カツァリス-CD・演奏・思い出など (その1) | れぽれろのブログ

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ピアニスト、シプリアン・カツァリスが好きなことは、過去何度かちょこちょこと
書いてきましたが、まとまった記事を書いたことはなかったように思うので、
カツァリスのCDや演奏会や思い出などについて、
少しまとめて書いてみたいと思います。
(※CD評といった記事ではなく、単に思い出を綴るだけの記事ですので、
ご了承のほどを・・・。)


自分は元々吹奏楽部だったこともあり、オーケストラが演奏する音楽CDは
昔からよく聴いていました。
しかし、ピアノのCDについては、学生時代にはあまり積極的には
聴いていませんでした。
モーツァルトの協奏曲なんかは少し聴いていましたが、ロマン派のピアノ独奏は
大人になってから、少しクラシック音楽を網羅的に聴いてみようと思ってから、
本格的に聴きはじめることになります。
とくにショパンに対しては大きく誤解しており、
「ピアノのお稽古をやってる女の子しか聴かないような音楽」
などという意味不明な先入観(笑)を持っており、聴くのが遅れました。

ショパンを聴くようになったきっかけは社会人になってしばらくしてから。
ある人に「ショパンのバラードは絶対面白いから聴いてみて」と言われ、
勧められるままにCDを買いに行きました。
その人はホロヴィッツか中村紘子がお薦めとのことでしたが、
CD屋さんに行っても売ってない・・・。
バラードのCDないかなあ・・・とCD屋さんウロウロしていると
目に飛び込んできたのがこのCD。

・ショパン バラード・スケルツォ集 1984年録音 (TELDEC)

カツァ_バラスケ

1000円で安いし、これでも聴いてみようかということで買ったのがこのCDです。
で、このCDにメチャクチャはまることになります(笑)。
おおー、ピアノすごいな面白いな、ショパンいいなあ・・・と、
思うようになったきっかけが、このCDなのです。
その後、このCDををきっかけに、ショパンのいろいろなCDを聴きまくり、
約半年の間ショパンのCDばかりを買いあさることになります。
CDはカツァリスだけでなく、ホロヴィッツ、ポリーニ、アルゲリッチ、
アシュケナージ、アラウ、ツィマーマン、ポゴレリチ、キーシン、etc
この頃いろんなショパンのCDを聴き、ピアニストによる演奏の差異などを
面白がっておりました。
さらに、この頃接続したてのインターネットで、海外のサイトからショパンの
スコアを探しまくってダウンロードしたりしてました。
(この当時はIMSLPのページなどまだありませんでした。)
ピアノも弾けないのに、スコアを見て面白がったりしていたこの時期(笑)。
で、こういったことの全てのきかっけが、カツァリスのバラスケなのです。
これが2002年~03年ごろ(自分が24~25歳のころ)のお話。

今から考えるとこの演奏は結構特異な演奏なのですが
(というか、カツァの録音は基本どれも特異なのですが 笑)、
このバラード・スケルツォが自分のスタンダードになってしまい、
他の演奏家のバラードを聴いても「綺麗だけど何か物足りないな」
などと思うようになってしまいました。

この頃に買ったCDをもう一枚。

・ショパン ワルツ集 1981年録音 (TELDEC)

カツァ_ワルツ

これもよく聴いていました。
ショパンのワルツを初めて聴いたのがこのワルツ集。
バラスケとワルツは、自分にとってはこれらのCDがデフォルトなのです。

カツァリスは普通に演奏していると聴こえてこないような内声の音を際立たせて、
別の旋律が聴こえてくるように演奏する、といったことをよくやります。
特に有名なのが、このCDのワルツ7番(Op.64-2)。
ですが、自分はこのCDを最初に聴いたので、「これはこういう曲なのだ」という
刷り込みができてしまっています(笑)。

