大和を歩く -長谷寺- | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

ここのところちょっと色々なことが重なり、実は心が少し不安定で
塞ぎ込みがちだったりします。
困ったときの神頼みではないですが、こういうときは神社仏閣にお参りしてみると
心のありようがまた変わって良いのかも・・・。
ということで、何だかお寺に行きたくなってきました。
心身の平安を祈り、どこかのお寺に行こう。

もはや誰も覚えていないと思いますが、以前に北近畿に旅行に行った際、
「西国三十三所をすべて巡る。期限は三十三年以内。」
という、およそ目標ともいえない目標を立て、
このときに丹後の成相寺及び松尾寺を訪れました。
(過去記事はこちら → [成相寺] [松尾寺] )

現在、奈良国立博物館で「鎌倉の仏像」という特集展示をやっています。
これを鑑賞するついでに、奈良のお寺を訪れてみるのも面白いかも・・・。
ということで4月19日の土曜日、奈良にある西国三十三所のうち、
長谷寺に行ってみることにしました。
少し調べると、長谷寺は桜と牡丹が綺麗なお寺とのことです。
桜はすでに終わっていますし、牡丹にはたぶんまだ早い。
今なら空いてるだろうということで、行ってきました。

長谷寺は真言宗豊山派の総本山、西国三十三所の第八番札所、
お寺の起源は686年(朱鳥元年)に遡るとのことですが、
どうも明確にははっきりしていないようです。
ご本尊は十一面観音立像とのこと。

少し家を出るのが遅くなったので、お昼少し前に難波で昼食を済ませ、
難波から鶴橋に向かい、近鉄大阪線に乗って、
奈良県は桜井市にある長谷寺へ向かいます。
実は自分は近鉄大阪線に乗った記憶がほぼありません。
近鉄奈良線は、奈良に行くときに何度も乗っています。
自分は南河内出身なので、過去南大阪線にも乗る機会は多かったです。
しかし、大阪線はひょっとしたら初めてかもしれません・・・。

急行と各停を乗継ぎ、難波から約1時間で近鉄長谷寺駅に到着。
駅を降りて、北へ向かいトコトコと歩きます。
暖かい休日のお昼、春物のコートで出かけましたが、少し暑いくらいです。
耳を澄ますとウグイスが鳴いています。ホーホケキョ。
奈良は自然が豊かですね。

ちなみに、このあたりの地名は初瀬というのだそうです。
ハセで長谷と初瀬、何が違うのでしょうか・・・?


観光者向けの商店街を抜け、長谷寺に着くと・・・。
入口のところでいきなり行列ができています。
お花の時期を避けたはずなのに、この人ごみは・・・。
実はこの日は「牡丹献花祭」とのことらしく、お坊さんやお稚児さんたちが
御詠歌を歌いながらゆっくりゆっくりと本堂へ上っていくという
イベントが開催されていました。
このため、観光客もそれなりに多く、本堂へ向かう通路は混雑状態。
空いてる日を選んで行ったつもりが、混んでおりました(笑)。
(←ちゃんと調べてから行けと。)

入口、仁王門はこんな感じです。
「長谷寺」の文字が見えます。

長谷寺01


本堂へ向かう登楼内部、人がたくさん・・・。

長谷寺02


混雑しまくっているので、一旦「宗宝蔵」と呼ばれる宝物館に逃げ込みます。
たくさんの仏像、曼荼羅、書、袈裟などが展示されています。
なかなか優美な如来像、厳めしい閻魔さまの像、などが並びます。
書の中には、筆ではなく板で書いたような、変わった書式の物もあり、
おもしろいです。

登楼から東の方には、源氏物語にも登場すると言われる、
「二本(ふたもと)の杉」というものがありました。

長谷寺03

アップで根本だけ撮影しているので、何なのか分かりにくい(笑)。

ちなみに「二本の杉」にたどり着くまでにこんな看板がありました。

長谷寺04

「二本の杉」の位置を示した看板ですが、錆びていて位置がよく分かりません。
おまけに、後ろに二股の木があります。
写真が残っているのは、一瞬これが「二本の杉」かと思い、
誤って撮影したからです(笑)。紛らわしいですね。

ウロウロしているうちに、登楼内の渋滞は緩和されました。

長谷寺05


サクサクと登楼の階段を上り、本堂へ向かいます。
本堂の正面では、引き続き法要が営まれていました。
この日は追加料金で本堂内部の立ち入りOK、十一面観音像に直接触れることも
できるとのことで、観音様にも逢ってきました。

