描かれた楽器 | れぽれろのブログ

れぽれろのブログ

美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

楽器が描かれた絵画作品というのも、探すといろいろと出てきます。
美術と音楽の関わりあい、ということで、
楽器が登場するいくつかの作品を並べてみます。


・ヴィーナスとオルガン奏者/ティツィアーノ

ヴィーナスとオルガン奏者

まずはイタリアルネサンスの巨匠、ティツィアーノの作品から。
オルガン奏者が演奏中に後ろを振り向き、ヴィーナスに見とれて(?)います。
こんな状態でちゃんと演奏できているのでしょうか・・・笑。
ヴィーナスの方はキューピットと何やらひそひそ話。
ティツィアーノのヴィナースと言えば、「ウルビーノのヴィーナス」が有名ですが、
こちらの作品も自分は好きです。


・愛の調べ/ヴァトー

愛の調べ

次は18世紀、ロココ時代のヴァトーの作品から。
森の中で貴族たち(たぶん)が楽しげにおしゃべり。
登場する楽器はギター。
こちらのギター弾きは、上のオルガン奏者とは異なり、
目線はきっちり楽譜に注がれています。
ロココ期らしい優雅な雰囲気が漂ってきます。
この絵を見ると、なんとなく歌劇「ドン・ジョヴァンニ」2幕で、
ドン・ジョヴァンニが歌う誘惑のアリアを思い出してしまいます。
(この曲はギターではなく、マンドリンなのですが。)


・ピアノに寄る娘たち/ルノワール

ピアノに寄る娘たち

続いてはルノワール。
19世紀末の作品なので、登場する鍵盤楽器はオルガンではなくピアノです。
ピアノを弾く女の子たち。
後ろの子は教えているのでしょうか?
それとも二人仲良く弾いているのかな・・・。
これは1892年の作品。
ルノワールは1880年代に印象派手法から古典手法に一旦回帰しますが、
その後90年代ごろから独自の画風に到達。
暖かい色彩と幸福そうな人物たち。
このころの作品はすごく好きです。


・ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像/ベックリン

ヴァイオリンを弾く死神のいる自画像

19世紀末、象徴派の画家ベックリンの作品。
自画像ですが、なぜか後ろにガイコツがいます。
そしてこのガイコツがヴァイオリンを弾く・・・。
何とも怪しげな絵ですね。
ちなみにこの作品、マーラーの交響曲4番の2楽章から連想される作品として
書籍などで取り上げられるていることがあります。
マーラー4番の2楽章は、音程を二度上げて調弦した特殊なヴァイオリンが
独奏楽器として登場する(実演ではヴァイオリン→ヴァイオリンへの持ち替えという
珍しい光景が見られます)一風変わった楽章。
特殊ヴァイオリンの楽しくも妖しいメロディが、言われてみるとガイコツっぽいです。


・オペラ座のオーケストラ/ドガ

オペラ座のオーケストラ

同じく19世紀後半の印象派期の画家、ドガの作品から。
ドガはバレエの舞台の踊り子をたくさん描いた画家ですが、
この絵は珍しく踊り子がメインではなく背景になっており、
バレエのオケピット席の様子がメインで描かれいます。
真ん中にいるのはファゴット奏者。
ファゴットがメインで描かれる作品は珍しい(たぶんこの絵くらいか?)
と思います。
ファゴット経験者としては何やらうれしい。


・バッハへのオマージュ/デュフィ

バッハへのオマージュ


・クロード・ドビュッシーへのオマージュ/デュフィ

クロード・ドビュッシーへのオマージュ


ラウル・デュフィは20世紀前半の画家。
独特の線の動きと色彩が魅力的な画家です。
デュフィは音楽が好きだったのか、オーケストラや楽器などを描いた作品が
たくさん残っています。
上記はバッハとドビュッシーについての作品。
赤が主体、ヴァイオリンが描かれた、バッハへのオマージュ。
黄色が主体、ピアノが描かれた、ドビュッシーへのオマージュ。
なんとなく、バッハの無伴奏パルティータ2番のシャコンヌや、
ドビュッシーのベルがマスク組曲「月の光」なんかが
聴こえてきそうな作品ですね。



以上、音楽と美術の関わりあい、
楽器が登場する作品をいくつか並べてみました。