歴史上の絵画作品などは多くの場合、公的な美術館や企業などで
保存・管理されています。
保存・管理されています。
しかし、中には戦災などで消失したもの、盗難にあったもの、
個人蔵などで行方が分からなくなっている作品もあります。
そんな失われた作品のうち、有名なものをいくつか並べてみます。
・石割り/クールベ
19世紀フランスの写実主義の画家クールベの作品。
粗末な衣服に身を包んだ農民の父子が石を割っています。
生活感あふれる作品。
歴史画や幻想画などを否定し、目の前の事実を描写する
クールベらしい作品です。
クールベらしい作品です。
この作品は、第二次大戦中のドレスデンへの爆撃で焼失してしまったとのこと。
現在はもう見ることはできませんが、クールベの代表作ということで、
いまでも美術関連の書籍では、参考図版として掲載されていたりします。
・雪の中の修道院の墓地/フリードリヒ
19世紀ドイツロマン主義を代表する画家、フリードリヒ。
誰もいない風景の中の巨大な建造物、枯れ木、廃墟という
フリードリヒお馴染みの主題が並ぶ作品です。
フリードリヒは晩年をドレスデンで過ごしました。
そのためか、現在でもドレスデンに所蔵されているフリードリヒの作品は多いです。
しかし、この作品も上記の「石割り」と同様、
ドレスデンの空爆で焼失してしまったようです。
・医学/クリムト
世紀末のウィーンといえば、グスタフ・クリムトの作品。
クリムトはウィーンの大学に「医学」「法学」「哲学」の連作天井画を制作します。
これはその中のひとつ。
医学のシンボルである白蛇を手にした女性の背後に
たくさんの人体が犇めいています。
クリムトらしい何とも幻想的な作品。
「医学」「法学」「哲学」とも、やはり第二次大戦中に消失してしまいましたが、
これらの作品は、ナチスによる放火が原因であるようです。
・ひまわり/ゴッホ
ポスト印象派の超有名画家ゴッホは、
ひまわりを描いた作品をたくさん残しています。
ひまわりを描いた作品をたくさん残しています。
現在、日本の損保ジャパン東郷青児美術館に所蔵されている作品が
有名だと思いますが、こちらの背景のブルーの作品も大正時代に
日本の実業家によって購入された作品なのだそうです。
有名だと思いますが、こちらの背景のブルーの作品も大正時代に
日本の実業家によって購入された作品なのだそうです。
ゴッホらしい青と橙の組み合わせ魅力的ですね。
この作品も第二次大戦中、芦屋市の空襲により焼失してしまったとのことです。
・白子(病草紙より)
最後は日本の美術作品。
中世を代表する絵巻物「病草紙」から。
白子はいわゆるアルビノのこと。
この図版では少しわかりにくいですが、肌も髪も真っ白な女の人が、
指をさされて笑われています。
指をさされて笑われています。
「病草紙」にはなぜか病人を見てヘラヘラ笑っている人がよく登場します(笑)。
これもそんな作品の中の1枚。
この「白子」の絵も、実は行方が分からなくなっているのだそうです。
今月4日、文化庁の国宝・重要文化財の所在確認の結果が報道されました。
その中の行方不明のリストにこの「白子」の絵も含まれています。
工芸品を中心に109点の文化財が不明になっているとの報道。
こんなに行方不明作品がたくさんあるとはびっくり。
はやく行方が見つかるといいですね。