受付のお姉さんに頂いた結縁の五色線。

長谷寺06

阿弥陀仏の手から自分の手に架け渡す、いわゆる「五色の糸」で作られた腕輪。
お姉さんに左手首に付けてもらいました。
さらにお香を頂き、手のひらに塗ります。
いかにもお寺の芳香という感じがしてきます・・・。

そして、十一面観音様とご対面・・・ですが、お、大きい・・・。
高さ10メートルを超えるのだとかで、相当に大きいです。
下から巨大な観音様を見上げる形になります。すごいインパクト。

この十一面観音様の足に触れながら願いをかけると、願い事が叶うとのことです。
ということで、巨大な足に触れながら、幸福と健康をお祈りします。
そういえば成相寺でも「一言地蔵」というお地蔵様にお祈りした記憶が
あるのですが、果たして幸福は訪れているのでしょうか・・・?

本堂の外観。
中では引き続き法要が営まれており、お経や御詠歌が聞こえてきます。

長谷寺07


本堂の舞台からの眺め。

長谷寺08

先週までは桜満開だったので、さぞ綺麗だったのだと思います。
この写真でも、右手に少し桜が残っています。

本堂から五重塔を撮影。
この五重塔は戦後の建立とのことです。

長谷寺09


本堂を離れ、五重塔の方に向かい、近くから撮影。

長谷寺10


意味なくこんな角度で撮影。

長谷寺11

ロトチェンコなどのロシア・アヴァンギャルド風に(笑)
人は撮影したくなるものです。(←お前だけだと言われそうですが。)

本堂から五重塔までは少し離れているのですが、
このあたりまで法要のお経は聞こえてきます。
しばらくすると般若心経が聞こえてきました。
般若心経ならなら自分もわかるので、一緒に唱えます。
お経には鳴り物が入っており、太鼓のリズムがお経に重なります。
お経なので当然リズムは4/4とか3/4とかではありません。
なので、太鼓でリズムを取ると、必然的に変拍子になります(笑)。
何やらストラヴィンスキーのようなリズム。
西洋の調和とは異なる東洋のリズムが楽しくなってきます。

さらに山の方に向かうと奥の院です。
陀羅尼堂。

長谷寺12


奥の院から少し下ったところ、一部桜が咲いています。

長谷寺13


これは八重桜でしょうか。綺麗ですねー。

長谷寺14


残っているお花を鑑賞し、何だか得した気分です。

本坊。

長谷寺15


奥には紅葉があるとのことで、アップで撮影。

長谷寺16

春なのに赤いです。
この紅葉は春と秋で色が変わるのだとか、不思議ですね。


拝観ルートは30分と40分のコースがあり、
40分のコースを選んだのですが、結局なんだかんだで
2時間以上ウロチョロしていました。
予定よりずいぶん長居してしまいました。
春の長谷寺をのんびりと満喫し、楽しい時間を過ごせました。

旅行だ何だと言っていますが、自分は畿内に住んでおり、
よく考えると畿内は歴史が古いので、実は鑑賞スポットはアホほどあります。
遠くに旅立つのも良いですが、何だか近場をちゃんと周ってみようという
気にもなってきました。
西国三十三所、三十三年以内と言わず(笑)、
またあちこち巡ってみようと思います。


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おまけ1

長谷寺の近くには、法起院というお寺があります。
西国三十三所の番外だとかで、ついでにここにも寄ってきました。

法起院01


ここで面白かったのが、多羅葉樹というハガキの語源になったという木。

法起院02

葉の裏側をひっかくと色が変わるので、文字を書くことができます。
ここからハガキの語源になったのだとか。

そして葉の裏に願い事を書くと成就するのだそうです。

法起院03

どの葉も既に願い事だらけで書くスペースがありません(笑)・・・残念。
面白いはっぱですね。


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おまけ2

この日は奈良国立博物館にも行き、「鎌倉の仏像」の展示を鑑賞する
予定だったのですが、少し出かけるのが遅くなったこと、
長谷寺でのんびり過ごしすぎたこと、
さらに近鉄長谷寺駅から奈良駅まで
1時間以上かかったこと(もっと近いと勝手に思ってました)が重なり、
近鉄奈良駅に着くと既に16時を大きく回っています。

ということで、「鎌倉の仏像」は諦め、
ついでに西国三十三所の第九番札所、興福寺南円堂を撮影してきました。

南円堂

興福寺は自分は何度も来ているので、あまり感慨はありません・・・笑。
北円堂では運慶が展示されているとのことですが、これも来週から・・・残念。
「鎌倉の仏像」と合わせて、出直しです。


西国三十三所、コンプリートまであと二十九所!