上記2枚は今でも入手しやすく、1000円とお安いので、
カツァを聴くならまずはこのCD、と言っても良いかもしれません。

ショパンにハマったこの後、リストやラフマニノフや
その他のピアノ音楽についても、順々にハマって行くことになります。


その後、カツァリスをテレビで見る機会が訪れました。

2004年9月のN響アワーに、なんとカツァが登場。
・・・といっても、04年当時のカツァリスではなく、
確か80年代の演奏のアーカイブ映像でした。
若いカツァリス。
曲目はリストのハンガリー幻想曲(ハンガリー狂詩曲14番の協奏曲編曲版)、
及びシューマンのピアノ協奏曲、だったと思います。
(VHSに録画した映像が残っているのですが、現在再生機がないので、
詳細は未確認)。

斜め上をキッと見つめながら、手元を見ずにハンガリー幻想曲を弾いている姿が
印象に残っています。
この頃シフラのハンガリー狂詩曲が好きでよく聴いていたので、
このハンガリー幻想曲がすごく楽しかったことを記憶しています。
シューマンの方は綺麗な演奏で、
「音の綺麗なカツァリス」を印象づけられました。

なお、このときのN響の演奏ではありませんが、
ハンガリー幻想曲は以下の録音が残っています。

・リスト ハンガリー幻想曲 他 1981年録音 (EMI) 

カツァ_ハンガリー

チャイコフスキーのハンガリー協奏曲(リスト編曲)
リストのハンガリー幻想曲
シューベルトの幻想曲「さすらい人」(リスト編曲)
オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団

この放送でシューマンを聴いてから購入したのが以下のCDだったと思います。

・シューマン 子供の情景 他 1986年 (TELDEC)

カツァ_シューマン

シューマンの「子供の情景」「森の情景」「音楽帳」
この「子供の情景」も、妙に特定の音を強調したりだとか、
面白い演奏になっています。
このCDでとくに気に入ったのが「森の情景」です。
シューマンのピアノ曲は若い頃のが有名ですが、これは比較的後年の曲。
とくにこのカツァの「寂しい花」が妙に好きで、シンプルな曲なのに心に残ります。
そして「音楽帳」、何だかマニアックな選曲。
(この曲カツァ以外に録音はあるのでしょうか・・・)

そう、カツァのCD・演奏の大きな特徴のひとつは「発掘」です。
あまり有名でないロマン派音楽などを、突然CDや演奏会で取り上げたりする。
そして、その曲が意外と面白かったりするのです。


その後、2005年。
この年はショパンコンクールの年でした。
ブレハッチが優勝した年で、日本人の山本貴志さんや関本昌平さんといった方も
入賞された年です。
この頃はまだYouTubeやUstreamといった動画配信サイトはありませんでした。
回線がプチプチ切れ、ノイズで画面が見づらく、劣悪な音の中、
ポーランドのショパンコンクール生放送の映像を、
自分はMedia Player経由で夜な夜な見ていたりしました(笑)。
某掲示板にて、この回線経由でショパンコンクールの生映像を見ながら
チャットするコミュニティで、あれこれ会話しながら見続けていたことを
記憶しています。

で、このコミュニティにてカツァリスの話になり、
カツァといえばこのCDだろう・・・と勧めて頂いたのが以下のCDです。

・リスト メフィスト・ワルツ 他 1980年 (TELDEC)

カツァ_メフィスト

これは楽しいCDです。
メフィストワルツ1~4番、その他が収録されたCD。
勧めてくれた人曰く、「この演奏技術は腰を抜かすレベル」なのだそうです。
1番の後半など、素人目に聴いてもすごいなあ、と。
個人的にこのCDで気に入ったのは
「孤独の中の神の祝福」より第3曲「詩的で宗教的な調べ」
という曲です。
これが感動的な音楽で、良いですね。


ということで、長くなるので続きます。
次回、いよいよカツァの生演奏を聴きに行くことに・・・。