも、シャルダンの重要な特徴だと思います。
この絵はそんなシャルダンの少年を描いた魅力的な一枚。


・マスター・ヘア/レノルズ

マスター・ヘア

ジョシュア・レノルズも18世紀のロココと同時期の、イギリスの画家です。
レノルズも愛らしい子供の作品を多く残されています。
これはその中の一枚、描かれているのは女の子のように見えますが、
男の子のようです。
この時代の少年を描いた作品は、現在の視点から見るとどことなく
女の子っぽく見えてしまう作品もみかけます。


・イレーヌ・カーン・ダンベール嬢/ルノワール

イレーヌ・カーン・ダンベール嬢

絵画史上最も有名なお子様と言えば、おそらく彼女ではないかと思います。
この作品も、ルノワールの特集展示で2010年に日本に来ていました。
上目使いの横顔が愛らしい。
構図、色彩、表情、服や髪の描写、どれも魅力的で、
そしてルノワール独特の柔らかい筆触が心地よい作品です。


・無我/横山大観

無我

明治期の日本画から。
新時代の日本画を確立した有名な横山大観の一枚。
男の子がぼんやりと佇んでいるだけの作品ですが、これに仏教用語のタイトルが
付けられており、
何だか深遠な雰囲気になっています。
男の子の表情がいいですね。


・オー・ド・ロベック通りの戸口 ルーアン/アジェ

続いては写真作品。
20世紀初頭、早朝のパリの街並みを撮影し続けたアジェの作品。
アジェは無人の作品が多いですが、そんな中、女の子がちょこんとひとり
写っている作品です。
個人的に好きな写真です。


・筑豊のこどもたち/土門拳

るみえちゃん

昭和期を代表する写真家、土門拳の作品から、
「筑豊のこどもたち」のシリーズに登場する女の子、るみえちゃんの一枚。
筑豊炭田は20世紀前半までは石炭産出量日本一の炭田でしたが、
50年代以降エネルギー資源の転換に伴い、炭鉱が廃止されていきます。
これに伴いたくさんの失業者が発生し、貧しい暮らしをする人たちが増加、
そして、この時期の筑豊の様子を撮影した土門拳のリアリズム写真が
「筑豊のこどもたち」です。
るみえちゃんはすごく魅力的な表情をする子で、この筑豊シリーズは
被写体としてるみえちゃんを発見した時点で、題材の勝利という感じがします。


以上、お子様が登場する作品を並べてみました。


子どもが二人、ペアになった作品を並べた記事も以前に書きましたので、
よろしければこちらもどうぞ。 → [こどもがふたり]